2010年3月 1日
言論NPOはウェブサイトを全面リニューアルしました
3月1日、言論NPOはウェブサイトを全面的にリニューアルしました。リニューアルの目的とは。新サイトでどんな議論が始まるのか。言論NPO監事の田中弥生氏の問いかけに対し、代表の工藤が意気込みを語ります。
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ウェブサイトを全面リニューアルしました 聞き手:田中弥生氏 (言論NPO 監事) |
田中: 工藤さん、こんにちは。3月1日から、言論NPOはウェブサイトを全面リニューアルしたということですが、その内容について詳しく聞かせていただけますか。
工藤: かなり時間がかかりましたが、ようやく今日リニューアルに漕ぎ着けることができました。言論NPOではウェブサイトを、強い民主主義をつくるための議論のプラットフォームに、大きく変えたいと思いました。そのために、今までやってきたことを全面的に見直して、いろいろな人たちが議論に参加し、自分たちで日本の政治や日本の将来を考え、判断できるような場をつくりたいと考えたのです。そして、双方向性がある一方で非常に知的な、市民社会の論壇をつくろうということで取り組んできました。
田中: 具体的にはどのような構成になりますか。
工藤: まず、言論NPOの活動を4つのカテゴリに分けました。ひとつ目は「政治に向かい合う言論」、2つ目は「世界とつながる言論」、3つ目は「市民を強くする言論」、そして4つ目が「次の日本をつくる言論」です。これらに共通するコンセプトは、市民や有権者が自分の判断で今の政治や日本の将来を考えるためのお手伝いをしたり、そのための参加型の議論が行われるようなかたちにしていきたいということです。
「政治に向かい合う言論」は、まさに言論NPOが行ってきたマニフェスト評価のことですが、ここでは評価の作業や結果、評価のプロセスに対するコメントなりを公表していきます。鳩山政権も発足後半年を迎え、今年の7月には参議院選挙も予定されていますが、先の選挙での民主党の約束がどう実現したのか、それから約束そのものが問題だということもあるので、それを見直しどのように変えていくのかなどに注目する必要があります。リニューアル後のサイトが今までと違うのは、マニフェストの進捗状況や、政策課題をどう考えるかということが、このサイトを見ればわかるようにしていくということ、それから皆さんに発言していただく場を設けていくということです。また、一般の方々向けのセミナーやフォーラムを行うことも予定していますので、それらと連動して議論が進んでいくようなサイトにしていきたいと考えています。
「次の日本をつくる言論」も、政策課題についての議論になりますが、ここでは評価とは違い、みんなで一緒に考えたことを提案していくということです。ここで私が考えているのは、3~4ヶ月間、チームで議論をして、その結論を何らかの提案にまで持っていくようなしくみができないかということです。例えば、財政再建や社会保障、医療の問題などが考えられますが、いろんな方に参加していただきたいと思っています。一般の方も議論に参加できるようにして、みんなで日本の将来のために考え、提案していこうというわけです。
この2つが政策に関する議論になりますが、それらと関連するのが「世界とつながる言論」です。日本の社会は世界とつながっています。中国が経済的に大きくなり、アメリカは苦境に陥っているという、世界が多極化しているこの状況下で、グローバル・イシューに私たち自身がどう取り組むのか、この「世界につながる言論」の中で、みんなでそれを考え議論を行うようなサイトにしたいと思っています。言論NPOが行ってきた「東京-北京フォーラム」といった対話のチャネルや、「アジア戦略会議」など、すでにいろんなチームがありますので、そこを母体にしながら、世界やアジアについてオープンな議論を行っていけるようにつくり変えていきたいと思います。
最後に、今回のリニューアルで最も力を入れたのが「市民を強くする言論」です。これまで、私たちは政治や政策に向かい合う議論をしてきましたが、その中で痛烈に感じたのは、政治というものをただ客観的に見るのではなく、実際に参加して、当事者として何かをつくっていかなければいけない。もしくは様々な社会のサービスに関わって、課題解決の担い手になっていくという、大きくダイナミックな市民側の動きがないと日本は変わらないと思いました。そのために田中先生をはじめ色々な方々に協力をしていただく中で、私が思ったのことは、「強い市民社会をつくるためには、市民が強くならなければいけない」ということです。言論NPOは今、市民を強くするための様々な議論を企画しています。非営利セクターについては、今までのやり方のままでいいのかとか、何でも行政にお任せするようなかたちで本当にいいのだろうかとか、もっと自分たちで考える議論の舞台が必要なのです。また、日本の社会の中にいる、キラリと光る数多くの人たちと対話をし、議論に参加してもらおうと考えています。こういったことを通じて、市民社会が強くなるような循環をつくりだせるようなサイトにしていきたいと思います。このサイトは私だけでは成り立ちませんので、学者さんたちを中心とした「編集会議」を発足させました。この編集委員たちがナビゲートをし、議論をつくっていきます。これらを通じて、言論NPOのウェブサイトの中に、強い市民、強い民主主義のためのプラットフォームをつくります。また、言論NPOの活動そのものも、そういうかたちにしていきたいと思います。
田中: 今まで行ってきたことを柱としながらより双方向的に、市民側に立って、言論NPOの活動を行っていく、という意思が強く表れていますね。
工藤: そうですね。そうしていかないと日本は変らないと思っています。しかも今年は参議院選挙もあります。そのときは評価も含めて、政策どう考えるかという判断材料をみなさんに提供していきますが、それだけではなく、このサイトの中で何らかの動きをつくっていきたいと思います。この3月、4月でいろんな挑戦をしていきますので、ぜひ期待していただきたいと思います。
田中: 政権交代が起きたときから、自分たちももっと政治に対してものを言いたいとか、社会に貢献したいという人は増えていますので、今回のリニューアルは絶好のタイミンングだと思います。
工藤: これはある意味では「市民の論壇」ですので、いろんな方々に参加してほしいと思います。ただ、私たちは議論のクオリティを追求していきます。そしていい議論はどんどん紹介したいのです。このウェブサイトだけではなく、メールマガジンやブックレット、フォーラムなど様々な仕組みと合わせて、皆さんに参加の機会を提供し、強い言論をつくっていきたいと思います。
田中: 今後の展開を楽しみにしています。ありがとうございました。
2009年12月27日
「鳩山政権の100日」をどう見るか
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「鳩山政権の100日」をどう見るか 聞き手:田中弥生氏 (言論NPO 監事) |
田中: 工藤さん、こんにちは。12月24日は鳩山政権が発足して100日目にあたる日でした。そして昨日25日には来年度の予算案が確定しまいたね。言論NPOではこの100日の鳩山政権をどう見るかということで、有識者を対象にアンケート調査を行い、12の政策分野に関して評価を行って、そして9人の評価委員の先生方の同席のもと記者会見を行ったわけですけれども、今日はこの内容についてお聞きしたいと思います。まずはアンケート結果についてご説明をお願いします。
アンケート結果から何が見えたのか
