2011年・第7回日中共同世論調査結果 記者会見 報告

2011年8月12日

110811_top.jpg 8月11日、中国・北京市にて、 2011年度日中共同世論調査 に関する記者会見が行われました。記者会見には、代表工藤の他、中国側から共同主催者を代表して中国日報社編集室室長の孫尚武氏、中国側調査の分析を担当した呉垠氏(零点研究コンサルタントグループ副総裁)が報告者として参加し、会場には日中両国の70社から約100名ものメディア関係者が出席しました。
 
 この共同世論調査は、日中両国の相互理解や相互認識の状況やその変化を継続的に把握することを目的として、2005年から日中共同で毎年行われているものであり、今回で7回目の実施となります。今回の記者会見では、この共同世論調査とあわせて行われた有識者調査(日本側)、学生調査(中国側)の結果も公表され、日中双方から詳細な説明がなされました。

 まず、代表工藤は今回の日本側調査分析結果について、「この一年で印象が「悪化した」と回答する人も世論で2倍以上、有識者では3倍以上に増えた」と指摘。09年から始まった改善傾向が今回の調査で一気に悪化に転じたことを明らかにするとともに、現在の日中関係が「悪い」との見方が急激に増加したことにも触れ、今後の日中関係についても多くの日本人が悲観的に見始めているとしました。また、中国に対する印象が悪くなった原因として「尖閣諸島での漁船衝突事故の際の中国政府の対応」が64,6%と最も多かったことなどを例に、「多くの日本人はこれまで、05年当初には歴史問題で対中イメージを形成してきたが、その後は食品問題など生活の視点で見てきた。それがここ数年では領土問題や資源、エネルギー問題が大きな要因との結果が明らかになった」とし、日本人の中国に対するイメージの構成要件に変化がみられることを指摘しました。そして、「今回の調査では、中国に対する直接情報をより多く取得している有識者でもマイナスの変化が各設問で見られる」と述べ、「今までの日本の世論は、お互いを知らないから、知ることによって相互理解が深まると思っていたが、今回、それだけではないのではないかということが分かった」とし、知ることによって初めて見える違いをどう理解していくのか、より高い次元の相互信頼が求められていると分析しました。

 続いて、中国側の呉氏は、「一般の中国人で日本に対する印象が「良い」と回答した人は、昨年の38.3%から28.6%へと10ポイント程度低下した」と述べ、中国側でも日本に対する印象の悪化がみられると指摘しました。また、現状の日中関係に対する判断において、「学生では「どちらともいえない」が41.4%にものぼる」という点や、今後の日中の協力関係の強化について、「自然に任せる」との回答が昨年比で増加している点を挙げ、「中日関係が現在、非常に複雑な環境にあることを物語っている」と述べ、「だからこそ、このような時期に開催する今回のフォーラムには重要な意義がある」と強調しました。

 その後会場では、今回の調査結果やこの結果をベースに議論が行われる「第7回北京-東京フォーラム」について、出席するメディア関係者から積極的な質疑応答がなされました。

 最後に工藤は、「今回のフォーラムは、米国の債務危機を背景に、世界経済の発展に大きな不確実性が一層顕になった特殊な時期に開催されるが、日本と中国の関係も、いままさに「再構築」が求められていると感じている。今回も5つの分科会を軸に、両国関係の諸課題についての本音の議論を通じ、日中両国民の相互理解の増進を実現したい」と述べ、来週末から開催される「第7回北京-東京フォーラム」への意気込みを語りました。


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「2011年 第7回日中共同世論調査」の詳細はこちらから

 8月11日、中国・北京市にて、2011年度日中共同世論調査に関する記者会見が行われました。記者会見には、代表工藤の他、中国側から共同主催者を代表して中国日報社編集室室長の孫尚武氏、中国側調査の分析を担当した呉垠氏(零点研究コンサルタントグループ副総裁)が報告者として参加し、会場には日中両国の70社から約100名ものメディア関係者が出席しました。