言論外交の挑戦

アジア戦略会議勉強会「アジアの2025年」議事録 page1

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030909_01.jpgアジア戦略会議では、二年度目の議論を戦略形成の明確な方法論に従って展開することとしています。その参考事例として、アメリカの国防総省のレポートである「アジアの2025年-1999年夏に行われた研究の最終報告書-」の勉強会を8月19日に有志で開催しました。出席者は、横山禎徳(社会システムデザイナー)、夏川和也(元統幕議長、現日立製作所顧問)、谷口智彦(『日経ビジネス』主任編集委員 )、工藤泰志(言論NPO代表)、松田学(同理事)です。そこでは、今後、戦略形成の議論を進めるに当たり、戦略形成の方法論が貫かれているとされる一つの事例としてこのレポートから何を読み取るかにつき、活発な議論が行われました。
 要旨はこちらをご覧ください。

松田 それでは、勉強会を始めさせていただきます。

このアジア戦略会議の2年度目は、明確な戦略形成の方法論に従った議論をきちんと展開しよう、その方法論へのこだわりというところにクオリティーを求めようということで進めようという提案をさせていただいていることは既にご案内のとおりです。

では、その方法論とはどういうものかということで、先日、谷口さんからもご提案があって、アメリカのペンタゴンレポートの「アジアの2025年」にその戦略形成の1つの方法論が反映されているのではないだろうかということで、今年度の会合を始める前に、有志で1回これを勉強してみようということで、本日、お忙しい中をお集まりいただきました。

きょう、これをどのように進めるか、特に決まった方法はないのですが、どうしましょうか、例えば谷口さんからこの内容について最初に少し簡単なコメントをいただいて、それから意見交換という感じで、ここから何を読むかとか、そういった点を中心に議論を進められればということで、谷口さん、お願いできますでしょうか。

谷口 「アジアの2025年」について中身に踏み込む前に、ネットアセスメントという考え方について一言だけ申し上げます。

「アジアの2025年」を作成したのは、この日本語訳にも載っているとおり、国防総省のネットアセスメント局というところ。そこの局長が主としてこれを行っています。参加者の中に座長ということでS・エンダーズ・ウインブッシュという人が出ていて、そのほかいろいろな人が名前を連ねておりますが、この人たちは実際の参加者ではあっても本当に重要な人ではありません。これを始めようと言ったのは、「緒言」のところで"以下の報告書は国防次官に提出された夏の研究会報告書である。この夏の研究会は"というところに"アンドリュー・W・マーシャルと"と書いている、このアンドリュー・マーシャルという人だったわけですね。

そしてこのオフィス・オブ・ネットアセスメントというところは、実はこのアンドリュー・マーシャルのペンタゴンへの就任とともにできて、爾来ずっと続いているという局です。アンドリュー・マーシャルは、たしかニクソン政権から仕えていたと思います。したがって、もう勤続30年以上だったと思います。今年の9月で82歳という人。官僚制の引退の正式な年齢などはとっくに過ぎているのですが、民主党になろうが共和党になろうが、国防長官がだれになろうが手放せないということで、この人はずっと同じところにいるんです。クリントン政権のコーエン国防長官のとき、彼を国防大学に追い出そうとする工作があったのだそうですが、それでも無理だったということです。

したがって、この「アジアの2025年」を題材にして、アメリカが培ってきたネットアセスメントというものはどんな発想、方法、視角でなされてきたものかを少し考えてみようということがきょうの趣旨だと思いますが、そのノウハウの要諦とは、一言で言うと、1人の人間に30年考えさせているというところに尽きるとも言えるんですね。

したがって、このアンドリュー・マーシャルの中には、生き字引のようにネットアセスメントに必要な題材が蓄積されているわけです。滅多にインタビューは受けない人なんですが、おととしの夏でしたか、僕はこの人に会いに行っていろいろなことを聞きました。それは紹介するような話ではないですから、はしょりますが、このネットアセスメントとは何なのかだけをちょっと申し上げます。

何か紙でもつくってくればよかったのですが、それをしなかったもので、ここに定義を書き写しました。これは2001年の8月22日にウルフォウィッツ国防副長官名で発出されたディレクティブというものがありまして、その中にデフィニションということで書かれております。

キーワードはやはりコンパラティブという言葉だろうと思いますね。比較分析を行うのだと。あとは、とにかく軍事的な力を評価、評定するのに必要なものを全部いろいろやるということだと思いますね。

それから、そこに書きませんでしたが、職制的に言うと、このネットアセスメントの長は、国防長官にフルに直結しておりまして、国防長官との間に垣根が一切ないというレポートラインになっています。

このネットアセスメントの反対語は、別に辞書にそう書かれてあるわけではないのですが、恐らくビーンカウンティングみたいな考え方だと思いますね。つまり大豆を1個、2個、3個、4個と数えるような機械的な力の評定、これは余り意味がないということに、実はある時期、冷戦の中で気がついたと。これはアンドリュー・マーシャルがじかにそう教えてくれたのですが、ビーンカウンティングというのは軍事の世界では、恐らく戦車の車両の数とか、戦略核兵器を搭載して航行できる原子力潜水艦の数とか、核弾頭の数がいくつだというようなものを機械的に比べることを指すのだと思うんです。