工藤: このアンケートは一般のメディアで行っている世論調査とは違って、主に企業経営者や専門家・研究者の方々、それからメディアの編集幹部の方々などが回答しています。2000人に送付し、今の時点で324人分の集計が終わっていますが、かなり冷静に、政府と距離を置いて政権の取り組みをきちんと判断できるような方々の回答である、と考えていただいて良いかと思います。今まで安倍、福田、麻生という3政権においても、同様のアンケート調査を行ってきましたが、鳩山政権の100日をどう思うかという質問に対しては「鳩山政権は「当初の期待以下」だという意見がかなり多く、52.5%でした。つまり半数以上が期待以下だと見ているわけです。この期待以下という数字は自民党の3政権よりかなり高いのですが、自民党政権に対しては「そもそも期待していない」という回答が多く、逆に言えば鳩山政権に対しては、当初期待した人は多かったけれども、その期待が急に落ちてしまって、しかも半数以上が今後の政権運営にも「期待できない」と答えているのです。それに伴って支持率も下がり、各政策の評価もかなり低くなっています。特に「首相の資質」など8つの項目で鳩山政権を評価した時に、今までの3政権に比べて特に評価が低いのが「首相の指導力」で5点満点中1.7点でした。これまでは麻生政権の1.6点が最も低い数字でしたが、それに並ぶ水準となっています。ということで、「期待以下」という声が多いのは、首相の指導力のなさと連動しているようにも感じました。
もうひとつの特徴は、民主党と社民党、国民新党という与党3党のマニフェストをこの時点でもう一回判断してもらおうということで設問をつくりました。先の選挙ではマニフェストの内容を読んで投票した人は少なく、だからこの時点でもう一度聞いてみようと思いました。結果は「修正すべき」という声がかなり多く、特に、現政権がどうしても取り組みたいと言っている「高速道路の無料化」などについては「実行すべきでない」あるいは「修正すべきだ」との意見が圧倒的多数です。これは非常に興味深い問題だと思います。詳しい内容はウェブサイトでもご覧になれますが、以上のような点が特徴だと言えますね。
田中: ということは、民主党政権が重要だと思っている政策については、有識者は「優先順位が低い」と考えているということですね。
工藤: そうなんです。つまり高速道路の無料化や農業の戸別所得補償、それから子ども手当などが、何のために行われるものなのかがわからないと。鳩山政権はその目的を十分に国民に説明していないと思います。ただお金を配ると言ってもそこには目的がありはずです。選挙の際に私たちの評価が低かったのはそれが見えなかったからです。目的がきちんと見えていて、そのためにお金を配るということであれば「なるほど」と納得できますが、目的がわからないまま支出計画だけが出ているのであれば、やはり「選挙目当てでばらまいているのではないか」という疑いは消えません。しかも財政状況が非常に厳しい中で、そこに何兆円ものお金を使うことが果たして正しいのか、見直すべきではないかと。おそらくそのような見方が多いのではないかと思います。
鳩山政権100日の評価は「C」
田中: わかりました。次に言論NPOが行なった鳩山政権の100日時点での評価結果について、ポイントを教えていただきたいのですが。まず評価点は高かったのでしょうか、それとも低かったのでしょうか。
工藤: これは低かったと言えます。今回はABCの3段階で評価を出しましたが、総合評価はCでした。この評価は選挙の際に有権者の判断材料のためにやっているので、100日時点では点数を出したくないのですが、それでもCというのは100点満点中40点以下ということになりますから、かなり低かったということです。
それはなぜか。私たちの3つの項目について評価を行っています。まずはマニフェストで言われたことが実行されたか、ということですね。そしてその実行のプロセスはどうだったのかということ。もうひとつは国民に対する説明責任が果たされているのか、ということです。この中で点数が良かったのは、実行の部分で、今は成果を出すという段階には至っていませんが、マニフェストを軸として進めていくということに、鳩山政権は非常にこだわっていますので、そういう姿勢に対する評価も反映され、この実行の項目では半分くらいの点はつけられると。
総合的な評価を下げてしまった要因は、実行プロセスの問題と国民に対する説明不足でした。実行プロセスのところですが、決定はしたものの閣僚間や連立与党間で意見の食い違いが見られ、それを首相はリーダーシップが発揮できませんでした。それだけでなく、「政治主導」ということで、政府が政策を一元化し、内閣主導でやっていくと言っていましたが、予算を見ていても、最後は党の要望によって決断されてしまった。そしてそのときに「党の要望は国民の声だ」ということが言われましたけれども、だとすれば、党の政策決定プロセスをもっとオープンにする必要があります。そういったところで、点数が非常に低くなってしまったということがあります。それから普天間基地の移設問題などを見ていてもそうですが、首相としての意見がブレたり、閣内でいろんな意見が出ることに「最後は自分で決める」と言っても、結局決めることができなかった。個別の取り組みにおいて、それらがどのように進んでいるのかが、国民にとって非常にわかりにくかったのです。説明責任の部分の評価がかなり低かったために、全体の点数も低くなりました。
田中: 実績や成果のところは比較的点数が高かったとおっしゃいましたが、私も評価委員として参加させていただいた身として所感を申し上げますと、実績や成果は2つの要件に分かれていて、いわゆるマニフェスト型の政治を貫いているかということと、政策の中身がきちんとしているかということの2つに着目する必要があります。前者のところでは、確かに鳩山政権はマニフェスト型政治を貫いていたということで、私も高い点数をつけましたが、実際の政策の中身や目標は曖昧であったり、あるいは目標設定が違うのではないか、ということがあり、そこはかなり低い点数をつけました。
工藤: そうですね。マニフェストを具体的に進めた、という形式的な展開に関しては、実際にある程度手続きを踏んで動いているということで点数が高かったのですが、実質的な要件、その中身がどうだったのかという話になると点数が下がるので、その均衡で50点、半分くらいになったということです。しかし、政策実行プロセスというのはそれ以前の問題で、意見がばらばらだったり、党の主張によって政策が変更されたり、首相も決断ができない、国民に説明ができないとなると、この要素について先の「実行」の評価と比べて配点は少ないとはいえ、点数は非常に低くなります。
マニフェストの実行はほぼ不可能になった
田中: ところで、昨日政府の予算案が閣議決定されましたけれども、これをどう見たらいいのかということについて工藤さんのご意見を聞かせてください。
工藤: 民主党のマニフェストは、民主党が国民に提案した、子ども手当や高速道路無料化などいろんなものを含めて16.8兆円がかかる、それを財源として捻出するためにムダを削っていく、というストーリーで構成されていました。だから「今後4年は増税をしない、借金も増やさなくて大丈夫だ」と。もともと、民主党のマニフェストは財源に関する説明が非常にあいまいだったので、前回の選挙の時に行った評価でも、私たちは非常に低い点数をつけたのですが、結果としてその税源の捻出がうまくいかなかったわけです。ムダを削減して財源を生み出すということが上手くいかず、結果として埋蔵金―自民党の時もやっていましたが―それを使ってお金を集める。あとは国債を発行して何とか予算を組んだというのが実態です。
