日本の民主主義を立て直す

組織力賞 講評

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1.審査の視点

 「組織力賞」では、エクセレントNPOの評価基準に沿って、組織の使命や目的を示す文書によって組織の課題が明確になっているか、それらの方針や、その方針に基づく事業の成果がホームページなどで公開されているかなど、情報開示、資金調達の多様性や透明性などの点を中心に審査が行われました。また、その組織の在り方がその組織の使命や目的に見合っていて、中立性や独立性を維持しているか、そしてその組織は、その使命を持続的に遂行できる基盤を十分に持っているのか、という面からも審査しました。

2.審査結果

(1) ノミネート団体

「認定特定非営利活動法人 杜の伝言板ゆるる」

 本団体は宮城県を中心に、NPOやボランティア団体が活動しやすい環境づくりと、地域の人がボランティアに参加しやすい環境づくりを目指して活動する法人であり、いわゆる中間支援組織です。中間支援組織の場合、資金調達とNPOへの助言等を行うための各種の能力を備えた、組織力が大きな課題となります。本法人は任意団体時代から数えると20年近い活動経験から多くのノーハウと人的資源を有しています。一方、指定管理事業や委託事業など、自治体からの資金が収入の3/4を占めていることによる財政的な持続性の問題も認識しています。また、多数の協働事業に着手していることから、特に組織の中立性や独立性を担保する意識が高いと言えます。なお、資金調達の明確性について、その資金調達ルートなど明確に記されていました。さらに言えば、そうした調達方法を組織の合意事項や方針として持っていることを公表することで、組織の姿勢を示すことができるのではないでしょうか。

 

「社会福祉法人 福田会」

 大正10年に設立された本会は、児童養護施設、福祉型障碍児施設、認知症高齢者グループホーム、就労継続支援B型の運営など、各種の社会福祉事業を行っています。社会福祉法人であることから公的資金(措置費)が収入の中心ですが、財源の多様化を目指して後援会を設置し、会費や寄付を募っている点は他の団体のモデルとなるでしょう。本年6月に行った、クラウド・ファンディングにも成功しており、組織の課題を認識し、対応策を工夫し挑戦する点は高く評価できます。また、組織の全体像はホームページ等で開示されていますが、情報更新の迅速化や、より明確に説明する必要性を認識されている等、組織としての自立性と改善能力が高いと思えます。課題解決力との関係で、目標に対する事業の成果を定量的にも説明できると、組織としての能力をさらに示すことができると思います。

「特定非営利活動法人プール・ボランティア」

 本法人は「障碍者も健常者も誰もが等しくプールを楽しめる社会の実現」を目指して大阪・奈良・兵庫の公営プールでボランティアがマンツーマンで障碍者・児に水泳指導を行っています。それだけでなく、プール・オンブズマン事業、障碍者用水着等の企画開発事業や障碍者対応研修や施設点検事業など、障碍者が公営プールで泳ぐための具体的な提案やアドボカシーなども行っています。ボランティア中心の活動であり、ミッションを堅持しつつも社会の動きに合わせた柔軟で自然な事業展開を目指しており、自由でユニークで楽しい、そして感動と充実感あふれる組織文化があり、組織としての力と魅力もそこにあると思います。同様の活動を行っている団体は無く、社会的な必要はますます拡大すると想像できます。

 収入の90%以上が障碍者水泳指導事業からであり、収入の多様化を図ることが急務であることと、他地域への活動の拡大を期待したいところです。

「認定特定非営利活動法人 TABLE FOR TWO International」

 日本および欧米の先進国において食生活の改善と開発途上国への寄付事業を通して、世界の肥満と飢餓の解消を目的としている本法人はマスコミなどでその活動が度々取り上げられています。一食20円の寄付と言う工夫を行い、650団体の参加を得て、大口の寄付や補助金に頼らない資金源の多様化を図っている点で高く評価できます。さらには、個人寄付の充実を図るためのホームページでのオンライン決済の導入など、新たな取り組みも評価します。また、寄付を受ける際の方針も制定されており、資金調達のプロセスが透明であることなどは他の団体のモデルになると思います。今後は活動の成果や社会的インパクトを定量的な評価も含めて公表できればより組織としての信頼度が増すのではないでしょうか。

(2)組織力賞

「杜の伝言板ゆるる」

 最終審査会で組織力賞ノミネート団体について議論し、最終的に「認定特定非営利活動法人 杜の伝言板ゆるる」が受賞団体に選ばれました。

 情報開示や法令順守、資金調達に関する課題認識も明確であり、総合的な面で、組織力に優れていることから組織力賞としました。今後はさらなる財源の多様化に向けて具体的に取り組むことが重要でしょう。宮城県下のNPOが今後さらに活動を活発化するための支援ができるよう期待しています。

 受賞には至りませんでしたが、ノミネートされた他の3団体も受賞に匹敵するような高い組織力を持っています。

3.今後に向けての期待・課題

 過去3回の応募状況と比較しても、情報開示や資金源の多様性に対する理解は深まっていると思います。しかし、実行となると難しく、どの組織も組織の持続性の観点から資金源の多様化が大きな課題になっています。日本には寄付文化がないと悲観的な意見が一般的ですが、今回二次審査で取り入れた、クラウド・ファンディングでは、皆様、大きな成果を上げられました。その意味で、今後も、新たな資金獲得の手法が生まれてくることを期待しています。また、組織の中立性、独立性、公序良俗については、誰もがそうでないと回答していますが、その根拠となる説明が希薄な点が気になりました。この点については互いに議論が必要かもしれません。

 また、人材育成も大きな課題です。現在、応募書類の基準には含められていませんので、皆さんと議論をするなど検討の必要がある課題のひとつだと思います。


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