もちろんそれも重要ではあるけれども、それらを支えている軍隊の士気はどうなっているか、将校と一般の兵卒との関係はどうなっているか、あるいは通信系統の能率はどうなっているのか、そしてその通信系統の能率を支える機械的な技術とか電子的な技術はどうなっているのかと。

つまり、ソ連と対抗する上では、単に戦車の車両を数えていただけでは彼我の力の評定はできないということに、ある時期、気がついたのだと、アンドリュー・マーシャルは言っていました。それは恐らく相当早い時期だと思いますが、それ以来、彼我の力を評価する、比較するときに、もう本当にあらゆる情報を頭に入れながら、結局のところどっちが強いのかという、その結局のところというようなニュアンスが、恐らくこのネットアセスメントのネットというところに出ているのだと思います。

次に、このアンドリュー・マーシャルの影響力について、若干補足します。

このアンドリュー・マーシャルは、ファーストネームを取っての仇名ですが「セイント・アンドリューズ・スクール」と呼ばれることもある一種の学派をなしていて、ほかならぬウルフォウィッツも、ドナルド・ラムズフェルドも、現在の国防総省の枢要を占める人たちは、みんな何かの格好でアンドリュー・マーシャルの息がかかっている人たちです。

そして、彼のやろうとしたことの中で最近大変注目されているのは言うまでもなくレボリューション・イン・ミリタリー・アフェアーズ、RMAで、この言葉をつくったのもアンドリュー・マーシャルなんですね。

それはどういういきさつだったかということですが、これはネットアセスメントの1つのやり方だと思いますが、アンドリュー・マーシャルはしばらく、とにかく部下に中国を含む20数カ国の軍事文献を徹底的に読ませるという作業を集中してやったんですね。その中でおもしろい国を数カ国に絞っていった。

どういう基準で絞ったかというと、未来型の戦争における技術の使い方に関して何らかの言及をしている文献がたくさん見られる国、それは技術的な感度の高い国だとすると、そういう国を集めていきました。そうすると7カ国とか8カ国になったと言っていました。もちろん日本はそこから外れます。

そこで感度が一番高く、文献の数が豊富で本当に驚かされたのが、実は中国だったというのが、このアンドリュー・マーシャルの話でした。中国には、例えば周波数爆弾のようなものをどう使って電子的な通信網を攪乱するかとかいうことも含め、技術に対する関心の大変高い形跡がうかがわれる文献がいっぱいあると。

ふと気がつくと、第二次大戦以来の、いわゆる武器を積むプラットフォームをそのままにしている、陸上では戦車であり、海では空母であるという軍隊を大きく育ててきてしまったアメリカは、まるでオセロのこまの白が黒にひっくり返るように、電子的な技術とかIT技術、それからネットワークの技術というものを使えば、こういう旧来のプラットフォームがほとんど無力になってしまうくらいの戦争がしかけられてしまう可能性もあるぞという警告を鳴らしたわけですね。

それが数年前ですが、それ以来このRMAという言葉が盛んに言われるようになって、今回のイラク戦争は、まだその辺が十分出てはいませんが、専門家の話によれば、衛星と通信回線でつないで目標発見後30分で爆弾を投下するというようなことができるようになっている。これは本当に入り口だと思いますが、そういった方向に大きく舵を切らせたのもこのアンドリュー・マーシャルです。

影響力に関してあと1点だけ言いますと、この「アジアの2025年」をもとにして、それ以後、アメリカの国防省からは、国防白書に類するようなものが文献として二、三点出ていますが、そこでも"ヨーロッパではない、アジアなんだ"ということが盛んに言われて、殊に、ここに海自の方がお見えになったときにもおっしゃっていたように、東アジアの浅い海域、イースト・エイジアン・リトラルと言われるところの手薄さを指摘して、ここを何とかしようというようなマインドが高まっている。これも実はここから始まった傾向だということですね。


あと1点だけ、これは日本では余り注目されませんでした。ここにある翻訳は人の手を介して私のところに回ってきたもので、どうやら石原慎太郎の個人事務所が翻訳させたものらしいんですね。こういうものが、もちろん英語の文献があるのですが、これは別に公開文献ですから隠しているものではないのですが、インターネットなどでは簡単にとれなくて、アメリカンセンターか何かに行かないとコピーできないんですね。

ところが、これがアジアの中で最もよく読まれた国はインドなんですね。お読みいただくとおわかりいただけますように、ここでもインドの評価が大変積極的なものになっています。冷戦下のインドに対する評価と違って、仲よくすべき相手と言わんばかりの書き方になっていたことにお気づきだと思います。

恐らくそれは、ここに書かれているように、やはり中国というものはどっちへ転んでも大変な脅威になり得るという認識との見合いで、インドと仲よくしておくということを言っているのだと思いますが、そう言われたインドでは、この「アジアの2025年」が大変な注目の的になって、インドのニューズ・ウイーク的なニュース週刊誌などでは、これを表紙に取り上げて特集するというありさまで、大変反響を呼んだ経緯がありました。

同じように、これは東南アジア、シンガポールとかマレーシアあたりでも大変おもしろく読まれているのですが、どういうわけか日本はこの辺も感度が鈍くて、余り読まれなかったということがありました。

