言論NPOには、オピニオンリーダーとしての役割を期待する

2012年10月10日

武藤敏郎氏(大和総研理事長)

 私は、今の日本の民主主義は試練の最中にあると思っています。どういうことかというと、かつて日本の高度成長期には、パイの配分を巡って、民主主義がかなり機能しました。しかし、日本が平和な成熟国家に到達した時点で、国民が大きな問題に関心を持たなくなって、自分の利害に強く関心を持つようになった。これに政治が敏感に反応して、いわゆるポピュリズムのような現象が起こっています。そういうことになると、民主主義はある意味で、民主主義であるがゆえに、自ら、機能のレベルを下げていってしまうことになってしまいます。

 そこで、必要なことは、オピニオンリーダーの存在だと思います。国民、政治家、政党、それぞれがしっかりして欲しいと思いますが、まず、言論界なりメディア界がしっかりしたオピニオンを信頼できる形で発信する。そして、国民にそれを聞いてもらって、判断の材料にしてもらう。そういう役割が、今の日本にすこし少ないのではないかと思います。ですから、言論NPOは、このオピニオンリーダーの役割、しかも公平公正、信頼できるオピニオンリーダーとして活躍されるということが、必要なのではないか、という風に思っています。

 私は、今の日本の民主主義は試練の最中にあると思っています。どういうことかというと、かつて日本の高度成長期には、パイの配分を巡って、民主主義がかなり機能しました。しかし、日本が平和な成熟国家に到達した時点で、国民が大きな問題に関心を持たなくなって、自分の利害に強く関心を持つようになった。これに政治が敏感に反応して、いわゆるポピュリズムのような現象が起こっています。そういうことになると、民主主義はある意味で、民主主義であるがゆえに、自ら、機能のレベルを下げていってしまうことになってしまいます。