244人の識者が見た2014年とは【記述回答編】

2014年1月23日

 言論NPOは、新年を機に「2014年、どのような年になると思いますか」と題して、2014年1月1日から8日までの約1週間で、言論NPOの活動に登録している企業経営者、メディア関係者、学者・研究者、公務員など約2000人を対象にアンケートを行い、244人の回答を集計しました。

 ここでは、各質問に対する主な記述回答を紹介します。

 まず、「2014年、あなたは日本にとってどのような年になると思いますか」という質問では、「決定的とまではいわないが、日本の将来に影響を与える重要な1年になると思う」と回答した有識者が68.9%で最多でした。次いで「日本の将来に影響を与える、決定的な1年になると思う」が19.7%であり、合計すると88.6%もの有識者が今年1年を重要な年になると見ています。
この記述回答では、「アベノミクスの成否を決める多くの決定が行われる年」「安倍政権の第3の矢が的確に放たれるか否か、大きな山場にある」など今年が経済再生の正念場になると考えている有識者が多く見られました。

 また、2013年末に行われた安倍首相の靖国神社参拝が国際的な批判を受けたことを踏まえ、「日本が、不戦の道へ行くのか、それが崩れる方向に進むのか、中国・韓国との協調ができるかどうか、の岐路になる」など日本外交にとっても正念場になる年であるとの見方も目立ちます。


 次に、「第二次安倍政権発足から1年の12月26日、安倍首相は靖国神社を参拝しました。あなたは、安倍首相が靖国神社に参拝したことについて賛成ですか、反対ですか」という質問では、「反対する」が53.7%、「どちらかといえば反対する」が15.2%となり、「反対」と回答した有識者が約7割近くに上りました。反対に「賛成する」が12.7%、「どちらかといえば賛成する」が5.3%となり、「賛成」と回答した有識者は2割以下でした。

 記述回答では「周辺国の状況に左右されることなく、自身の方針を貫くことは必要」と参拝に理解を示す声も見られましたが、「首相としての行動が内外に与える影響の大きさを考えると、個人的信条とは切り離して考えるべき問題」「日本が国際社会で再び存在感を取り戻すべきときに、実質的な利益をもたらさず、むしろ不要に悪印象を招く危険性が高い」「日本は第2次世界大戦の結果を覆そうとしているというメッセージを国際社会に送ってしまった」など国益よりも個人の信念を優先させた安倍首相のリーダーとしての資質を疑問視する厳しい声が目立ちました。


 続いて、「あなたは、安倍政権の新年の取り組みに期待していますか」という設問では、「期待できない」と回答した有識者が32.0%と一定数いましたが、「期待できる」が24.6%、「どちらともいえない」が35.7%にのぼり、有識者は安倍政権の取り組みを完全に見放しているわけではないことが浮かび上がっています。

 ただ、記述回答では、「期待できる」と答えた人も経済再生を念頭に「期待するしかない」と消極的な理由をあげていることが目立ちます。また、「どちらともいえない」という回答からは、「経済政策には大きな期待をかけているが、右傾化が続くことによる近隣国との関係修復には期待できない」など経済への期待と外交への懸念が入り混じっている様子がうかがえます。
一方、「期待できない」という回答では外交政策への懸念とともに、「避けて通れない課題である、財政や社会保障の抜本的な改革に着手する見通しが立たない」など安倍政権がこれまで長期的な取り組みを要する課題に十分対処してこなかったことを指摘する意見が見られました。


 記述回答の詳細につきましては、こちらをご覧ください。