以上3点で大体のお話はおしまいにさせていただきますが、ここの方法論がすぐさま右から左に使えるというようなものではないと思いますが、あくまで言いっ放しに終わらせないアジア戦略会議の方向性というものを考えるとき、例えばこういう人口というようなソリッドな予測から始めてみるアプローチとか、シナリオを幾つも立てて、それに対する可能な限りの想像をしてみるとか、こういった、恐らくはアメリカがウォーゲームなどで数十年培ってきた1つのやり方のようなものがうかがわれるので、何らかの参考になるのではないかと思った次第です。

以上です。

松田 夏川さんは、防衛問題の専門の立場から、これをお読みになってどんなご感想をお持ちですか。

夏川 今の谷口先生の話を聞いて、実は私、今まで読んでいなくて、かなりいい勉強をさせてもらったのですが、これだけを見ると、確かにシナリオをやっていって、最後にまとめて国防省に対する提言という形でやっていますから、大変いいところもあるんですよ。しかし、そのベースにあるものがまだよくわからないので、ちょっと的確な評価はできないなと思っているんです。シナリオだけで言えば、当然これだけのシナリオでよいかという話だって出てきますから、やはりもうちょっといろいろやってみないと、と言うよりも、ベースがなければなかなか評価できないという感じですね。

ただ、現実にこれは1990年代の後半に出ているのですが......。

谷口 99年です。

夏川 インドとの関係などで見れば、アメリカとインドは、2000年になってから訓練なども一緒にやったり、パトロールを一緒にやったり実質的に非常にやっていますし、できるだけ長距離でやろう、基地がなくなっていくだろうと。それは今度のイラクなどで非常に見えてきて、そのようにやろうというふうに変わってきていますし、この研究があってそのようになったのか、情勢があってそのようになったのかはわかりませんが、ある程度言っているような方向に来ているなという感じはしています。

谷口 繰り返しになりますが、言い出しっぺの私は、別にこの中身について賛成、反対とか、評価をしましょうということよりも、言ってみればこんな思考実験をその作物としてまとめるということに1つの魅力を覚えたのと、もっと言うと、直接的にはエンダーズ・ウインブッシュさんという座長の方に、この方にもお目にかかったのですが、そのときに言われたんですね。日本にはこういう思考実験に類するものが全くないじゃないか、もし本当にやり方がわからないなら弟子入りしてこい、教えてやると言われたんですよ。(笑)それがちょっと思い出されて、1つ皆さんにお読みいただいて、どんなものか、ご感想を聞きたいなと思ったのが最大の理由ですね。

松田 横山さん、いかがですか。

横山 私は正直言って、どうとらえていいのかよくわからないんです。こういう分野の素人だということもあるのですが、どこがそんなにすごいのか正直なところ全くわからないんですね(笑)。何かすごく人口動態に寄っかかった判断をしているというのは、一面的に思えるわけですね。

人口も、例えばあるクリティカルマスのレベルがあって、それを超えると、ポリティカルにも軍事的にもある種の影響力を持つのではないか。例えばスウェーデンは人口800万人ぐらいですか。それでサーブ、フィゲンとかドラケンとか、そういうジェット戦闘機をつくれるぐらいの規模の国であるわけです。ところが、では、軍事的にどれだけの影響力を持つかというと持てなくて、サーブ、フィゲン、ドラケンも海外に売らないとやっていけないわけですね。だから1000万人を切っていると基本的にはそれほど影響力を持たない。ところが、数千万人の人口規模になると、短期的かもしれないけれども、かなりの攪乱要因になって、その短期の攪乱要因がすごく長く影響を及ぼすこともある。

それから、これにはベトナム戦争の経験の反省はどこに入っているんだろうか。ベトナム戦争で負けたときに、私はアメリカにいましたが、中国と戦争をしていたら、いい勝負をしただろう、ひょとすると勝ったかもしれないという冗談があった。なぜかというと、オペレーションズリサーチというのはMITで発達したので、その開発の大半は中国人なんだよと。だから、お互いにORのアプローチを知っていて戦ったらいい勝負になった、ベトコンはORを全然知らないから手に負えないよなという冗談があったんですね。そして実際に、その影響でアメリカの70年代というのはかなり苦労をした、スランバー・ランド・アメリカと呼ばれた時期ですよね。

そうこうするうちに、ちょうど70年代の終わりに『ジャパン・アズ・ナンバーワン』という奇妙なものが出てきた。短期的であっても、すごく影響を及ぼすというようなことはどこに入っているのだろうかと。なお、これは時期が時期だから北朝鮮などは入っていませんけれどもね。

だから、こういう形で判断していいのだろうか。アプローチ、方法論はわかるけれども、方法論の使い方が余り多面的ではないという気がするんですね。シナリオを書くのはいいけれども、もうちょっといいシナリオを書けるよなと思えるわけですよ。それにはどう答えるのかなということが1つ。

それから2番目は、やはり先ほどおっしゃった個人に集中するというのは非常によい面がある。私も過去の経験から、ノウハウは組織よりも個人に集中した方がいいんだ、実はリライアブルだと。でも、その持っている最大の欠点がある。