そうなってくると2つの問題が出てきます。ひとつは民主党が掲げたマニフェストを実現できるのかどうか。今回は、今後1年について埋蔵金を使って何とか財源を捻出しましたが、埋蔵金は残念ながらもう底をついており、来年は期待できません。その中で借金を増やさないというのであれば、本来は増税をしてその負担を国民に求めるか、もしくは約束した支出をやめるか、あとは将来世代にツケを回す、つまり国債を発行するしかない。そうなってくると、どちらにしてもマニフェストの変更は避けられません。支出を変えるというのは、約束した支出を変更するということであり、政権としては「今後4年間は増税をしない」と言ってきましたので。
今回の予算を見て、マニフェストに盛り込まれた政策を実行することはほとんど不可能になったと思いました。これは来年度の増税の検討を含めて、7月の参院選に向けてマニフェストを本気で変更していかないといけなくなった。そういう事態になってしまったということは、政権は国民に説明しなければいけないと思います。
田中: なるほど。今の話を聞いて私もかなり危機感を持ったのですが、メディア報道や首相の説明を聞いていても、そこまではっきりとは説明されていなくて、「何とか上手くいきました」という伝え方ですよね。
工藤: そうなんです。昨日の発言を見ていても、予算案は「コンクリートからヒトへ」という理念を貫いたと。それから政治主導の徹底や、予算の編成プロセスの透明化など、かなり良いことをやっていて、約束を一部なくしたことに関してはマニフェストの修正をしていかなければいけないとの程度です。しかし、予算の中身をきちんと見てみると、辛うじて組んだという感じです。今回に関しては税収が大幅に減ったということもありますが、鳩山政権からは、経済を大きく変えていくという戦略がまだ提案されていません。「コンクリートからヒトへ」ということは主張していますけれども、もし本当に景気対策を優先するならば、公共事業を行うという選択肢も考えられます。それをやらずに、ヒトにだけお金を配るというかたちになっていますが、その財源について来年以降はメドがついていないということでなれば、国民は消費を増やすでしょうか。私はむしろ、来年以降は予算編成ではメドがつかないという大変な事態になっていると思っています。そういうことについては、説明していませんね。
田中: かなり注意して見ていかないといけませんね。この国の将来がどうなるのかということについて、大きな不安が残ります。
工藤: それから鳩山政権には、根本的なところに疑問があるのですが、政治が政策を考えるときに、「選挙」という要素が強すぎます。今回の予算を見ていても、「来年の参院選をどう戦えばいいのか」いう思惑が見え隠れします。しかし本来、政策というのは科学なのです。つまり何のための政策なのか、その時代や社会の課題にどう向かい合うのか、そしてどう解決するのか、ということに応えていかない限り、政策とは呼べないのです。そういうしっかりとした政策の体系が、政治のレベルでなかなか出てこないのが非常に気になります。
私たちの先の有識者アンケート調査で注目すべきなのは、日本の今の政治状況を、「二大政党が実現し、今後安定していく」と見ている人が非常に少ないということです。有識者の中ではむしろ「選挙対策でポピュリズムが広がり、政治が混乱していく」と見ている人がかなり多い。既成政党への失望があるのは、日本の政党が党利党略を優先し、未来に向かって競争していないからです
つまり日本の政治を、社会の課題を解決し、未来に対して挑んでいくというかたちに変えなければいけない。そのために、「今回は無理だったのでマニフェストを変える」ではなくて、もっと積極的にマニフェストを変え、国民に信を問うてほしいのです。そうしない限り、約束を軸とした,国民との合意に基づく政治を実現することはできないと思います。
田中: 有権者にも、今度こそはマニフェストの政策を見て政治を判断するということが問われているということですね。ありがとうございました。
(文章は、動画の内容を一部編集したものです。)
2009年11月28日
言論NPO設立8周年にあたって
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言論NPOは2009年11月21日、設立8周年を迎えました。言論NPOの8年間の活動と、今後の取り組みについて、言論NPOの監事である大学評価・学位授与機構准教授の田中弥生氏が工藤にインタビューを行いました。 |
言論NPO設立8周年にあたって
田中: 工藤さん、こんばんは。11月21日で言論NPOは8周年を迎えたそうですが、この間、言論NPOは何を目指して、そして今までに何を達成してきたのでしょうか。
工藤: 健全な社会にはきちんとした言論の役割が必要ですが、8年前、私たちには、しっかりとした議論をするという空間が非常に小さくなってきているという危機感がありました。私が目指したのは、その空間を広げるということです。真剣な議論から、政治や政策が動くような流れをどうしてもつくりたかった。それは既存のメディアでは限界があるので、私は非営利組織として、そういうことに挑戦したかったのです。
田中: 具体的にはどのような活動をしてきましたか。
工藤: 大きく言えば2つあると思います。ひとつは、きちんとした議論をする舞台をつくらなければいけないと思ったことです。当時気になったのは、日本の議論を見ていると議論のための議論というか、批判のための議論ばかりだった。日本の将来や未来に向けていろんな議論が行われて、政治が国民に対して何かを提案し、国民がそれを判断するというような、将来志向の議論というものが本当に少なかったわけです。
それで私がまず取り組んだのは、将来に向けた議論です。そのための会議をつくり、その中で日本の実力の評価(パワーアセスメント)をしたり、日本の将来選択をどうするのかといったことについて議論を行ない、各党の政調会長を呼んで、どのようなビジョンを持っているのかを問うてみたり、その議論のプロセスを公開するといったようなことを行ってきました。そのような議論を行っているときに、ちょうど中国で反日デモが起こり、日中関係が大変な緊張状態になったわけです。私はこの状況を議論の力で解決したかった。アジアの中でもきちんとした議論の舞台をつくるため、私たちは北京に向かい、日中の民間対話を実現したわけです。
もうひとつは、強い民主主義を実現するための言論です。そのために、私たちは市民側に立ち、その目標に向けた議論をつくりたかった。やはり強い民主主義というのは、市民が強くなっていかない限り実現できないと思うのです。本当の言論の役割というのは、日本の将来に対していろんな問題提起や議論をしていくということだけではなくて、市民が自分たちで自分たちの人生なり未来を決定するための判断材料や議論の場を提供する、ということも重要なのではないかと。そこで私たちが考えたのが、マニフェスト評価だったわけです。マニフェスト評価は、政治が、国民が何でも政治にお任せするような政治から、自分たちが当事者意識を持って、自分たちで政治を判断していくというような大きな政治の変化の流れのひとつだろうと思います。そのために、私たちはこのマニフェスト評価というものを立ち上げたのです。
田中: パワーアセスメントと、アジアの戦略についての議論から始まった日中の議論、それからマニフェスト評価という、3つの大きな柱で、言論NPOは活動されてきたということですね。工藤さんは実際に評価を行う立場でいらっしゃるわけですけれども、今の3つの柱を軸に振り返ってみたときに、ご自身の言論NPOでの8年間を何点だと評価されますか。
工藤: 51点くらいですね。
田中: 51点ですか。その心は?
