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 14回目を迎える「東京-北京フォーラム」の役割とは

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工藤泰志(言論NPO代表)
聞き手:高原明生氏(東京大学公共政策大学院院長)

⇒「第14回日中共同世論調査」
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⇒ 第14回日中共同世論調査
をどう読み解くか
⇒ 「第14回日中共同世論調査」記者会見報告
⇒【工藤論考】第14回日中共同世論調査の読み解き方

世論を動かし、政府間外交の土台を作ることが対話の目的

高原:もうすぐ「第14回東京-北京フォーラム」が東京で開催されます。その前には常に、日本と中国の両国で共同世論調査を実施することになっているのですが、そもそも、この「東京-北京フォーラム」は何のために開かれているのか、改めて工藤さんにお伺いしたいと思いますので、その辺からよろしくお願いします。

工藤:今でも忘れられないのは、13年前、日中関係が非常に悪くなった時に、北京の日本大使館が5000人の群衆に囲まれているテレビの映像を見たことです。この状況というのは誰が直すのだろう、と思いました。政府間は当然、対立している。メディアは、お互いを批判するために国民のナショナリズムを高めてしまう。多くの人たちはそういう気持ちを持ちながら、経済界も口をつぐむし、友好運動は全部止まってしまう。つまり、世論を改善できるような大きな仕組みを日中間に作らないといけない、と思って、中国に飛び込んで、中国との対話を作ったわけです。

 この対話は、単なる対話だけではなく、日中間の課題解決に立ち上がって頑張っている人たちの姿が、両国の国民に見えなければいけないと、私は思ったわけです。その議論がオープンになり、そして世論調査をして、両国の国民が何を考えているのかを明らかにした上で、その解決のために皆が真剣に汗をかいている姿を多くの人に知ってもらうことによって、初めて世論を大きく動かせるのではないかと思いました。それが14年間、日中間で戦争間近と言われた尖閣問題もありましたが、一度も中止せずに、ここまでたどり着いた。私から見れば、単なる対話よりも、政府間外交を支える一つの環境作り、土台工事をやっていて、これを「民間外交」と言ってもいいと思っているのです。それが今回、東京を舞台に第14回が行われるという状況になっています。

高原:今年、2018年の「東京-北京フォーラム」の特別な意義については、どのようにお考えでしょうか。


世界史的な局面を迎えた2018年、今回のフォーラムで何を達成するのか

工藤:5年前に、高原先生にも力を貸していただいたのですが、尖閣問題で日中間の外交が停止し、ヨーロッパのメディアは「日中の戦争が起こるのではないか」と報じました。領土問題では日本は譲れないという状況で、多くの市民は、偶発的な事故から戦争に至るような危険性を感じていました。それを何とかできないか、ということで、5年前に私たちは「不戦の誓い」を中国との間で合意しました。それが一つの大きな話題になったのですが、その時から数えて今回は5回目です。あの時は日中平和友好条約35周年だったのですが、今年は40周年ですから、やはり、何かしないといけないと思いました。2018年というのは、歴史的に非常に重要な段階に来ていると思います。米中の貿易戦争があり、世界の秩序が不安定化する中で、自由でルールに基づいた世界秩序や平和に対するいろいろな取り組みの努力が、非常に必要になっている局面です。その中で、日本と中国が新しい協力関係を作る土台を固める時期ではないかと思ったのです。

 だから、今年の「東京-北京フォーラム」は、5年前の「不戦の誓い」に続く、一つの大きな、日中関係が世界とアジアの協力関係を作るための出発点にする対話にしたいということで、いろいろな形の対話を準備しています。パネリストの皆さんがその中で真剣に議論していただけるということなので、何かを作れると期待しています。


アジアの平和、自由やルールに基づく秩序作りへ日中が協力する舞台に

高原:近年でいうと、安全保障の対話を一年で何回も開くようにするなど、新たな試みもあると思います。これまでの13年間を振り返って、また今年を一つの節目として、今後どのように民間の交流を進めていきたい、あるいは「東京-北京フォーラム」を発展させていきたいとお考えでしょうか。

工藤:私たちが「東京-北京フォーラム」を作った時は、目的は相互理解だったのです。お互いの国民が相手を十分理解していないし、政府間も喧嘩している。信頼を醸成して、相互理解を深めるということが大きな目的だったのですが、2010年の海上保安庁と中国漁船との衝突事件や尖閣問題、また中国が経済的にかなり大きな飛躍をした時から、性格が少し変わったと思っています。つまり、相互理解よりも、お互いが協力をして様々なものを作っていく。新しい協力関係を作っていかないと、アジアや世界の大きな変化の中で、本当の意味での相互理解が深まらないのではないか。交流だけでなく、一緒に何かを作るという作業プロセスが、お互いの信頼を飛躍的に改善するような気がしているのです。

 ですから、この「東京-北京フォーラム」の役割は、相互理解を深めることは当たり前なのですが、このアジアに平和な秩序を作るとか、世界の中で、自由で開放的な経済やルールに基づいた仕組みができるとか、そうした理念を共有できるような世界作り、アジア作りにお互いが協力できる舞台に発展させていけないか。今年はそのスタートにできないかと思っています。

高原:ぜひ、「東京-北京フォーラム」が、日中両国民の間の相互理解を増進し、そして両国民の間の実際の協力を推し進めていけることを、切に祈っております。健康に気を付けて頑張ってください。

工藤:高原さんも私とともに、政治・外交分科会の司会を務めていただきます。今年は、ITやデジタル分野の中国企業、八社くらいから有力者が参加します。そういう最先端、次世代の技術という問題でも、日中が本気で議論するという初めての取り組みもあります。ぜひ多くの人に来ていただき、それだけでなく参加していただければと思っています。よろしくお願いします。

 

2018年10月11日 19:12

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