世界の課題に挑む

「地球規模課題」 有識者アンケート

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調査の概要

 言論NPOの活動にこれまで参加していただいた全国の有識者約6000人を対象に、2015年9月29日から30日までの期間でアンケートの回答を依頼し、回答のあった134人の回答内容を分析しました。


回答者の属性

※各属性で示されている数値以外は無回答の割合。この頁以降、数値は小数点第2位を四捨五入しているため、合計が100%とならない場合があります。

1.地球規模課題と日本の役割

4割を超える有識者が、現在の日本は、地球規模課題の解決に向けて役割を果たしていないと見ている

 現在の日本が、地球規模課題の解決に向けて、「役割を果たせていない」(「全く」「どちらかといえば」の合計)と考えている有識者は、44.8%と4割を超えている。これに対し、「役割を果たしている」(「大いに」「どちらかといえば」の合計)と評価している有識者も、31.4%と一定数存在しているものの、相対的には低くなっている。


ほぼ全ての有識者が、日本は積極的な役割を果たすべきだと考えている

 それでは、そもそも日本は、地球規模課題の解決に向けて、積極的な役割を果たしていくべきなのか。
 この点、有識者の実に97.8%が、「積極的な役割を果たすべき(「どちらかといえば」を含む)」と回答しており、日本の役割に対する期待はきわめて高い。


有識者の4割が、地球温暖化問題に対する日本の取り組みを求めている。平和秩序づくりや、「ミレニアム開発目標」に関する取り組みを求める声も一定数見られる

 日本の積極的な役割に期待が集まる中、日本はどのような課題に取り組んでいくべきなのか、選んでもらったところ、「地球温暖化防止に向けた温室効果ガスの削減」が44.0%で最多となった。2020年以降の温室効果ガス排出量削減に関する国際枠組みを決める、国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)を年末に控える中、地球温暖化問題における日本の積極的な取り組みを求める声が目立った。
 以下、「北東アジアの平和的な秩序づくり」(26.1%)、「地域紛争の予防や国際的な平和秩序の構築」(23.1%)など、平和貢献に関する取り組みや、「貧困や飢餓の撲滅」(23.1%)、「世界の保健医療の向上」(20.9%)など、今年達成期限を迎える「ミレニアム開発目標(MDGs)」に関連する取り組みを求める声も一定数見られる。
 中国発の世界同時株安を念頭に置いたためか、「経済的なグローバルガバナンスの構築」も17.2%あった。

「その他」を選択された方の回答理由

  • 老齢化社会のモデルの構築(保険、医療、年金、やりがい、生きがい、助け合いetc.)(男、70代、NPO・NGO関係者)
  • 最悪の原発事故を起こした国として、全原発廃炉に向けて取り組むべき(男、60代、国家公務員)
  • 大国の利益野宗教感の都合に振り回されない日本主導できる貧困、医療、環境問題等に取り組んでほしい。(男、70代、その他 (具体的に))
  • 経済成長なき社会発展のモデルづくり(男、60代、NPO・NGO関係者)
  • 持続可能な開発への貢献を通じた総合的貢献(男、40代、学者・研究者)
  • 海洋航行の自由(男、40代、会社員)
  • 国際通貨制度(男、50代、会社員)


7割が「人材」、6割が「議論環境」を必要と考えている。また、5割が政府だけでなく、民間のチャレンジを求めている

 日本が地球規模課題の解決に貢献していくために必要なこととして、「国際機関への人材の輩出、人材の育成」をあげる有識者が70.1%と7割を超えている。これに「国際的な課題に関する国内の議論環境の構築」が61.2%で続いている。また、「非政府(民間外交)による課題への挑戦」(56.7%)と、「政府外交の強化」(52.2%)が、5割を超えて並びかけ、政府だけでなく、民間の力も求められるとの見方が多い。
 一方、「ODAなど課題解決のための資金提供」は26.9%にとどまっている。

「その他」を選択された方の回答理由

  • 現政権は表面だけはよいかっこしいだが、実際は武器や原発輸出に積極的など基本目的・姿勢がお粗末。(男、80代以上、NPO・NGO関係者)
  • 情報収集力、国民への認知、国民の理解、政策としての判断力、実行力(男、50代、企業経営者・幹部)
  • 国際的なことに対する研究開発。(男、60代、その他 (具体的に))
  • 総人口の5%程度は、海外にいるような体制づくりが必要だ。(男、60代、NPO・NGO関係者)
  • 外務省初め官僚「東大出身」が力不足、民間人などの人材登用が不可欠。 他国は国内で一流の人材が外交に当たっている。(男、70代、企業経営者・幹部)
  • 核兵器禁止に対する国連の活動の強化(広報活動などに資金提供)や広島・長崎を中心とした核廃絶運動の強化(男、80代以上、その他 (具体的に))
  • 気球規模で解決すべき課題を政策として掲げることを政党に直接要求し、 選挙におけるマニフェストへの反映(男、50代、その他 (具体的に))
  • 政府から民間活動への支援強化(男、50代、会社員)
  • 国連への貢献は常任理事国になることではない。その意味で上記回答の作り方自体が疑問だが、国連スタッフの強化、特に幹部スタッフへの強化を非政府部門からの登用強化をつうじておこなう、合意形成へ向けたリーダーシップを発揮する、そのために科学的知識を活用する、など、いろいろと方法がある。そうしたソフトパワーを通じた国連やマルチ外交強化こそが求められている。(男、40代、学者・研究者)
  • 国連の改革(本来の機能発揮のために)。拒否権行使国の廃止など。日独の敵国条項の廃止など。(男、70代、その他 (具体的に))
  • 知的・精神的・政治的・経済的・安保的に米から自律すること。 米の属国のような立場では、米の太鼓持ちにしかなれない。(男、40代、企業経営者・幹部)
  • 多様な人が理解でき日本人としての固有性を持つプリンシプルのある人間の育成(男、50代、会社員)
  • NGOへの資金提供(男、10代、学生)
  • 国際的に通用する確固たるアイデンティティを築くこと。フラフラしている国に信用は生まれない。(男、40代、地方議員)
  • 政府には期待できない(男、60代、各団体関係者)
  • 課題を比べる事がナンセンス。(男、50代、地方議員)