工藤: つまり、その1点が大きいわけです。次に向けた手がかりが見えてきたということです。やはり、議論を継続していく中で、日本の社会の中で健全な議論をつくるということが日本の未来にとって非常に重要だということを実感したわけです。次の目指すべき方向もはっきりしてきたということで、そういう面では51点だと。
田中: 次の課題が見えてきた、展望が見えてきたということですが、ではこれから具体的に何をしたいのか、抱負をお聞きしたいのですが。
工藤: 言論NPOは12月にホームページを全面的にリニューアルするんですね。これからは「4つの言論」で、議論をさらに発展させようと思ったからです。
これも、次の展望に関係するところですが、やはりこれからは「市民が強くなる言論」ということを重視しなくては、と思いました。日本では政権交代が実現しましたが、本当の意味でこの国を変えるためには、強い市民社会が必要だと思うからです。ここでは市民を強くするための様々な議論をするために、NGOやNPOの皆さんだけではなくて、田中さんにも協力してもらっていますが、いろんな学者さんに編集委員になってもらって、多くの人が参加できる議論の舞台をつくり、その議論を広く発信したいと思っています。それだけではなくて、やはり私たちは「政治に向かい合う言論」ということで、市民がきちんと政治に向かい合えるようにするために、マニフェストの評価をはじめ、様々な政策課題について学んだり議論ができるような言論をつくろうと思っています。それから、政治の評価をするだけではなくて、みんなで日本の将来を考えようというのが、「次の日本をつくる言論」です。その中では様々な日本の課題解決に向けて、期間を設けて議論をし、その結果をもとに政府や政党に対して提案をしていくということを考えています。4つ目は「世界とつながる言論」です。アジアや世界が多極化する中で、日本はどのような存在感を発揮していけばいいのか、つまり大きな意味での外交ということを民間が語っていくと。実は、国際社会の中で日本の針路を語り合う議論の場は私たちの初心なのですが、それは次の3年で必ず実現しようと思っているのです。
今度のリニューアルでは、サイトをこの4つの言論というカテゴリーに分け、そこで議論が回るだけではなく、活動が動き、それが見える形にしようと、全面的につくり変えているところです。急ピッチで作業を進めていますが、おそらく12月中旬には公開できるのではないかと思っています。
田中: 楽しみにしています。それから8周年を記念して、パーティーを開催されるとのことですが。
工藤: はい。私たちの運動は、いろんな人に支えられて成り立っているんですね。そして、健全な社会には健全な言論が必要だと、日本の将来にとってきちんとした議論が必要だという思いを持っている人はやはり多いのだろうと思います。そういう方々にはぜひ、私たちの議論に参加してもらいたいし、こういう議論づくりに協力してもらいたいと思っています。そういう意味で12月22日、次の動きに向けてパーティーをやろうと。年末の大変な時期ですが、今年はやはりパーティーで締めくくって、新しい2010年には、私たちは本当の議論をやっていきたいと思っています。
田中: 私も参加させていただきますが、頑張ってください。
工藤: どうもありがとうございます。
(文章は、動画の内容を一部編集したものです。)
2009年11月20日
「事業仕分け」前半戦をどう見るか
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「事業仕分け」前半戦をどう見るか 聞き手:田中弥生氏 (言論NPO 監事) |
「事業仕分け」前半戦をどう見るか
田中: 工藤さん、こんばんは。事業仕分けに関して、工藤さんは新聞やテレビで発言なさっていましたけれども、紙面や時間が限られている中で、全体の真意が伝わりきらなかったところもあるのではないかと思います。そこでもう一度、事業仕分けについておうかがいします。前半戦が終わったということですが、今回の仕分けをご覧になってどのようにお考えですか。
工藤: 予算査定の一端がオープンになったということで、国民にとっても「予算とはこういうものなのか」ということがわかったという意味では良かったと思います。また、無駄に切り込むということで、いろんな手法を活用して政権が取り組んだということは、政権交代があったからこそ実現できたことですから、これは評価できると思います。しかしやり方が荒っぽい。何がムダなのかよくわからない。ルールなきショーを見ているような感じがして、違和感を覚えましたね。
田中: 確かにこの点については、インターネットなども含めて他の報道を見ていても、プラスの評価と同時に批判も出てきているように思います。ただ、問題の本質というものはそれ以外にもあるような気がしますが。
工藤: 私は3つあると思います。ひとつは、「無駄を査定する」ということそのものに問題がある。本来、無駄という場合には短期的な効果が見られないとか、社会的なニーズに応えていないとか、もう終わっている事業にお金がついているといった問題があるのだろうと思います。しかしこれらは本来、財務省の査定の中で解決すべきものであって、これまでそれを解決できなかったということのほうが問題です。にもかかわらず、今回の仕分けは、財務省の主計局がお膳立てしたメニューの中で、議事の進行が行われています。中には良い議論もありましたが、個人的な主観だけのヒステリックな議論が目立った。そうなってしまうと、この先、査定というものをどう考えていけばいいのかということについて、大きな課題が残ったように思います。
2つ目は、そうは言っても、これまでのきちんとした査定ができなかった背景には、要求官庁の後ろに政治や利害当事者の既得権益の問題があるなどの理由で、なかなか予算を切れないということがありました。切るといっても「前年比~%」というくらいが精いっぱいで、結果的には何かのかたちで残ってしまうという構造的な問題があったのだと思います。しかしそれを改めることができるのは、政治しかないわけです。鳩山政権は政治主導を謳い、これまで官主導の中で生じてきた構造的な無駄や不都合を改めたいということで、取り組んでいるわけですが、今回のこの問題について、なぜ政治主導で取り組まないのかと。逆に、政治主導ということで各省庁に入ったはずの副大臣や政務官が、仕分け結果について「問題がある」と言っているのは、どういうことなのか。つまり、これは政治主導による改革に動きに限界があるということを示しているのでしょうか。私が一番気になるのは、こうした民間の力を借りての査定を行うことで、これまでの自民党政治がもたらしてきた構造的な問題を解決することについての政治の責任を、回避することになってしまうのではないかということです。
3つ目に、政府が抱える課題の中には「無駄」という基準だけでは答えを出せないものもあるわけです。たとえばスーパーコンピュータなど科学技術にかかわるプロジェクトの中には、確かに疑わしいものもありますけれども、20分や30分という時間の中で「無駄だ」とか「国益上の問題は意味がない」などと言って判断してしまうのは、やり過ぎだろうと思います。いっぽうで、国と地方との関係や官と民との関係などはまさに、行政刷新ということで取り組まなければいけない問題ですが、それは「無駄かどうか」という基準で判断できることではないでしょう。行政刷新のための政策手段として、「無駄」ということだけをベースにしてやるということには、明らかに限界があります。
田中: 確かに今回の仕分けについては、「査定プロセスが透明化された」という切り口で見て評価をしている人が多いように思いますが、その背景には、これまで弱まってきた財務省の査定機能をどう考えるのか、そこをリードする政治主導の問題をどう考えるのかという、かなり本質的な課題が残されているというわけですね。
工藤: そうです。仕分け人の方々がどういう基準で選ばれたのかよくわからないですが、今回はその「民の力」を借りて、旧来の構造を変えていくという手法をとったわけですよね。しかしそれは本来、政治主導でやるのが鳩山政権の狙いだったのです。今回の一連の仕分けについては、そのプロセスをオープンにすることが目的なのではなく、結果として本当の無駄をどれだけ削減できたかということが、評価の対象になるわけでしょう。「廃止」とされたものが、今後の予算編成の中で復活するということはあまりないと思いますが、「一部削減」や「見直し」とされたものが、これから行われる査定官庁と要求官庁との間の調整の中で復活する可能性はあります。ですから結果に関して、政府は責任を持たなければなりません。事業仕分けを行う人たちは、言ってみれば責任がないわけです。予算に関しては、査定官庁と要求官庁が決め、内閣として予算書を決定することになるわけですから、この決定について、政府にはきちんと国民に対して説明してほしい。なぜその事業が無駄と判断されて廃止されたか、あるいは復活したかについて説明する必要があるということです。
田中: 今の時点では、仕分けの結果を見て「何兆円削減できたか」というところだけで評価をしがちですが、私たちが本当に着目すべきは、その後に出てくる予算書であり、それについて政府がどういうふうに説明できるかということなのですね。
