「第1回 ローカル・マニフェスト検証大会」に参加

2004年9月08日

040908_lobal.jpg2004/9/8 (水)
「第1回ローカル・マニフェスト検証大会」に参加

主催:早稲田大学大学院公共経営研究科、早稲田大学マニフェスト研究所
場所:西早稲田キャンパス14号館2階201教室


言論NPOが埼玉県知事の政策公約を独自評価・採点
早稲田大学主催の5県知事ローカルマニフェスト検証大会に参加

言論NPOの工藤泰志代表は、9月8日午後、早稲田大学で開催された第1回ローカルマニフェスト検証大会に参加し、上田清埼玉県知事が知事選中に掲げた政策公約の進捗度合いや成果に関する評価を行いました。大会は岩手県、神奈川県など5県知事の「政策宣言」などを評価・検証し、国政レベルのみならず地方自治体レベルにまでマニフェスト・サイクルを定着させようという狙いから始めたもので、代表工藤の評価作業もその一環です。

大会は、早稲田大学の大学院公共経営研究科およびマニフェスト研究所(所長・北川正恭早稲田大学院公共経営研究科教授、前三重県知事)が主催したもので、2003年の知事選で当選した知事の政策公約にあたるマニフェストの進捗状況を検証し、その政策課題などに関する情報公開を行うことによって、国民本位、住民本位の政治にしていこうということを目指しています。

とくに、政権公約や政策公約、あるいは政策選択などと呼ばれたマニフェストを国政、地方政治の双方に定着させるには、たとえば、地方自治体の首長である知事の場合、選挙で打ち出した公約がその後、1年後に、どこまで実現されているのか、目標実現に向けての工程管理はどうかといった事後評価が重要である、という点にポイントを置いたのが、この大会の大きな特徴です。

北川所長が大会終了後の記者会見で明らかにしたところによると、大会自体に対する関心が強かったためか、大会への参加者は約1000人に及び、とくに自治体の首長が8人、自治体の政策担当者など305人はじめ、メディア関係者、大学関係者、学生らが参加したという話です。

大会は、第1部が5人の知事のローカル・マニフェスト評価、続いて第2部では知事およびマニフェスト評価を行った言論NPOはじめ学者、シンクタンク研究者らを交えたパネルディスカッションという形で行われました。

焦点のローカル・マニフェスト評価では、5人の知事のうち、トップバッターの松沢成文神奈川県知事が自らのマニフェストを説明したあと自己評価を行い、それに対して竹下譲四日市大学教授が第3者評価報告を加えるという形をとりました。

続いて増田寛也岩手県知事には川村雅人三菱総研地域研究センター長、西川一誠福井県知事には小池治横浜国立大学大学院教授、古川康佐賀県知事には塚本壽雄早稲田大学院教授、そして上田清埼玉県知事には工藤泰志言論NOP代表がそれぞれ評価・検証を行いました。

ローカル・マニフェストを行うに先立って、北川所長から、今回の評価作業に際して、相互比較が行えるように共通のモノサシを設けることが必要と判断し、マニフェスト評価では既に小泉改革の政策評価などで実績を持つ言論NPOの評価基準を採用させてもらったという報告がありました。これによって、言論 NPOのマニフェスト評価基準が大会でも認知されました。

言論NPOは、今回のローカル・マニフェスト評価のために、これまでの小泉改革の政策評価シートに若干の加工を加えた独自のものを考案しました。具体的には、1)マニフェスト実現のための実行計画など形式用件が満たされているか(30点)、2)実行過程はどうか(30点)、3)進捗度や成果はどうか (20点)、4)それらを踏まえた評価者判断はどうか(20点)という形で、全体100点とするものです。このうち、評価者判断は、評価者の主観が入りますが、その際、マニフェスト型政治への意欲、それに向けての知事のリーダーシップ、県民や地方議会への説明努力などを知事とのインタビューや実地調査を通じて行う手法をとりました。

この結果、5知事の検証結果は以下のとおりです。

 形式用件実行過程進捗・成果評価者判断総合評価
配点30302020100
松沢知事2425151781
増田知事26 27161988
西川知事2227161681
古川知事2527161886
上田知事2224171679


マニフェスト評価のうち、言論NPOの代表工藤が上田埼玉県知事に対して行った評価に関しては、まず、上田知事が自己評価を行いました。

上田知事は、他の知事が2003年の統一地方選を経て既に1年以上の実績があるのに対して、昨年7月に前知事が辞職し急きょ行われた知事選に立候補表明し、マニフェスト自体に関して告示2日前という慌しい過程での作成となったこと、このため、十分に時間をかけて練り上げた政策提案にはならなかったが、「官から民へ」という流れをつくり、咲埼玉県を元気にするための分野を重点にしたこと、具体的には「すぐやります」(知事交際費の100%公開など7 項目)、「1年以内にやります」(ベンチャー支援室の設置など11項目)、「4年以内にやります」(特別養護老人ホームの増床など9項目)の3つに分け、わかりやすいものにしたことーーなどを説明しました。

そして、上田知事自身のマニフェスト自己評価は95点。100点に至らないマイナス5点は「1年以内にやります」項目のうち、行政パートナー制度が十分でなかった点だと述べました。

これに対する工藤言論NPO代表の総合評価は79点。

代表工藤は、他の知事へのマニフェスト評価に比べて厳しかった点について、「上田知事が前知事の不祥事など政治不信の解消にプライオリティを置かざるを得なかった点は理解する。ただ、マニフェスト型政治は、単なる気合の政治とは異なる。政治不信解消の試みは、県に問われる課題設定の洗い直しを含めビジョンと政策体系の形成につなげていくものにしなくてはならない」とし、上田知事が今年末までに、新たに策定しようとしているビジョンづくりをどういったものにするかがポイントになる、と指摘しました。

そして、代表工藤は「地方自治体は、知事がその気になれば、その地方を変えられる。今回の総合評価は、他の知事に比べて、やや低い79点だが、小泉内閣のマニフェスト評価は30点台だったことから見れば、十分に評価できるものなので、懸念には及ばない」と激励しました。

上田知事は、この第3者評価について「ご指摘のように、地方自治体はアタマ(頭)1つ。つまり国は首相はじめさまざまなアタマがいっぱいあり、大変だが、自治体は知事の判断で地方を変えられる。勇気づけられた。がんばる」というコメントがありました。

なお、このあと行われたパネルディスカッションでは、それぞれの知事が、第3者評価を踏まえ、「やれないことは書いてはいけない」(佐賀県知事)、「責任は知事にある。筋道をどのようにたてるかが仕事になるが、第3者の評価機関が少ない。またマニフェスト実現のプロセスも大事だが、やはり結果が重要だ」(岩手県知事)といったコメントをつけました。

 言論NPOの工藤泰志代表は、9月8日午後、早稲田大学で開催された第1回ローカルマニフェスト検証大会に参加し、上田清埼玉県知事が知事選中に掲げた政策公約の進捗度合いや成果に関する評価を行いました。大会は岩手県、神奈川県など5県知事の「政策宣言」などを評価