2.日本の国際的な発信力

半数近くの有識者が、この10年で日本の国際的な発信力が低下したと感じている

 この10年間で、日本の国際的な発信力が、「低下した(「どちらかといえば」を含む)」と見ている有識者は、46.3%と半数近くおり、「高まった(「どちらかといえば」を含む)」の25.4%を大きく上回っている。



4割が、国際的な発信力を高めるために、「人材」や「言論」を重視している

 これから日本が国際的な発信力を高めるために、37.3%の有識者が、「世界の課題に取り組む人材の育成」が必要であると回答した。問4と同様に、ここでも「人材」を重視している有識者は多い。これに「世界の課題について議論する『言論』の舞台づくり」と「地球規模的課題に伴う日本発の議論の世界への発信」の2つが21.6%で続き、合計すると、4割を超える有識者が、日本における「言論」とその展開がポイントになると見ていることになる。
 他方、「政府の宣伝広報」は2.2%にとどまり、「日本の国際放送の強化」も1.5%しかなかった。

「その他」を選択された方の回答理由

  • 主権国家としての態勢確立(男、80代以上、NPO・NGO関係者)
  • とにかく、海外で生活する日本人の数が圧倒的に少ない。大使館勤務者までもが単身赴任するような風潮や体制を見直し、経済規模に相応しい海外在住者の増加を国として進めるべき。(男、60代、NPO・NGO関係者)
  • 日本の国力に見合った分野、目標の選択とそれへの集中(男、50代、メディア関係者)
  • 日本人の持つ"こころ"の部分,美意識や平和に対する思いを伝えるうえで,例えば芸術文化交流は大きな役割を果たす一助になると思う。芸術を通じ,世界の様々な文化を持つ人々が、すでに人種や国籍のバリアを超えて互いに理解し合っており,それはグローバルな課題への解決につながる大切な土台だと思う。芸術以外にも,学術や知的分野での交流,観光分野での取り組みを洗練させていくことによっても実際的な発信を行うことができると思う。(女、50代、その他 (具体的に))
  • GDP第3位の国として紛争の源泉となる貧困の解消と向き合い、規模の大きな支援を地道に重ねて世界の信頼を得るべきだ。回答選択肢のごとき行動に基づく「国際的発信力」が、何を目的にしたものか疑問だ。(男、50代、メディア幹部)
  • 世界へ発信してくことも必要だが、何よりも優先すべき事項は、自らの課題(いい国)を前進させることが、真の発信力強化になると思います。 これからの発信力として備えるべきは、個別事象ではなく、多様化機能をバランスよく総合的に高める方策(連携力)の提供だと思います。(男、70代、その他 (具体的に))
  • 総理大臣を変えること。 外務省がマトモな機関になること。(男、60代、会社員)
  • 国の政策としてきわめて幼稚な娯楽、マスコミの動き、知恵おくれの政治家、利己主義の官僚等を排除するためクーデターレベルの視点で策定、行動すべきです。(男、80代以上、自営業)
  • 日本政府をなくし、国民が直接政治をする。(男、50代、その他 (具体的に))
  • 人材はいても、人材を活用する政策や柔軟な仕組みがないことが最大の問題。また、NGOの発信力へのサポートも大きくかけている。(男、40代、学者・研究者)
  • 見識のある政府をつくる。(←選挙制度を変え、見識のある議員を選び、)(女、70代、NPO・NGO関係者)
  • 知的生産性の向上。 主体的な知的文化の強化。 欧米の猿真似・盗作からの卒業。(男、40代、企業経営者・幹部)
  • 我が国のプリンシプルを確立し、発信する内容を作ること。および課題を解決する意欲のある人材を育成すること。(男、50代、会社員)
  • 官民の愚鈍な投融資環境を整備し、レシピエントのニーズの適正に努めること(男、60代、学者・研究者)
  • 民度の向上。この国の人民の、権威やお上を盲信してしまう国民性では発信力は高まらない。(男、40代、地方議員)
  • 英語力(男、50代、メディア関係者)

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この記事に[ 1件 ]のご意見・ご感想があります

投稿者 / 熊谷直2015年10月 1日 12:27

意見募集を見逃したため回答しなかったと思いますが、回答がほぼ私の考えていることと一致しています。後進国で条約改定のために外交儀礼と語学を重視した明治時代の癖が未だに抜けていない外務省は、改革する必要があると思います。

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言論NPOは、世界各国が共有するグローバルな課題の解決に向け、世界の主要シンクタンクによる国際会議に参加して議論を行っています。こうしたネットワークを活用し、日本国内においても有識者と連携した議論形成を目指すと同時に、議論の内容を英語で公開し、日本の多様な意見を世界に発信しています。2016年には、国際シンポジウム「東京会議」を開催し、世界のシンクタンクと地球規模課題について議論を行います。

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