工藤: そうです。マニフェストを軸とした政治のプロセスにおいて、予算書というのは約束を実現することを目的とした政策決定メカニズムの中の、ひとつ目のアウトプットなのです。だからこそ、予算書には非常に意味がある。しかし残念ながら、言論NPOでもこれまでのマニフェスト評価の中で、この予算書というものを評価しようと何度も試みてきたわけですけれども、非常に難解です。省庁別になっていて事業別に体系化されていない。ひとつの事業に関するものがいろんなところに入ってしまっていて、目的と、何のためにその手段を使うのかということが体系化されていないわけです。ですから、国民に対して開かれた予算のプロセスを実現したいというのであれば、まず予算書の改革をすべきです。国民にとって評価可能なものに、予算をつくり変える必要があります。同時に政府として、それを自己評価するしくみをつくらなければなりません。そうなれば、私たち言論NPOも含めて民間側がそれを評価できるようになるのです。それが本当の、国民に開かれた政治のあり方だということになるのだと思いますが、いかがでしょう。
田中: おっしゃる通りですね。マニフェスト評価を行ってみて、私たちが最後に突っ込みたいところはやはり予算書ですよね。逆に言えば、予算書を見ると、政権が何をしたいのかということがわかるのではないかと思いつつ、今のしくみではそれができないということですね。それが機能別の予算書などと言われているところだと思います。ここまでの制度改革には時間がかかると思いますが、ぜひ新しい政権に期待したいところですね。
工藤: 極端に言えば、政治の意志さえあれば、予算を変えたり、過去の政権が行ってきたものの中で無駄だと判断できるものをなくすことはできるわけです。それを、政治主導で行政刷新に取り組もうとしている鳩山政権に期待したということはあったと思います。それが果たして今回、十分に発揮されているのかどうかという点も重要でしょう。いっぽうで、今回の話は、麻生政権までの自民党政権の中に、既得権益に支えられたかたちでの構造的な無駄があったので、これを正さなければいけないということが前提となっているわけです。仕分けについては今、大騒動になっていますが、これを乗り切って来年予算編成を行ったとして、その後の査定はどういうしくみでやっていくのでしょうか。そこでも絶えず効率を考えていかなければならないでしょうし、無駄を削減するという視点で吟味していくことが必要になりますよね。今回と同じように、査定が不十分だということで、民間を巻き込んで仕分けを行うつもりなのでしょうか。それをしないというのであれば、政治主導の中で、今後査定機能をどのように強化していくのでしょうか。それらが今後の課題になっていくと思います。
田中: いずれにせよ、こういうしくみを導入したことによって、予算編成や査定といった政府の最も重要な機能の本質的な課題が、見えてきたということではないでしょうか。
工藤: そうですね。国民との約束を軸とした政治のプロセスが始まったという視点で、厳しく見ていかないといけないと思います。
(文章は、動画の内容を一部編集したものです。)
2009年11月 2日
開催直前!工藤が意気込みを語ります
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新しい日中関係の構築に向けた一歩を踏み出せるか |
今年のフォーラムでは何がテーマとなるのか。両国に問われる課題とは何か?
開幕を直前に控えた工藤が、会場から語ります。
2009年10月28日
鳩山首相の所信表明演説を聞いて
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鳩山首相の所信表明演説を聞いて 聞き手:田中弥生氏 (大学評価・学位授与機構准教授) |
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鳩山首相の所信表明演説を聞いて
聞き手:田中弥生氏 (大学評価・学位授与機構准教授) |
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鳩山首相の所信表明演説を聞いて 聞き手:田中弥生氏 (大学評価・学位授与機構准教授) |
理念は語られたが、約束についての説明はなかった
田中: 工藤ブログも久しぶりの再開となります。新政権が発足して2カ月近くが経ち、思っていたよりも大きな変化が生まれたことで、国民は新鮮な驚きをもって見ているところがあり、メディアも新政権の動きを盛んに報道していますが、言論NPOはあえて沈黙を保ってきたように思います。その理由をまずお聞きしたいのですが。
工藤: 言論NPOは政権が誕生すると、100日間はハネムーン期間ということで暖かく見守ろうという考えを貫いています。今回の鳩山政権は政治を新しく変えようとしているわけで、大変なことも多いと思いますので、それを逐一論評しても仕方ないと思っています。ただ、100日が経過したら、政権として国民に約束したことをどう実現しているのかをきちんと検証したいと、思っています。昨日から臨時国会が始まったわけですから、その評価作業に言論NPOは入ろうと思います。
田中: 臨時国会が始まりまして、鳩山首相が所信表明演説を行いました。今日はそれを中心にお話をうかがいたいと思っています。まず、所信表明には何が記されるべきかというところですが。
工藤: 本来ならば、国民との約束ということを所信表明演説で言うべきだと思います。マニフェストというのは政党が国民と交わした約束だったはずです。政権を取ってからは、その約束が本当に実現できるのか、いつまでに実現できるのかということを国民に伝えないといけないわけです。今回私は、首相として何をいつまでに実現すべきなのかということを説明すべきだと考えていました。選挙のときには見えにくかった鳩山首相の友愛主義というか目指すべき社会のようなものが、今回きちんと説明されたという意味では、「こういうことを考えていたのか」と、私も考えさせられるところがありました。ただ、その目指すべき社会をいつまでにどう実現するのかということは説明されなかったように思います。国民との約束で政権を取ったわけですから、そこまで踏み込まないと。
田中: つまり、理念は語られたけれども、ビジョンをどうするのか。そのビジョンを実現するための手段、政策をどうつくっていくのかというところまで聞きたかったということだと思います。首相は「大きな政府か小さな政府か、ということではない」という言い方をしていましたが、実際には国民に供与するものが子ども手当をはじめとしてかなり大きくなるので、必然的に大きな政府になっていくのではないかという気もします。そのときに国がどこまでを負担するのか、政府が何をどこまで担うべきなのかというところは、友愛社会の次に設計していかなければならないところだと思いますが。
工藤: 演説を聞いて、鳩山政権が目指す社会に共感すべきところはありました。今回のメッセージをよく見ると、政府の役割は、本当に困っている人に手当をすることだと。これは政府が機能することだと。しかし一方で何でも政府がやるのではなくて、新しい公共ということで、市民がいろんなことを自発的にやっていく社会を目指すということですよね。この考え方は今回、初めて出されているが、これはなんでも政府が対応する大きな政府ではありません。
しかしそれが民主党が本当に目指している社会なのかどうかということについては、100%納得できないところもあります。この前の選挙の時に示された政策は、非常にバラマキ色の強いものだったわけですから。今回示されたのは非常に市民参加型の理念だといえますが、それを実現するためのビジョンなり政策の体系を示してくれないと、本当にこの友愛主義に基づく理念を民主党政権が実現するために政治が運営されていくのかどうか、現時点では100%信じきることができないということです。
田中: つまり、鳩山首相が目指す国会像と、選挙で示されたマニフェストとの間がまだしっかりとリンクしていないという感じですか。
工藤: 「子育ては社会でやることだ」というメッセージには納得できます。これまでの自民党政権は公共事業をベースにした政策を優先させてきたわけですが、それを完全に変えて、子育てとか福祉とか環境というかたちにお金の使い方をシフトするのだと。それ自体は非常に正しい問題提起だと思います。
ただ、大学の授業料や子ども手当などを見ても、所得制限もなく直接給付でやるということですが、この鳩山さんの理念で言えば、本当に困っている人たちに、必要なサービスを提供するほうがいいということもあるでしょうし、所得制限もやはり必要でしょう。いっぽうで、その財源に関しては、ムダの削減だけでは賄えないということも明らかですから、そうなると国民は負担を考えないといけません。全てにばらまくのではなくて、本当に困っている人にサービスと提供するのが政府の役割だというのであれば、その理念に基づくビジョンや政策体系が示されるべきです。
「こういう社会を実現するためには政府の力だけでは無理だ」と。「市民が参加して新しい公共を一緒に担ってくれないか」と、堂々と国民に呼びかけるべきであって、そこまで来ると「俺たちも頑張ろう」と思う人が増えていくわけですよね。しかし、今回の演説はそこまでの呼びかけにはなっていなかった。よく言えば、今回は鳩山首相が選挙で十分に伝えられなかった目指すべき社会の理念を伝えた、しかし、具体的な政策体系は予算編成後の施政方針演説に延ばしたのではないかと、私は理解しています。
田中: 「新しい公共」についてもう少しおうかがいします。これは鳩山さんのオリジナリティではなくて小泉構造改革から言われてきたキャッチフレーズだと思いますが、自民党時代の「新しい公共」との間に何か違いはあるんでしょうか。
