言論スタジオ「国際社会からみた日本」報告

 11月22日の言論スタジオでは、黒川清氏(政策研究大学院大学教授)と松浦晃一郎氏(日仏会館理事長、前ユネスコ事務局長)をゲストにお招きし、「国際社会からみた日本」をテーマに議論が行われました。

 まず代表工藤は、「国際社会での日本の存在感が薄れてきていると言われて久しいが、そうした状況を変革し、世界における日本の存在感を高めるために、何を考えなければならないのか。国際社会の最前線で活躍されているお二人にお伺いしたい」と述べ、①世界の中で、今の日本はどう見られているのか、そしてその背景や原因は何なのか、②世界で存在感を持ち、未来に向かって動き出すためにどういったことが必要なのかという二点を論点に、議論が進められました。

  第一の点について、外交官として193カ国を歴訪し、2009年11月までユネスコ(国際連合教育科学文化機関)事務局長を務めた松浦氏は、「国際的な問題についてどう考えているかを発信する力が全体的に下がっている」と指摘。「国際的に見て日本の存在感が完全に失われているわけではない」としつつも、「とりわけ世界の知識階級における日本のイメージはどんどん厳しくなっている」と警鐘を鳴らしました。一方、単身渡米し、15年間米国で独立した個人医師としてのキャリアを重ねた黒川氏は、外から日本を見てきた自身の経験から、80年代の"ジャパン・バッシング"、日本の「素通り」を意味する"ジャパン・パッシング"を経て、いまは「日本の発信力が極めて弱く、"ジャパン・ミッシング"の時代だ」と述べました。また、3.11を契機として世界が日本の現場の強さに感動した一方で、「リーダーとなるポストの人々が非常に頼りないことがファクトとして明らかになった」として、日本のエスタブリッシュメントに対する国際社会の評価が厳しいものであることを説明しました。

 こうした現状認識を踏まえ、日本が存在感を高めるために何が問われているかについては、松浦氏は「今回の震災に日本国民が忍耐強く対応したことは国際社会でも評価されている」と述べる一方で、「それで安心せず、日本の指導者層がもっとしっかりとした対応を取るためにも、そうした層を突き上げていかなければならない」とし、私たち一人一人が危機意識をもって日本の将来を真剣に考える必要性を訴えました。また、特に若者が国際的な視野を持ち、自分がやってきたことや日本が行なっていることを英語で発信することが重要だとしました。一方の黒川氏は、震災で各分野で明らかになった「弱さ」を認識することがまずは必要だと強調した上で、国際社会におけるプレゼンスを高めるために必要な方策として、①若者が非営利組織や社会的企業家として活躍するための公的な支援システムの構築、②若者の就学中にできる限り外国に留学してもらうための「休学のすすめ」、③女性がより活躍できる環境を整えるために、企業のボードメンバーや大学総長などのポストに女性を意欲的に抜擢すること、の三つを挙げました。

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