それは例えばこういうことで、スティグリッツの書いたグローバリゼーションの何でしたっけ。

谷口 よく売れている本ですね。

横山 あの本は中国を持ち上げ、ロシアのアプローチはだめと言っているわけですね。中国の漸進主義はよかったんだ、ロシアはゴルバチョフがひっくり返すというやり方をして、これは間違いであると。

ところが、スティグリッツは常に中国に行っているんですね。ロシアには余り行っていない。彼は経験主義者なので、若いときにはアフリカなどでかなり時間を使っている。だからそういう経験主義、自分の実感ベースの部分が、やはり思考にかなり影響していると思うんですね。

私はちょうど同じような時期にロシアへ行って、ああ、みんなが言っているロシアとはかなり違うなと。それはたかが1週間ですから、意味があるかどうかわかりませんが、でも、人はそういう皮膚感覚をちょっと持ってしまうと、それが思考に影響する。

これを作った人たちは多分どこにも行かないんだろうな、アームチェア・アナリストなんだなと。やはりアームチェア・アナリストがつくるものには一定の限界がある。だから、この人たちのどこに限界があって、どこまでは議論をしてもいいけれども、どこからは無理なんだよということを定義してくれないといけないなと思いましたね。

谷口 実はこれは客観的な分析でも何でもなくて......。

横山 わかりますよ。

谷口 シナリオを立てて、ある程度そのシナリオに身を任せて、論理の行き着くところに身を任せて行ってみましたなどというものですら恐らくなくて、本当を言うと、この参加者の中に、5番目にアーロン・フリードバーグというプリンストン大学の先生が出ていますが、この人1人のシナリオという部分が相当大きいんです。

彼は、要するに東アジアにアメリカの地位を脅かすような強大な存在が出てくるということが、アメリカにとってはまず許しがたいんだという、そこから始まっているんですよ。そのようにお考えいただけると、中国に関するこういう見方が出てくるということはおわかりいただけると思います。

あくまでもこれは、僕はこれに賛成とか反対とか言う立場にないので、言いませんけれども、そういったものですね。

夏川 私はさっき言ったように、もう少し中身がわからないのでわからないというのは、同じような感じなんですが、これをやったやり方は、谷口先生はご存じかどうか、私は知らないのですが、今までの米軍あるいは米海軍のやり方を見ていて、これはニューポートの海軍大学でやっているのですが、多分こういうやり方をやっただろうなという話、想像で言いますと、これらの方が集まって、これにも多分スタッフがあったり、いろいろなデータを集めたと思うんですよ。

そして出ているものが、影響を与えるものが人口とか、もちろんエネルギーとか、そんなものではなくて、さっきおっしゃったようにいろいろなものを全部ひっくるめた、それをベースにして、それからシナリオを1つ書いたら、これに対して最初、ある程度立ち上がりからシナリオを進めていきますよね。では、ここでどうなるんだと、みんながポリティコ・ミリタリーな感じでいろいろな意見を出していくのだと思うんですよ。

そして、完全にミリタリーの部分についてはウォーゲームのセンターで、そっちにかッてぐるぐるっと回してみて、こうなったよと。では、それからどうなるんだ、また、ここでこういう要因が入ったらどうだこうだとディスカスをしながら、ウォーゲーミングをしながら、お互いにそうやりながら、結論はこうなったよと。それは結論も、多分全部は出せないと思うのですが、ここでこうなりましたよということで、ここで一応切りましょうというようなことでやっているのだと思うんですよね。

もう1つは、これに似たようなもので、ワインバーガーさんが書いた『次なる戦争』というのがあるのですが、それも大体同じようなあれで、ずっと小説的に書いていって、最後、アメリカはこういうところがまずかった、こうしなければいけないと、最後にどちらが勝ったというところにまで行かなくて、そういうやり方をやっているのと、多分同じようなやり方でやっているのではないかと思うんです。

だから、そういうやり方をするならば、日本は少なくとも安全保障に関して、防衛庁サイドではこういうやり方はしていなかったということですから、やっていくということは非常によいことだなと。しかも、それに防衛庁サイドだけでなくていろいろなところ、全省庁などに入ってもらって国としてやっていくということになれば、今までとかなり違った質のものが出てくるのではないかなという感じはしますけれどもね。

横山 ちょっと先ほどの"ベトナム戦争の経験は"というのと、皮膚感覚まで持った方がいいのか、アームチェアでやった方がよいのかというところは、私はどっちがよいのかわからないのですが、例えばハルバースタムの『ベスト&ブライテスト』に非常に悲しい場面が出てきますよね。マクナマラが、ベトナム戦争末期に初めてベトナムに行って茫然としてしまう、自分は何をやっていたんだろうというところの描写がかなりありますよね。ちょっとその表現は忘れてしまったけれども、彼がむなしく何かスローガンを何度も叫ぶんですよね。

その部分のアメリカというのはどこかへ消えてしまったような感じがする。それでやはり中国と言ってしまう、そしてインドだと。それだったらだれに言われなくてもわかるわい、そんなものシナリオをつくらなくても、中国とインドに決まっておるじゃないかと言いたくなるんですよね(笑)。