工藤: 「新しい公共」という概念は確かに小泉政権時から出ていて、そこに一番突っ込んだのは安倍元首相のマニフェストでした。ただ残念ながら、それ以降の自民党政権でその理念が具体化されることはありませんでした。その後のマニフェストなり政策実行の展開を見ると、「市民が公を担う」というよりも、「地域のために、地域内での絆が必要だ」というふうに話がどんどん変わって、何を目指しているのかわからなくなってしまったという経緯があります。鳩山首相はもう一度それを出したわけで、しかも公を一緒に担おうというところまで踏み込んでいるのです。今までの展開と比べると鳩山さんのほうが一歩も二歩も「市民社会」のあり方のほうに進んでいます。こうした市民社会のイメージは、ある意味で「何でも政府に依存せずに自分も自発的に公を担っていく」という効率的な小さな政府論とこそ連動すべきです。ただ、それは選挙中に示された「何でもばらまいていく」ということと理念的には一致しないもの。理念は新鮮ですが、この点はもう少しその展開を見ていかないといけないと思いますね。
田中: 構造改革のときの「新しい公共」は政府機能を外延化し、民間にアウトソーシングしていくので、市民にエージェンシーとして公を担ってもらうということだったと思います。しかし鳩山首相の「政府は側面的な支援を行う」という表現からは、もっと独立した、自立的な新しい公共を目指しているのかなということがうかがえますね。
工藤: ただ、その市民社会を設計するには大きな課題がたくさんあります。政府が租税を集めてそれを公共サービスとして提供する場合は、その規模が大きくなるほど、市民社会との連動は政府がやることを民間に委託するというかたちになります。公共サービスが外延化して市民がそれを担うということですね。しかしこれはあくまでも租税をベースにした流れです。本当の意味で市民が自発的に担う公というのは、租税ではなくて、自分たちが自主的に寄付などでお金を集めて、自主的に公共サービスを提供するという新しいかたちだと私は思います。政府部門の公共サービスと市民社会が連動して公共を担っていくというこれまでとは、全く違う発想なのです。「政府は側面的な支援を行う」と言いますが、鳩山政権はそのどちらなのか、このスピーチだけでは判断がつきません。今の社会には、必要な公共サービスが足りない問題がかなりあるわけです。そのときに問われるには税の使い方と市民社会が回るシステムの設計です。これまで公共事業などのハード面での政策を完全にやめて、今本当に不足している福祉などに転換するのだということで、政策の目標体系を全て変えるということと同時に、市民が公共を担うために、自発的にお金を集めていけるような制度やインフラ設計のところを政府が支援するということで成り立つわけです。
強い民主主義をつくるためのドラマが始まった
田中: マニフェストの話に戻ると、工藤さんは冒頭で「国民との約束をどう守っていくのかということを示してほしかった」とおっしゃいましたが、最近の世論の動きを見ると、「何としてでもマニフェストを守ろうとしているけれども、そこには無理があるのではないか」という批判の声も聞こえてきているように思いますけれども。
工藤: 基本的にはマニフェストが不十分だったということです。言論NPOも選挙の際、民主党のマニフェストに27点という厳しい評価を下しました。このマニフェストの実現性や政策体系として妥当性で説明が不十分だと指摘したわけですが、その問題が今、政権を取ってからいろんなところでうまくいかなかったり、修正が議論されているのです。政策の目的と政策手段の間や他の政策間との整合性が不十分だったということと、必要なところにサービスを提供するよりも、バラマキのようなところに比重を置いてしまった。それが大きな政府を目指しているような雰囲気を与えてしまった。しかし、今度は政権を取ったのですから、政府と国民との約束を示す段階なのです。政府の責任のもとに「こう考えていたけれども、やはり良くないので、国民との約束をこう変えます、発展させます」ということがあってもいいわけです。だから所信表明演説ではそれを語らないといけなかったと思います。
田中: マニフェストはまさに政党として掲げたものですが、政府となったときにはそれを実行可能なものに吟味し直して修正することもあると。政府案としてプランを出すという作業がワンクッション、必要になるわけですね。
工藤: そのときは国民にきちんと説明することが最も重要です。一部のメディアで言われているような「君子は豹変すべき」とか、「あのマニフェストはおかしいのだから変えてもいい」というのは有権者をばかにした議論です。選挙の中で多くの有権者は少なくとも民主党のマニフェストを選んだわけですから、「ご破算にしましょう」などという議論は認めるわけにはいかない。ただ不十分であったとすれば、その修正を国民に説明して「こう発展させます」と言わないといけません。今回残念なのは、所信表明演説の中に「マニフェスト」ということばが一度も出てこなかった。これはおかしいだろうと。オバマ政権だって政権誕生後100日のときには、その間で何を実現したかを国民に徹底的に説明しています。国民との約束をベースにしてこの政党は政権を取ったわけですから、マニフェストをどう発展させるのかとか、「少なくとも100日の間でこれだけは実現する」とかいうことがないと。
田中: そういうものが抜けているので、いろんなところから批判が出ていると。
工藤: 他方、国民がそのマニフェストを選んだわけですから、政府がマニフェストを具体化させるために変えたり発展させるときには、国民に説明してほしい。「こうだから変えた」ということを説明しないまま変更だけしていると、「そういうことは選挙の前に言ってくれ」という声が出てくるのは当然です。今回の演説ではそういうことに触れていない。理念を説明したということでは、ある程度評価はできますが、今の政権が本当に国民と一緒に今の日本を未来に向けて変えたいのなら、その理念と国民との約束を合わせる説明をしないといけない。言論NPOの100日評価ではそういうところを徹底的に評価することになるでしょう。
田中: マニフェストを持ってそのまま与党になって、それを守ろうというよりは、政府としての政策体系をしっかり描いて、プランをつくっていくかを見せていかないといけないということですね。
工藤: そうです。もうひとつ重要なのは、マニフェストを実現するというサイクルを政府の中につくってほしい。目標の達成について、きちんと自己評価をするとか。約束がどのように実現されたか、あるいは修正されたかということを絶えず国民目線で説明するようなしくみがないと。あれほどまでに、マニフェストをベースにした選挙が繰り広げられたわけですから。
田中: 有権者側にも気になる点がいくつかあります。言論NPOでも選挙直後にアンケート行いましたが、「とりあえず政権交代をさせたかったので投票しました」という方は多いと思います。しかしフタを開けてみて「この政策は本当は嫌だった」と言うのは、それはマニフェスト型の選挙に対する認識が少しずれているのではないかと。
工藤: 確かにそうですが、マニフェストの書かれ方にも検討の余地があります。ものすごい数の政策項目を出していて、有権者がそれらをひとつひとつ見るというのはやはり難しいわけです。目指すべき理念やビジョンを明らかにした上で、10個でもいいので「これは絶対に実現する」というほうが国民にとってはわかりやすい。
しかし、本格的な政権交代が実現し、政治主導ということで、今まで無理だったと思われていたことがここまで動くのかと、今回多くの人が気づいたと思いますね。政権交代の大きな可能性を感じたのだと思います。各閣僚が頑張っていて、しかもその人が「マニフェストに書かれているから実行する」と言っているのは良い現象だと思います。有権者が選んだからそのドラマが始まったのであって。
田中: だから政党は選ぶけれども政策は嫌だというのは有権者のわがままで。
工藤: そうは言っても政策的に間違っていたり整合性に欠けたりということもあるわけです。財源が捻出できなかったとか。そういう状況の中で、政権はマニフェストを実現するという立場からも、「政府としてここは実現する」ということを絶えず説明する、まずは国民との約束の循環をつくってほしいと思います。
田中: 有権者も、政党が変わるなら政策も大きく変わるのだということを理解しないといけないわけですね。
工藤: その中で有権者側にも「もっと政策を勉強しよう」という気持ちも生まれるし。そういう動きが出てくることで民主主義が強くなっていくわけです。言論NPOもそういう社会が望ましいと思っています。あとは、鳩山首相は新しい公共という市民主体の動きについてメッセージを出したわけだから、なおさらマニフェスト型の政治にしていかないといけないと思いますね。
政権はチャレンジを続けながら、国民の目線で絶えず説明してほしい。同時に市民も強くならないといけない。そうやって民主主義が強くなっていくのです。そのドラマが始まったのだと思います。言論NPOは100日の段階で、今回はこれまでとは異なり、きちんとした評価を公表します。そのための作業を開始して、今の政権に対して言うべきことを言っていきたいと思います。
(文章は、動画の内容を一部編集したものです。)
2009年9月 1日
選挙結果をどう見るか
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選挙結果をどう見るか(1) 聞き手:田中弥生氏 (大学評価・学位授与機構准教授) |
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選挙結果をどう見るか(2) 聞き手:田中弥生氏 (大学評価・学位授与機構准教授) |
「今後に不安」との声が多数―緊急アンケート結果
田中: 今回の選挙結果は民主党が308議席、自民党は119議席ということで歴史的な大転換点だったと言われますが、今回の選挙結果を見てどう思われますか?
