【国と地方】 穂坂邦夫氏 第5話:「地方の自立をどう組み立てるか」 

2006年5月28日

穂坂邦夫氏穂坂邦夫(前志木市長、地方自立政策研究所代表 )
ほさか・くにお
profile
1941年埼玉県生まれ。埼玉大学経済短期大学部卒業。埼玉県職員、足立町(現志木市)職員を経て、志木市議会議長、埼玉県議会議長を歴任。2001年7月、志木市長に就任。2005年7月から地方自立政策研究所代表

「地方の自立をどう組み立てるか」

 地方の自立を確立するのであれば、本当の基礎的自治体の役割は何なのか、民主的な政治を担保するにはどうすればいいのか、ということだけを、きちっとしておけばいいと思います。基礎自治体を充実させる。さらにその上の広域的な地方行政に国の機能を移譲していく、そのためには、人口が少なくとも1000万人程度の規模でなければ困難です。50万人や60万人の規模では無理だと思います。ある一定以上の人口規模が必要になってきます。このように都道府県から市町村に権限移譲すれば、必然的に都道府県の存在価値が空洞化するので、この面からも、道州制は制度的にどうしても不可欠になってきます。

 私は、その実現は簡単だと思っています。一つ目は、地方自治法の第1条をきちんと誠実に真面目に実行するということです。そうすると、第2条以下は必然的におかしいということになり、それに伴って第1条以外の地方自治法を始めとする関連の諸法令を変えるということになる。これが二つ目です。三つ目は、徹底した役割分担を第1条に基づいて決めるということです。国のカテゴリーはきちんと規定されているのですから、その通りにやれば、役割分担が明確になります。最後に残るのはお金です。それは徹底した税源移譲をすればいいのです。役割分担を決めれば、補助金もなくなってしまいます。

 国の施策であっても、市町村に手伝ってもらったほうが効率的だというものは、法定受託事務などという難しいことを言わず、受託するかしないかで入札し、地方が見合うお金であれば地方がやる、合わなければ民間がやればいいというシステムも構築できます。そうすれば、補助金は概念自体がなくなってしまいます。

 都道府県と市町村の二層制の問題については、地方自治法を変えてしまえば済みます。最後に残るのは、地方交付税をどうするかです。やはり財政の自立は不可欠です。地方交付税は国のお金か地方のお金かという議論がありますが、地方のお金に間違いありません。旧西ドイツでは地方の共同税として、法律に基づいて預かり、分配を地方同士でやっていたのです。税源が偏在しているからです。

 ただ、全額を保障するというのは全くのナンセンスです。国との役割分担をはっきりさせれば、基礎的自治体はどのくらいのお金が必要か、ということが算定されてきます。

 役割分担さえ決まってしまえば、これは不要だ、これは無駄だといったことが明確になり、一般的な基礎的行政経費が出てきます。印鑑証明は出さなければいけない、住民票を出す費用はいくらだ、それらを一つずつ積み重ねるのです。面積の広い自治体は行政効率が悪いですから、お金が余計にかかります。志木市のように9k㎡しかなければ、その行政効率は良い。その意味では、今の地方交付税も結構良くできている部分があります。良いところは活用すればいい。

 こうした役割分担と肝心の仕事の量が決まれば、今度は、いくらがんばっても税源がなくて足らないという地方が明確になるでしょう。その一方、100万円しか経費はかからないが、金がありすぎて、1000万円も収入があがるのであれば、500万円までは手元で使ってもいいが、残りの400万円は共同税で、ほかの足りないところに回さなければならないという議論も出てきます。


※第6話は5/30(火)に掲載します。

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 地方の自立を確立するのであれば、本当の基礎的自治体の役割は何なのか、民主的な政治を担保するにはどうすればいいのか、ということだけを、きちっとしておけばいいと思います。基礎自治体を充実させる。さらにその上の広域的な地方行政に国の機能を移譲していく、そのためには、