谷口 確かにそうです。

横山 だから、何のためのシナリオなんだと思えるんです。

物事はシナリオどおりに行かないからおもしろいのであって、ここではっきり言うと北朝鮮は落っこちていて、ベトナムはもう忘れちゃったと。さっき言ったように人口というのは二、三千万人いれば、ある指導者の意思によっては結構なことができるんだよということですよね。

大きいからということでないのは、日本はアジアのGDPの8割近くを占める。だからGDPの1%の軍事費、軍事費と言ってよいのか、自衛隊の費用に使っていると、それは5兆円あるわけですよ。そうするとアジア最大に近いわけでしょう。そしてイージス艦を使える国はそんなにないとかね。だから、何か我々が知っているリアリティーとこのシナリオがどこかつながらないという感じがします。

夏川 私の過去のあれで言うと、長期で、自衛隊でも長期計画というものをつくるのですが、10年以上先の話は、15年かな、こういうことはできないということが定説のようになっていて、シナリオを幾ら書いてもそうなるかどうかはわからない。だから、長期は技術だけで見ていこうと。技術がどうなるか、装備がどうなるかを見て、そこから言える範囲の体制などを、まあまあ予測をして、一応のものをつくりましょうと。

中期ぐらいになると、若干戦略的なもの、戦術的なものも入れます。短期になると、もうほぼ戦術・戦略、戦術が主になってくると、こういうつくり方をするので、そういう目で見れば、まあ、ちょっと難しいかなとは思いつつも、これを読んでいってみると、先ほど言ったようにベースがわからないのでわからないというところはありますが、しかし、これもおもしろいなと。それは確かにそのとおりになるとは限らないとは言いながらも、その中で出てくるディスカスの中にいろいろなものが入ってくるだろう、それをきちっと拾えれば、かなりのものができるのではないかなというふうに私は思います。

横山 それはそのとおりなんです。だから、正しいか正しくないかは問題ではなくて、みんなが巻き込まれて感覚を鋭敏にしていき、どこかで忘れていたことが浮かび上がってくるとか、余り重要と思っていなかったことが、そのバランスが変わって、これが重要だなと思うようなことが出てくるとか、そういう意味であればよくわかります。それだったらもっと方法論は具体的に展開できるのではないか。シナリオを書きますというのでは方法論にはならないと思います。

企業の30年先の戦略をつくれと言われたことがあった。普通は30年先などというようなことを言う人はいないんですね。まあ、3年から5年なんですが、30年と。それでいろいろ考えて、私なりの方法論をつくったわけです。

そこで、まず不連続というのは必ず起こるけれども、不連続はもうあきらめる。1960年代の技術予測の中で1970年代に出てきた3大技術は予測できなかったように。それはマイクロプロセッサーの発明、遺伝子組み換え技術の出現、それから要するに新材料が設計できる、この3つは不連続に出てきて、60年代の技術予測には載っていないわけです。60年代初頭の技術予測で載っていたのは宇宙工学とか海洋工学とか老人工学とか、システム工学系の予測ばかりなんです。ところが、70年代に不連続に3つ出てきて、その最初に出てきたマイクロプロセッサーの発明というのが世の中をすごく変えたわけですよね。

だから、不連続は扱えないという前提で、シナリオをどのようにつくるかということを考えたんですね。これは企業で、国ではありません。

それで、3つの効果に分けてシナリオをつくる、それを重ね合わせてみる。1つは「平衡効果」という考え方なんですね。

谷口 パラレルですか。

横山 バランスです。だから、ハイテクがあればハイタッチがあるということなんですね。グローバリゼーションがあればリージョナリズムがある。これは補完関係にあるものであって、グローバリゼーションの対立概念は国家主義ですよね。だからグローバリゼーションとリージョナリズムというのは併存し、バランスをとるわけです。

ハイテクがあればハイタッチがあるわけです。超高級のホテルはハイタッチだけれども、テーブルの下にはコンピューターのシステムが隠れているわけで、見せないというようなことですね。

そうすると、高齢化時代、高齢化時代と騒ぐけれども、高齢化時代とバランスする概念は年齢不詳化時代ということですよ。年齢は関係ないんだ、20歳で現役引退でもいいんだよ、もう12歳でベンチャーをやっちゃって大金持ちになって、20歳で隠居になったと言ってもいいんだよ。カーネル・サンダースのように75歳でケンタッキーフライドチキンを始めたっていいんだよと。高齢化があれば年齢不詳化がある。

そして、人が何か言っていたら必ずそういうバランスする概念を見つけ、少子高齢化時代と騒ぐのではないということなんですね。それが「平衡効果」、要するにバランスする効果をシナリオの中で必ず見つけることと。

それから2番目は「累進効果」。「風が吹いていますね」と言ったらおけ屋がもうかるというところまでしゃべると。

風が吹いていますと言ったら、もっと吹くかもしれませんね、やむかもしれませんねと言ったのでは何にもならないわけです(笑)。砂が舞い上がって目に入って、目が見えない人がふえて、三味線弾きになって、三味線の皮の猫が少なくなって云々云々と、物事は必ずそのように累進的に展開するのだから、すべてに関して「累進効果」のシナリオをつくれということをやるんですね。