工藤: 一言で言えば、有権者の不満がこれだけ激しい結果をもたらすのかということで、驚いているというのが正直な気持ちです。自民党の政治が終わり、政治は大きく変わったけれども、この結果に関して「本当によかった」と単純に思う人はそう多くはないのではないかと思います。先行きに期待はあるけれど、不安だなあという人もいる。これから本当に新しい政治が日本で起きるのかについては、私にも不安があります。
田中: 私もこの結果を手放しで喜んでいるのではなく、一抹の不安を持っています。それに対応するように、言論NPOでは選挙後すぐに有識者に対してアンケート調査を行っていますが、かなり厳しい結果になったようですね。内容を聞かせていただけますか?
工藤: 開票結果が判明すると同時に、ジャーナリストや経営者、学者などの有識者に7項目のアンケートを実施しまして、現時点で175人くらいの方からご回答をいただいています。それを集計したのですが、やはり今回の選挙結果に対して満足しているのは11.4%くらいで、53.7%は「満足はしているが今後に不安がある」と答えています。あとは24.0%が「本当に心配だ」という答えでした。
では、民主党大勝の理由は何だったのかについてですが、7割近くが「自民党政治に対する批判が今回の選挙の意味であった」と。それは裏返して見ると政権交代への期待となっています。逆に言えば民主党の政策に共感をしたとか、新しい政治を大きく期待したというより、今の自民党政治に対する批判票が「政治を一度変えたい」というかたちで、今回の地すべり的な民主党の勝利につながったと、有識者は判断しています。
投票の際、なぜ政権交代を重視したのかということですが、4割が「既得権益を中心としたこれまでの政治構造の改革を期待できる」と答えており、2番目に多いのが「政権交代でもない限り自民党がこれまでの政策を総括することはなく、解党的な出直しが出来ない」という回答でした。
つまりこれまでの自民党の政権はだめだという思いが、今回の投票行動につながったのだと私は思います。
田中: つまり自民党に反省してほしいということですか?
工藤: 自民党に対する強烈な批判が、自民党政治を変えたいというところまで来たというのが今回の結果だと思います。ただ、民主党の政策を支持するかどうかについては意見が分かれていて、4割は「支持」や「どちらかといえば支持」ですが、やはり半数近くが「支持していない」という声です。今回の選挙は、政策を評価するかどうか以前の問題であったということが、有識者の認識です。
今回の選挙は変化に向けた第一歩
田中: まず政策を問う前に政権交代をさせようと。
工藤: そうです。今回のアンケート結果で驚いたのは、今回の選挙では政権交代、民主党の大勝となりましたが、今の政治状況を多くの有識者がそれとは違う視点で見ていることです。 自民党の政治が終わり、政治は大きく変わった。このような政権交代は、長い間進めてきた政治改革ではある意味で理想でしたが、驚いたのは、自民と民主の二大政党が今後も政権を争うような政治が日本の中で定着するのではないかと見ている人は6.9%しかいなかったことです。56.6%は「既存政党の限界が明確になり、政界再編や新しい政治に向かう過渡期」だと判断しています。「政権交代によってこれまでの政治を一新すべき時」だという人も23.4%で、つまり今回の民主党への交代が新しい政治を選んだのではなく、これから始まる日本の政治の本当の意味での出発だと捉えている人がほとんどなのです。
田中: なるほど。今回の選挙は通過点だということですね。
工藤: 日本の政治の新しい変化の始まりだということです。今回、アンケートに協力していただいた有識者には、コメントを書いてもらいましたので、それを言論NPOのホームページで公開しています。それを読んでいただければと思います。かなり厳しい意見が出ています。
田中: これから大きな政治の変化が始まるとすれば、新しい政権については、皆さん今は様子を見ているということなのでしょうか。
工藤: ただ、そうだとしても実際には政権交代で新しい政治が始まるわけです。この政権が今後どうなるかを監視していく必要があります。言論NPOは政権が変わると、100日はハネムーン期間ということで暖かく見守ることにしています。しかし、それを過ぎれば政権は有権者の監視の対象になるということで、評価を開始します。今の時点で政権がどうなるかということでひとつ言えることがあるとすれば、「どんな政権も課題からは逃げられない」ということです。
選挙の中では様々なばら撒き的な計画が競われましたが、それだけで日本の政治が行われたらこの国は終わりです。やはり、日本の政治は日本が抱えている課題に向かい合うしかないわけです。たとえば少子高齢化が進む中、社会保障の財源や制度設計が日本ではまだ実現していません。財政面では国債が累増しており、国際社会で中国が台頭し、世界的に多様化の流れが強まる中で日本の存在感をどう示すのかというメッセージもない。
選挙ではこうした日本の未来に向けた問いかけがなされなかった、つまり国民に対して新しい時代に対する変化を問うたわけではないのです。でも政権を取った以上、その課題からは逃げられないので、それに対して新政権がどう向かい合うのかがこれからじわじわと問われることになると思うのです。
政治は有権者に未来を説明しなければならない
田中: 今「ばら撒き」とおっしゃりましたが、私も不安を覚えたのが、民主党がばら撒き色の強い政策で大勝したということです。このことによって、「こういう政策を出せば票が取れるのではないか」という認識ができてしまえばそれは大変恐ろしいことと思うのですが。
工藤: その通りですね。結局政治は、「サービス競争をしたほうが票になる」と思っているわけですから、その認識を変えさせない限り何も変わりません。そしてそれを変えさせるのは、実は有権者なのです。
今回の選挙を見ていて、2つの視点で政策を見る必要があると思いました。ひとつは権力を取るための政策であり、もうひとつは有権者が未来を選ぶための政策です。でもこの2つは異なるということです。
政権交代は国民から見れば新しい政治が始まるように見えますが、政治の世界では権力を取るということを意味します。そう考えると、民主党は権力を取るために民主主義の弱いところを突く戦いをした、と私には思えます。古い話になりますが、明治維新のときに尊皇攘夷という考え方がありました。「異国をやっつけろ」という雰囲気に乗っていましたが、そのときに政治に関わっていた人たちは間違いなく「開国は必要だ」と思っていました。つまり、権力を取るための政策と日本に問われた課題とが違うのです。「まず権力を取る」ということで行動するのであれば、負担には触れずにサービスだけを提示する、あるいは官僚など、わかりやすい敵を徹底的に批判することに傾きがちです。そういう方法で権力を取ることが政治の手段として恒常化してしまえば、日本の先行きは非常に厳しいと言わざるを得ません。
2005年の総選挙でも刺客が送られ、わかりやすい争点で選挙が行われました。同じことが、今回も行われた。「政治を変えたい」ということだけが語られて、「では具体的に何を変えるのか」といえば、それは説明されない。それでも風が動いてしまう。この状況を変えるには、やはり政策を判断して政権を選ぶという、強い民主主義をつくっていかないといけない、と今回の選挙で私は感じました。
