「2008年 日本の未来に何が問われるのか」 / 発言者:瀬戸雄三氏

2008年1月01日

国益を考えて行動する日本に

 経済人として感じるのは、日本の国際社会におけるプレゼンスの低下です。私は、特に中国、韓国にお付き合いがありますが、中国、韓国だけでなくアジアの中での日本のプレゼンスが低下しているのではないか。それを非常に危惧しています。その原因は、やはり国内の政局に翻弄されているということですね。日本の国はもっと国益を考えて主張する日本にならなきゃいけないと思います。世界の各国は全て国益を考えて行動していると思いますが、日本に果たして将来を考えた国益をもとに動いておられる政治家が本当にいらっしゃるのか、世界を主導すると申しますか、アジアを主導する気概のあるリーダーが本当にいらっしゃるのか、このあたりが経済界の人間としては非常にじれったい思いが強くします。

 日本人は非常に知識が豊富です。情報も豊富です。この知識と情報をフルに発揮して、この日本の国ということにスタンスを置いた行動をとってほしい。政治家も、官も民も、もっと考えて動くべきである、こういう風に思います。

 そういった意味において、もっと日本人はものを言わないといけないと思います。どうも、人前でものを言うことに対してはばかる、遠慮するきらいがあります。こうした日本人独特の、昔は美徳といわれたものを改めて、これからは主張する日本人、国益を主張する日本人にならなければいけません。ぜひ、2008年は、こういうことを考えた行動をしていきたいと思います。

 それを主導をしていくというか、それをやっていくのは言論NPOだと思います。言論NPOにそうしたリーダー的な役割を担っていただくことを期待します。

発言者

瀬戸雄三氏瀬戸雄三(アサヒビール株式会社相談役)
せと・ゆうぞう
profile
1930年神戸生まれ。53年慶應義塾大学卒業後、アサヒビールに入社。76年に神戸支店長、82年に大阪支店長、86年営業本部長を歴任。92年、代表取締役社長に就任。97年に日本経営品質賞を受賞。99年会長就任後も精力的に経営改革を推進。現在は相談役。著書に『逆境はこわくない』等。社団法人日韓経済協会会長。

 経済人として感じるのは、日本の国際社会におけるプレゼンスの低下です。私は、特に中国、韓国にお付き合いがありますが、中国、韓国だけでなくアジアの中での日本のプレゼンスが低下しているのではないか。それを非常に危惧しています。その原因は、やはり国内の政局に