それから3番目は、当たり前だけれども、「反転効果」です。世の中はサインカーブのようなものだ、だから上がれば下がる、下がれば上がると。

株は上がったら必ず下がる、下がれば必ず上がるよと。要するに必ずどこかで反転する、その反転のきっかけは何だかわからないけれども、反転する。だから「反転効果」、すべてのものをどのように反転するかという議論をしてみようと。将来30年間、これはどう反転するだろうかと。日本の人口は、ただひたすら減っていったら、もうゼロになっちゃうのか。そんなことがあるわけはないので、どこかで何かの反転があるだろうという議論をするわけですよ。

重要と思われる項目について3つ、「平衡効果」、「累進効果」、「反転効果」、それだけで議論するわけです。そして、それが重ね合わされたときにはどうなるだろうと。そのときにはその3つのことを議論した後だから、頭がかなり回転して敏感になっていますから、このようになっていくかなというシナリオが勝手にできるわけです。

だから、あるシナリオができ、別のシナリオもできる。どれができたっていいわけで、どれも基本的には当たらないかもしれないけれども、単にシナリオを書くのではなくて、ある種の、みんなの脳を刺激するというアプローチをとりながら、多少複雑なシナリオができる。

でも、なぜ当たらないかというと、不連続が予測できないからです。

夏川 そうですね。

工藤 なるほど、それは1つの非常な蓄積の中で生まれた方法論ですね。

横山 我々はクライアントから頼まれると、そこで考えるから、30年先を読めと言われたときに、どうするかと考えて出てきたことなんです。

工藤 そうしたら、例えばさっき人口と言うだけでは多面的ではないというか、どこのターゲットに今の方法論を使えばいいですかね。確かに人口というものは1つありますよね。

横山 いや、人口にはクリティカルマスがあるということをさっきから言っているわけです。1億人なのか1000万人なのか3000万人なのか5000万人なのかと。それを無視した議論は意味がないと思うんですね。

工藤 この資料は人口とエネルギーですよね。

夏川 いや、それだけではないでしょう。そんなものではやっていないですよ。

横山 だから、どういう規模のときに存在感を発揮しようと思えば発揮できるか。やはりリーダーシップの持つ方向づけというものは結構意味がありますから。それをモービライズできるというと、多分3000万人ぐらい、あるいは5000万人とか、そのぐらいで。そうしたらアジアにはそのぐらいの規模の国はたくさんあるわけです。

そして、中国は単一の中国であるというシナリオになっていることも非常に不思議で、日本では将来的に単一の中国であるはずがないという議論は盛んにされているわけですよ。プロビンスというものが力を持ってきたときに、どこかで今の単一中国というものが崩壊するのではないかという議論があるわけです。ところが、この資料は"中国"と言っているわけですね。

それから、ここに出てくる日本は、要するに1990年代の日本の状況の反映でしかなくて、25年先に日本がこうだったら日本はつぶれていると思わざるを得ないんですね(笑)。

私がフランスにいてつくづく感じたのは、日本は軍事的にも文化的影響力においても、すごい大国である。これをなぜ無視してしまうのかなと。

この内容を今議論しても始まらないとは思いますが、どこかシナリオを書くときの押さえどころ、もうちょっと詰めるべきものがあるように思うんですね。

夏川 まあ、内容はあれですが、何のためにまとめるかというところもあったと思うんですね。これは割と軍事的なもので、結論にも書いてあるように、長距離のものをつくるとか、そういうものが出てくるような感じでやっていると思うんですよね。そうするならば、まあ、その辺は大ざっぱに切っていいやということがあったのかもしれないですね。もっともっと、今ここでやっている、アジアの中で日本がどうやっていけばよいのかという全部を含めたものでやろうとするならぱ、こんな単純なものではなくなってくるだろう、もっといろいろなものが入ってくるだろうと思うんですけれどもね。

横山 だから、先ほどおっしゃった、どういうベースの上でのこれかということがあって、しょせん国の戦略はいろいろなものの綱引き関係であると。

夏川 そうですね。

横山 これはこっちに引くよ、だれかがあつちに引いてくれるんだなという前提であれば、これはこれでいいんですよ。別のことで、いろいろな引きがあって、それのバランスで、どこに重心がちょっとこう動くかなという関係の中でこれが存在しているのならいいのですが、これが本当にそのままポリシー・デシジョンの方へ行ってしまうと、やはりちょっと危ないというか、何かどこかが欠けていると......。

谷口 現にこれは99年ですから、民主党政権下ですから、一種のデモンストレーションですよね。ブッシュになって、一時は中国に対する見方はこの線だったのですが、ぶり返されてしまったわけですから、横山さんがおっしゃるとおり、いろいろな綱引きの中での一文書にすぎない。

それはそれとして、日本がアジアの戦略を考えるというときに、このおっしゃったような物の見方、3つの見方で考えてみるということも含めて、何か、僕はとにかくこういうものがあったらいいなと思うのは、思考経路がきちっと後から検証できるような......。

横山 そうです、全くアグリーですね。

谷口 だから、全然知らない人が見ても、ああ、なるほど、こういう手順を経て考えていって、この結論に来たのかという、そこさえちゃんとできればよいように思うんですね。

横山 全くそのとおりで、それは私も大賛成です。

松田 これは何か特定の意図があったんですか。

谷口 あったと思いますね。それは1つにはクリントン政権、民主党政権の中でないがしろにされていて、国防予算も減らされまくっていたという状況があるでしょうし、ヨーロッパセントリックで、アジアはやはり手薄だということがあったでしょうね。

