プレスリリース

北朝鮮問題の解決を日米の両国民はどう考えているのか
6月12日の米朝首脳会談を前に日米で緊急の共同世論調査
第2回日米共同世論調査結果公表

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 非営利シンクタンク言論NPO(東京都中央区、代表:工藤泰志)は、2018年6月8日、6月12日にシンガポールで行われる米朝首脳会談を前に、この米朝首脳会談に関する見方や北朝鮮の核兵器問題解決の見通し、さらには将来の朝鮮半島の姿などについて日米両国民がどのように考えているのか、日米両国で実施した共同世論調査の結果を公表しました(日本国民1000人、米国民1215人)。この調査は、昨年に続いて2回目で、米国はメリーランド大学が調査を担当し、今年の5月19日から6月5月にかけて実施しました。

 詳細な調査結果は、言論NPOウェブサイトで公開いたします。報道関係者の皆様には、この調査結果をぜひご報道いただきたく、お願い申し上げます。


米朝首脳会談の見通しは、「進展はあるが非核化への具体的な成果にはつながらない」というのが両国民の見方。ただ、米国民に日本より積極的な期待が多い。

 日本では、「朝鮮半島の非核化に向けて決定的な成果が期待できる」との楽観的な見方は6.2%にとどまり、「進展はあるが、非核化への成果にはつながらない」が52.2%と半数を超えている。米国でも同じ傾向だが、「決定的な成果が期待できる」との回答が21.8%と今回の米朝会談に期待する見方が日本よりも3倍以上になっている。


核問題の解決に向けた進展は認めるものの、懐疑的な見方がまだ両国民に6割程度ある

 両国民共に解決に向けた前進は認めつつも、最終的な核問題の解決にはまだ懐疑的な見方がそれぞれ多い。日本で最も多いのは「解決に向けて動き出すが、しかし最終的な解決は将来的な課題になる」の36.8%である。さらに、「いくつかの前進はあるが、核問題は未解決のまま」(28.1%)が続いている。
 この傾向は、米国でも同様で、「いくつかの前進はあるが、核問題は未解決のまま」との見方が30.4%と最多で、「最終的な解決は将来的な課題になる」(25.7%)が続いている。ただ、日本では、「早期解決に向けて大きく前進する」との見方は2.8%にすぎないが、米国では13.2%と期待する声がその4倍以上になっており、米国の方に多い。


米朝首脳会談の実現は、北朝鮮が「より譲歩した」との見方が米国民に多い

 次に、米朝首脳会談の実現にあたり、米国と北朝鮮のどちらがより大きな譲歩を行ったと思うかを尋ねた。日本では、「わからない」が34.9%で最も多い。米国では、「北朝鮮」との見方が34.3%で最も多い。米国での調査は、トランプ氏が中止を発言し、北朝鮮側の行動で会談実施に動き出してから、行われており、そのことが影響しているとみられている。ただ、「米国」が22.8%、「双方が同程度の譲歩を行った」が23.6%という意見もで意見が分かれた。


トランプ氏の交渉合意の理由は、「南北の事前交渉で新しいチャンスが出てきたこと」に3割強の米国民。「北朝鮮の脅威が高まったこと」を選んだのは両国民で1割台に過ぎない

 トランプ大統領が交渉入りに合意した理由については、日本では、「国際的な問題について、トランプ大統領自身が重要な功績をつくりたかったため」が33.7%となり、11月の中間選挙に向けた政治的なアピールの一環にすぎないと見ている人が最も多い。一方、米国では「南北の事前交渉によって、非核化に向けた新しいチャンスが出てきたため」(34.3%)との見方が最も多い。「北朝鮮の核計画の加速で、米国と同盟国に対する脅威が高まったため」を選んだ日本国民は17.7%、米国民は10.1%しかない。


米朝首脳会談の実現でトランプ大統領の評価が上がったと考える米国人は、日本人の3倍近く

 米朝首脳会談の合意を受けて、トランプ大統領に対する評価が変化したかを尋ねたところ、日本では、「評価が上がった」は13.3%と1割程度である。米国では、34%と日本の3倍近く存在しており、米国では今回の米朝首脳会談の合意で、トランプ大統領の役割を一定程度評価している。


米国の軍事行動の可能性は、依然両国民に懸念が多いが、米国民には「可能性が低くなった」との見方が3割近い 

 日米両国で「可能性は変わらない」が最多となり(日本47.5%、米国38.2%)、日米両国民友、依然として軍事行動の勃発を懸念している。しかし、米国では「可能性は低くなった」が26.8%となり、日本の16%を大きく上回っている。


北朝鮮の核問題解決の見通しは、日本国民では「解決は難しい」との声が多いが、米国民では解決に向けた期待の声が高まる 

 北朝鮮の核兵器開発問題解決の見通しについて尋ねたところ、日本では「解決は難しいと思う」との回答が65.1%と突出して高く、2017年12月に行った調査とそう変化がない。米国では、「解決は難しいと思う」との見方が25.8%で最多となったが、昨年の調査より大幅に減少している。これに対して「5年後には解決すると思う」という見方が、25.4%と、昨年の調査よりも10ポイント近く増加している。


今回の功績では、米国民は6割がトランプを推すが、日本では「わからない」が最多。習近平も米国民で2割超す。

 米国民では「ドナルド・トランプ」を62.9%と6割以上が挙げ、「文在寅」が49.9%で続いている。「金正恩」を推す米国人も27.4%存在している。これに対して日本国民では、「わからない」が32.3%で最も多く、「誰も評価しない」が22.9%あり、5割以上が特定のリーダーを評価できないでいる。米国では「習近平」との回答が22.4%存在し、日本は9.4%にとどまっていることも興味深い。


