CoCの会議で何が議論されたのか

2014年2月25日

小野田治(言論NPO客員研究員、元航空教育集団司令官)
工藤泰志(言論NPO代表)

聞き手:言論NPOスタッフ


スタッフ:CoCの地域会合が終わりましたが、まず、感想を聞かせてください。


国民のために、世論や国民に支えられた「外交」こそ重要

工藤:今日は朝から、G20をどう活性化していくのかなど、G20あり方の問題、それから、イラン問題、アジアのマルチラテラリズム・ミニラテラリズムの問題、そして東アジア、特に東シナ海や南シナ海の安全保障の問題、の4つのセッションが行われました。今回は、私と小野田さんで分担して参加してきました。

 今回、会議後にハワード元首相と一緒に食事をしたのですが、その席で、特に印象を受けたのは、「外交」というものは、単なる一部のエリートのためにやっているのではなくて、国民のためにやるのだ、ということをかなり強く主張されていたことです。私は、非常に感銘を受けました。世論や国民の支持を得ながら外交をやっていくというスタイルは、日本にとっても重要だなと感じました。

 私は、今回はアジアのマルチラテラリズム・ミニラテラリズム、つまり東アジアの問題で議論したのですが、中国の問題もあり、東シナ海、南シナ海で緊張感がある状態が続いているにもかかわらず、ヨーロッパや世界にはあまり知られていませんでした。だから、日本がこういう問題について丁寧に説明しなければいけない、と思いました。

 一方で、G20に関しても、20カ国のトップが集まって、課題解決に向けてきちんと動いていくためには、もっと様々な改善策を出さないといけないと思い、私もいろいろなことを提案したのですが、なかなか採用してもらえませんでした。

 今回の会議の前に、シドニーでG20の財務相・中央銀行総裁会議が終わったばかりでしたが、私たちが参加しているこのCoCという会議は、グローバルガバナンスのあり方について、G20に対するアドバイス的な動きをしていくことになるのだ、ということを今回実感しました。
小野田さん、今回の会議に出席されてどうでしたか。

小野田:G20の枠組みや問題、将来に対する建設的な意見を出そうということで、かなり真剣な議論になったと思います。こうした議論が深まって、実際にG20に反映されるということは、非常に望ましいことだと思いました。

 また、イランの核問題の話ですが、かなり皆さん真剣で私も非常に関心を持ちました。そもそもイランがなぜ核にあれだけこだわっているのか、サバイバルなのか、自分たちの国力を海外に誇示したい等、様々な見方が出されました。そして、イランの処理の問題が、実は北朝鮮に大きな影響を及ぼすのである、という意見も出されるなど、非常に幅広い見識をもち、世界全体を見ているのだな、という印象を持ちました。


東アジアの平和構築に向け、日本の取り組みの更なる発信強化を

工藤:言論NPOは3月末に、「言論外交」ということで東アジアの問題に関して、民間としてどのように取り組むか、というシンポジウムを日本で開催します。そういうこともありまして、「政府外交」と「民間外交」という視点を議論の中でもかなり強調し、セッション終了後も、韓国や中国、オーストラリア、イギリスの人たちとかなり議論をしました。やはり、日本が東シナ海、南シナ海を含めて、東アジアの安定という問題について、かなり取り組んでいるということを皆さんも感じていまして、こういう対話にはぜひ協力したい、という話ができました。グローバル、またはリージョナルな観点からも、私たちがやっているということを多くの人たちに説明できたのではないかと思います。

小野田:安全保障の担当の皆さんと意見交換をしましたが、非常に東シナ海、南シナ海の問題について関心が深くて、なおかつ、何か起こるのではないか、あるいはインシデントが起きた時に、日本はどうしようとしているのか、というかなり突っ込んだ質問がなされました。

工藤:だから、懇親会でもその話ばかりでしたね。小野田さんには、今回、色々と奮闘いただきました。

 今回、皆さんが、東アジアの問題について、かなり関心を持っているということがわかりました。しかし、正確な情報をあまりしらない、という点も見えてきました。日本としては、多くの人たちに正確な情報を説明していくだけではなくて、平和的な関係構築のための努力を政府のみならず、民間も取り組んでいるということを、より多くの人たちに知ってもらわなければいけないな、ということを改めて実感しました。

小野田:いわゆる尖閣諸島の問題だけが脚光を浴びているような状況ですが、実は日中間には、漁業資源、鉱物資源(石油・ガスも含む)などの伝統的な問題が大きく横たわっています。かつて日中間は、それらの問題を克服して共同開発を行おうという動きをしてきたことを、我々はもう一度認識をし、中国との間に新しい関係を築けないかということを真剣に議論するべきだということを、今日、改めて感じました。

工藤:オーストラリアは、日本との関係でいえば、かなりフレンドリーで、日本にとって非常に重要な国だということを改めて感じました。今後は、オーストラリアと民間レベルでも議論を深めないといけないなと思いました。

 さて、明日はTPPとサイバーテロのセッションには、小野田さんに最後まで残っていただき、言論NPOのために奮闘して頂きます。一方、私は明日キャンベラに行って、オーストラリア政府関係者と対話をして、明後日(27日)、東京に帰ろうと思っています。
 小野田さん、明日もよろしくお願いします。