松田 では、インドに着目するというのも1つあるわけですね。

谷口 あったと思いますよ。

横山 これはこの後にまた出てはいないんですか、リバイズはされないんですか。

谷口 されていないです、非常にアドホックなもので。

夏川 だけど、7回目とかなんか書いてありましたよね。だから、何年後かにまたやるんですかね。

谷口 勉強会自体はやっていると思いますけれども......。

夏川 レポートとして出すかどうかはわからないと。

谷口 こういうアジアの何たらかんたらというものが出るかどうかは......。

工藤 その後にブルーストークだっけ、日米の経済共同体論みたいなものがありましたよね。太平洋で日本と一緒に、市場を一体にするという議論があって、同じようなチームで、日本パッシング論になったとき、それで日本併合論が出たときに、メディアを中心に何かいろいろあったんですよ。

横山 ああ、そう。

工藤 僕が『論争』をやっていたときだから、あれも2000年ごろ、ちょうどこの後だよね。

松田 そうですね。

夏川 話はちょっとそれるかもしれないですが、アジア戦略会議の中で安全保障問題をどう位置づけていくかということで、今までの日本であれば"安全保障もちょこちょこっと影響するな"ぐらいだったと思うのですが、今までこういうやられ方が、日本全部でも、それから防衛庁、自衛隊の中でも余りされないというのは、結局、攻めないということにあるわけなんですね。

守るだけだから、要するに来ればやるんだ、その兆候さえ見つかればいいと。それも情報関係は余りやっていませんから、熱心ではないですけれどもね。だから、こんなことは考えなくてもいいわけですよ。攻めていかないわけですから、どこと組もうとか、そんなことは余り考えない。しかも日米安保はもう前提ですから、だからやっていないわけなんですよ。もう正直な話、そこに戦略なんて生まれてきようがない。

それが軍事――まあ、安全保障かもしれない――だけであればいいけれども、精神的なものですから、そうでなくて外交とか、当然いろいろなことに全部影響するでしょう。だから、そういう面に1つ目を向けるという意味であれば、やり方は今からやらなければいけませんが、いろいろな分野が集まって、今回は安全保障だけ、今回は何とかだけということではなくて、総合的にやってみるという場も必要かな、非常によいのではないかなと私は思いますけれどもね。

横山 まさに守るだけということが、安全保障だけでなくほかの分野にも、日本の方向づけに無意識に影響していたように思うんですね。

企業は国ではないから勝手に動くけれども、国全体としては、どちらかというと安全保障と同じようなところに引きずられた形で動いてきたかもしれない。日本がリーダーシップを発揮するとか、そんなことではないんだと。そういう意味では、今ある種の転換期かもしれないんですね。

夏川 転換期で、転換するならば、よい意味で転換させなければいけませんので、ぐっと右に偏りすぎて転換してもらっては困るのでね(笑)。

横山 そうですね。そういうときにいろいろな人が参加するのであれば、おっしゃったようにある種の思考のプロセスを後からちゃんとトレースできるような形で議論が進めばいいでしょうね。

工藤 今のところはみんなアグリーしているんですよ。ただ、それを具体的にどのように進めるかというところになっていまして......。

谷口 その知恵ですよね。

工藤 ちょっときょうはペーパーがないのですが、一応この前に出した論点というか、第1フェーズでこうやるというのがあったじゃないですか、とにかく変化とか、中長期的なものを見ましょうと。そこをやりながら......。

横山 5つのステップの話ですか。

工藤 そうです、1番目のところ。多分そこあたりをやりながら、2番目が一番重要なんですよ。2番目と言うか、国が将来に向けてどう考えられるのかというところ、そこにつなげるところまでの......。

横山 3番目。2番目は日本の強さ、弱さ。

工藤 そう、そう、演繹法的に言えば、この2つまで1、2パッケージでやらないとまずいわけですよ。そこのときに、今ちょっと第2フェーズに項目があるのですが、たしか人口ということの見方がありました。技術というところは横山さんが言った強さ、弱さというところの再評価という点で、軍事力とか技術とか、あと何か言ったよね。教育は入れていなかったかな、何かそういうものを5項目ぐらい入れてやりましょうとか、そういう形は第2フェーズに入っているのです。

こういう形のアプローチというと、これは意図があろうが、まあ、どうかわからないけれども、いろいろなところで確かに、夏川さんが言ったように議論していると思うんですね。その中で、まとめるときには人口というベースを結構強めているわけですよ。

横山 だから、例えば人口をとらえたときに議論をどう進めるのかという、そこでやはり、そのレベルでの方法論も必要なんですよ。だから私は規模ではないぞと言っているわけです。それから人口構成、年齢構成でもないかもしれない。やはりクリティカルマスとか、ある種の不連続点がある。何かそのような概念を持ち込んで議論をしないと、人口を人口として議論をしても何も出てこないと思うんですね。そういう仮説なんです。