現時点では、金正恩氏の平和の意志を両国民は「信頼できない」

 次に、金正恩氏に朝鮮半島の平和実現に向けた意思があると信頼できるかでは、日本では、「信頼できない(「どちらかといえば」を含む、以下同様)」という回答が66.2%と6割を超えている。米国では、「信頼できない」との回答は72.1%と7割を超えて日本より多く、「信頼できる」は6.6%に過ぎない。


米朝国交正常化への支持は、両国民共に北朝鮮の完全な非核化の実現が条件

 北朝鮮の完全な非核化を前提に、米国と北朝鮮が国交正常化を行うことの是非について、日米両国民共に、「北朝鮮が完全な非核化が実現した後であれば、賛成する」が(日本52.3%、米国60.8%)で突出しており、「完全な非核化に合意すればその実現前でも賛成する」との回答は日米ともに1割強にとどまっている(日本11.4%、米国13.0%)。


日本人の3割、米国人の4割が朝鮮半島の非核化の展開の中で、在韓米軍のプレゼンスを下げることを期待

 在韓米軍の今後について、日米両国で、「在韓米軍は現在と同規模で維持すべき」が最も多い(日本36.3%、米国36.2%)。これに「在韓米軍は拡大すべき」(日本2.2%、米国5.2%)を合わせると4割近く(日本38.5%、米国41.4%)が、現状以上の規模を維持すべきと考えている。しかし、「縮小すべき」との見方(日本28.8%、米国31.4%)も両国で3割近く存在し、これに「撤退すべき」(日本4.1%、米国11.3%)を合わせると、日本人の32.9%、米国人の42.7%は在韓米軍のプレゼンスを低減させるべきと考えている。

 朝鮮半島が非核化した後の米韓同盟については、日本で約5割、米国では、なんと7割強の人が現状維持以上を求めていることになる。「同盟は縮小されるべき」(日本15.9%、米国9.9%)、「同盟は廃止すべき」(日本3.1%、米国1.4%)は日米両国民の間で2割に満たない

北朝鮮問題は日米関係を「より強化した」が両国民で大きく減少し、日米関係には「特に影響はない」が昨年より増加した

 北朝鮮の核脅威が、「日米関係をより強くした」と考える人は、日本では36.4%で、昨年の45.8%からは大きく減少している。「日米関係を逆に弱くした」という見方が昨年の3.8%から7.6%へと倍増している。米国では、「日米関係をより強くした」が30.1%と、昨年の41.2%から11ポイントも減少。「特に影響がない」が、19.4%で、昨年の11.4%から8ポイント増。


アジアにおける米国の軍事力には「今後も維持すべき」との期待が両国民に最も多い。北東アジアでの日本の軍事拡大に、米国人の6割が賛成しているが、日本人は5割が反対する

 日本では47.5%(昨年41.8%)と半数近くの人が、米国も「現状の軍事力を今後も維持すべき」と考えているが、「今後減少すべき」という回答が昨年の13.2%から19.7%へ増加している。米国では52.4%と半数を超える人が「現状の軍事力を今後も維持すべき」と考えており、昨年の48.5%から増加している。ただ、「今後減少すべき」との回答も昨年の8.8%から18.9%へ10ポイント増えている。


「第2回日米共同世論調査」概要

 日本側の世論調査は、全国の18歳以上の男女を対象に5月19日から6月3日にかけて訪問留置回収法により実施され、有効回収標本数は1000です。最終学歴は、中学校以下が9.0%、高校卒が44.2%、短大・高専卒が20.3%、大学卒が22.6%、大学院卒が1.5%でした。
米国側の世論調査は、今年の6月1日から5日まで、米調査会社の代表性が担保されたパネルを対象にインターネットで調査を実施し、米国の国勢調査に沿う形でウェイトバック集計を行いました。有効回収標本数は1215です。


【言論NPOとは】

 言論NPOは、「健全な社会には、当事者意識を持った議論や、未来に向かう真剣な議論の舞台が必要」との思いから、2001年に設立された、独立、中立、非営利のネットワーク型シンクタンクです。2005年に発足した「東京-北京フォーラム」は、日中間で唯一のハイレベル民間対話のプラットフォームとして13年間継続しています。また、2012年には、米国外交問題評議会が設立した世界25ヵ国のシンクタンク会議に日本から選出され、グローバルイシューに対する日本の意見を発信しています。この他、国内では毎年政権の実績評価の実施や選挙時の主要政党の公約評価、日本やアジアの民主主義のあり方を考える議論や、北東アジアの平和構築に向けた民間対話などに取り組んでいます。

 また、2017年には世界10カ国のシンクタンクを東京に集め、東京を舞台に世界の課題に関する議論を行う「東京会議」を立ち上げ、会議での議論の内容をG7議長国と日本政府に提案する仕組みをつくり出しました。


【メリーランド大学クリティカルイシュー世論調査とは】

 メリーランド大学クリティカルイシュー世論調査は、政策議論にとって中心的な国内的・国際的な課題についてのアメリカ国民及び中東諸国の国民を対象とした世論調査を2010年より継続的に行っている。目的は、中東地域などに関する外交政策課題、アメリカ国内の人口動態の変化など、政治経済問題に関わる課題を調査し、政策議論の進展に貢献することにある。アンワー・サダット平和開発チェアのシブリー・テルハミ教授がディレクターを、務めている。

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本件に関してのお問い合わせ先 電話:03−6262-8772 FAX:03−6262-8773 担当:言論NPO事務局 西村・宮浦
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