いよいよ今夜、フォーラム開幕です

2009年11月01日

左・チャイナデイリー高岸明氏

 工藤です。いま、大連にいますが、こちらはとても寒いです。北京では大雪が降っていて、飛行機の運航状況にも影響が出ているようです。そのような中、私たちは第5回目となる日本と中国の対話を、今日の夜から始めます。

 今回のフォーラムは、政権交代があり政治状況が大きく変わっている日本と、経済的な台頭がますます高まっている中国が、アジアの未来に向けて新しい関係をつくることができるか、あるいはそのための準備を始められるか、ということが大きなテーマとなります。

 私たちはこれまでこのフォーラムを4回開催してきました。ちょうど5年前は、日中関係が最悪で、中国の学生がデモを行うなど、緊迫した状況でした。そのようなときに、日中関係をなんとか改善するというだけではなくて、民間レベルで本気の議論をし、アジアの未来に向けてひとつの流れをつくりたいという大きな思いがありました。
 4回のフォーラムを開催する中で、いろいろ課題が見えてきました。それは、政府間関係は良くなってきたものの、国民間の意識はそれほど大きくは変わっていないということです。それがはっきり分かってきました。
 この5年間、私たちは毎年、日中共同世論調査を行い、両国民の意識を把握してきました。その調査によると、政府間関係の改善に伴って、国民の対中感情や中国の対日感情がある程度は改善しましたが、なかなかその先に進まないのです。進まないだけではなくて、お互いに対する認識がまた悪くなってきている。

 この構造は何なのかと考えると、中国が依然日本のことを過去でしか見ていないということがひとつあるでしょう。中国国民の中には、日本を軍国主義だと思う人がいまだに半分近くいます。一方で、世界は大きく変わっていて、中国も大きくなっている。そのような隣国の台頭に、日本国民は不安を募らせているのです。つまり過去と未来について、お互いの認識に距離、ギャップがあるのです。この2つの大きな国が同じ土壌で議論がなかなかできないということは、大きな問題です。

 アジアの未来を考えるときに、政府間関係はもちろん重要です。が、それだけではもう前には進めません。民間が本当の意味で語り合い、議論をし、交流をして、新しい環境をつくるための努力をしなければ、次のステージには進めないのではないでしょうか。

 今回のフォーラムは、そのために日中のキーパーソン約100名を集め、政治、安全保障、地方間対話あるいはメディアについて、幅広い議論を展開していきます。
 いま日本では国会が開かれていると思いますが、民間主体でアジアの将来に向けてこのような対話が民間ベースで自発的に動いていることをぜひ皆さんにも知っていただきたい。大連で繰り広げられる議論は、言論NPOのサイトで順次公開していきますので、ぜひご覧ください。

 それにしても大連は本当に寒いです。皆さん風邪をひかないように。