クリティカルマスというのがある。だからスウェーデンのように、1000万人を切っている国は永遠にどんなパワーにもならないと。ところが3000万人いればある種の行動は起こせる、それは幾らでも攪乱要因になり、攪乱要因というのは長期的影響が大きいというような、例えばそういう仮説がある。いや、違うんだとか、人口に対しても何かそういう議論の進め方が要ると。

それから、私は大衆文化の影響力を無視してはいけないと思います。やはり教育よりも大衆文化の影響力がすごく重要であって、アメリカというものがなぜあれだけの力を持っているかというと、大衆文化の影響力があらゆるところに浸透しているからです。

谷口 常々個人的に一度頭の整理のためにやってみたいなと思っているのは、横山さんが今おっしゃっているような項目のマトリックスのようなものをつくってみたいなと思うんですね。日本でも中国でも横に並んで、縦軸に......。

工藤 人口とか何だとか......。

谷口 大衆文化云々と。

工藤 あれでは国際世論というものを入れているんですよ。

横山 いや、大衆文化の影響力というのは、その国の大衆のある種の価値観の醸成とつながっているわけですよ。先ほど最初にちょっとお話ししていましたが、要するに指導層と大衆との乖離が大きい状況というのは非常に扱いにくい、イラク戦争というのはその部分が目立った。

工藤 谷口さん、その項目のマトリックスですが、とりあえずこの前のアジア会議では、一応項目を10個ぐらいワーッとつくったじゃないですか。あれは僕が思いついたわけではなくて、横山論も見たりとか、いろいろ考えてつくっているのですが......。

横山 それは、やはりミューチュアリー・エクスクルーシブで、コレクティブリー・エグゾースティブな項目をつくらないとマトリックスにならないんです。男と女というのはミューチュアリー・エクスクルーシブで、人類という意味ではコレクティブリー・エグゾースティブです。

男と女と子供と言ったら、ミューチュアリー・エクスクルーシブでもないし、コレクティブリー・エグゾースティブでもないんです。実際にそういう項目を拾ったときに、男と女と子供みたいな項目があったり、哺乳類というのに人間と犬と猫しか入っていなかったり、アルマジロとか象とかクマはどこに行っちゃったのという問題です。コレクティブリー・エグゾースティブでないと。

だから、ミューチュアリー・エクスクルーシブでコレクティブリー・エグゾースティブな項目を拾えるんだなと。それも方法論なんですね、そこの項目をきちっとそのように拾ったということが......。

谷口 それ自体がある種の判断のあらわれですよね。

横山 そうです。

谷口 でも、難しそうですね。

横山 難しいんだけれどもね。

工藤 おもしろいよね。

横山 コレクティブリー・エグゾースティブにする単純な方法は"その他"と入れておけばいいんです。(笑)だからコレクティブリー・エグゾースティブは易しいんです。

ミューチュアリー・エクスクルーシブは、よく吟味して見ればいい。それで実際に試しにデータを入れてみて、縦軸と横軸にして、ある種の正の相関とか逆相関があったら、それはミューチュアリー・エクスクルーシブではないと。

だからチェックはできますから、ミューチュアリー・エクスクルーシブなものはつくれるし、コレクティブリー・エグゾースティブにしたければ"その他"と入れておけばいいだけなんです。でも、そういう意識で項目を拾わなければいけないということです。

こういう話は消してくださいね(笑)。

工藤 とりあえずつくってから考えないと、これは......。

横山 つくってから考えるんですよ。

工藤 その方がいいですよ。

横山 つくって、今言った視点から吟味するということです。

工藤 今、長期予測というか、長期のもので出ているものには何があるんですか。

夏川 何に関してですか。

工藤 これからの、何でもいいですから。例えば、予測が正しいかどうかは別にして、人口はありますよね。あとは、技術力とか、そういうものには何があるんですか。

夏川 技術予測は何かあるでしょう。

横山 技術予測というのはあらゆる分野でやられています。それはかなり長期です。ただ、まとめてやっているものはそうはないかもしれない。さっき私が言った1960年代初頭というのはマグロウヒルだったと思いますね。そういうところがやっているものはあるでしょう。

工藤 さっき夏川さんは、防衛庁で長期をやるときには技術でやっていると言っていましたよね。それはどういう予測をベースにしているんですか。

夏川 それはまとまった文献を持ってくるということではなくて、その期間にずっといろいろなところ、世界じゅうの文献から拾いますよね。それをもとにして自分たちでこうなるだろうということを考えるということなんです。その程度のものであれば、それは幾らでも、科学雑誌とか、いろいろなものに載っていますから......。

横山 人口動態予測、出生率の予測は、この資料は比較的正しいと思うんです。なぜこうなのか、なぜこうなるのかということも説明はできるんです。だから、さっき言ったように「平衡効果」、人口が減り、しかも高齢化であるということに対するカウンターバランスの概念は何ですか、それは強みになるんですか、弱みになるんですか、何にもならないんですかということなんですよね。

年齢不詳化時代というのは意味を持つことがあるわけです。これからの軍事力はインファントリーの軍事力、歩兵の数ではないわけでしょう。そうすると人口の持っている意味合いは大分違うだろうと。

夏川 それはそのとおりですね。

横山 だから、何かそういう議論はできるのではないですか。

アジア戦略会議勉強会「アジアの2025年」議事録 page2に続く

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