今回打ち出された政策はほとんどがばら撒きです。確かに、家計に対して直接的に資金を提供することが、完全なる間違いとは言えない場合もあります。ただ、その場合は上位に目的がなければいけません。その目的を語らずにお金だけを渡すのはばら撒きです。でも、サービスには必ず負担があるということをきちんと有権者は考えなければいけません。むしろ、政治は課題解決のために、有権者に対してその負担を堂々と問うなりして、未来を説明しなくてはならない。そういう競争が国会の議論でも始まり、選挙でも問われる。そういう日本の政治に早く変えたいと、私は思います。
重要なのは、課題に向き合っているかどうか
田中: そうですね。メディアも選挙が終わったとたんに「お手並み拝見」という、民主党に対してやや厳しい口調になってきましたが、その中で気になるのが、「マニフェストをどこまで実現できるかお手並み拝見」という論調です。ばら撒き政策をこのまま実行することが重要なのではなく、提案したマニフェストをもとに、政策体系を持ったものにそれをきちんとつくり直していく。その政策を実行した先に何があるのかをいうことを考えてつくり上げることが問われているということですね。
工藤: 私は、今回の選挙戦全てをマイナスにとらえているわけではありません。政権交代は日本の政治の閉塞感を打ち破る点でとても大事なことだとは私自身も思っていました。今までの既得権益を壊したり、これまでの政策を変えるためには、政権を1回リセットすることは必要なのです。
それから、生活が困っている人の視点に立って政治が機能する呼びかけがあったのは正しかったと思います。「政治や政府は生活力や力の弱い人にためにあり、そういう目線で政治を行いたい」という民主党の姿勢には共感も覚えました。ただそれを政治姿勢として示すだけではなく、本当に政治の力で実現するのであれば、単なるスローガンや心構えではなく、政策の体系にしなければいけない。
たとえば雇用のセーフティネットをどう整備するのかとか、最低保障年金をいつまでやるのか、またそれができるまでにはその間をどうするかなど。いろんな面で語られていないことがあります。政治の姿勢はわかりましたが、それらに対して応える責任が、やはり政権党や政党には問われます。
また、マニフェストでばら撒きを掲げたからといって、その通りにばら撒かなかったからおかしい、ということでは話になりません。こうした支出の計画を、目的を明らかにしたうえで、政策体系としてまとめることが政府として必要になると思います。マニフェストは国民との政党の約束ですが、それをこれからどのようにして政府の政策にしていくのかが、今後問われるのです。
田中: そうですね。「マニフェストを実行できるかどうか」という非常に近視眼的な見方はよくない。まさに政策の質をどう高めるのかとか、どう設計するかということを見ていかなければいけないですね。
工藤: その点で今回アンケート結果が非常に重要です。「なるほど」と思ったのは、有権者が政党の限界を感じているということです。つまり、政治が日本の未来を全く国民に説明できていないのは、選挙だからというわけではなくて、日本の政治にそもそも提案力がないということなのではないかと。したがって、自民党や民主党をはじめとする既成政党そのものの存在意義が問われる段階になってきている、と感じているのです。
2つの政党は政権を争いましたが、今回のアンケート結果を見ると、多くの人が2つの政党の限界を感じている。これは日本や日本の政治が本質的に変わる時期に入ったということに他ならないと思います。
私は、そのためのボールは新政権にあるのではなく有権者にあるのだと考えています。日本の政治の改革のドラマは、有権者が日本の未来に対してどのような判断を下すかによって決まるのです。私たちは、そういう覚悟をもって政治を見続けなければいけません。
田中: ただそのためには、我々がどういう視点でものを見ていくかということが重要ですが、最後にいくつかキーワードをお願いします。
工藤: やはり課題にちゃんと向かい合っているかということを私たちは考えています。課題とは、少子高齢化への対応や国際社会での役割などについてきちんとした姿勢を示せるかどうか、きちんとした議論や政策展開ができるかを見なければいけない。それからマニフェストはやはり大事なので、これを政権の政策にしなければいけないのです。ただ、そのプロセスにおいて、私はマニフェストで掲げた通りにやらなければいけないとは思いません。つまり「マニフェストにこういうふうに書いたけど、こういうふうに変えた」「検討の結果、こういうことが重要だということがわかった」ということであれば、国民にそう説明したうえで政策を発展させることはあり得ることなのです。あくまでも課題解決に対してどう向かってくのかということが、今後100日間は大事になります。私たちはそれを見て、100日後から評価の作業に入ります。
田中: なるほど。それは私たちも注意して見ていきます。
工藤: 私たち言論NPOは来年に向けてすぐに評価作業チームを立ち上げ、いろんな勉強会をして、皆さんにもそのプロセスを公開していきます。日本の国民が強くならなければ、日本の政治は変わりませんので、やはり私たち自身が問われていると思っています。これからもそういうふうに政治に向かい合っていこうと思います。
田中: そのような期待は大きいと思いますのでがんばってください。
工藤: ありがとうございます。
(文章は、動画の内容を一部編集したものです。)
2009年8月27日
今の日中関係は民冷官熱 ―日中世論調査記者会見を終えて
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今の日中関係は民冷官熱 |
2009年8月24日
総選挙最終盤、工藤が語ります
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2009 総選挙最終盤、工藤が語ります(1) 聞き手:田中弥生氏 (大学評価・学位授与機構准教授) |
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2009 総選挙最終盤、工藤が語ります(2) 聞き手:田中弥生氏 (大学評価・学位授与機構准教授) |
衆議院選挙前半戦をどう見るか
田中: 18日に公示が行われて、選挙戦も後半戦になっています。8月12日に党首討論が行われて、この間、どんな議論が行われてきたかをメディアを通して見ていましたが、あのときの物足りない議論から変わっていない感じです。にもかかわらず、もう選挙の結果は出てしまっているような報道が行われています。投票までの期間が長いということもあるかもしれませんが、若干腑の抜けた感じがしてならないのですけれども、工藤さんはどのようにお考えになっていますか。
工藤: 確かに、私は12日の党首討論を見て、マニフェストを書き直してほしいと思いました。つまり、今の政党が出しているマニフェストは政策体系として説明不足だし、日本の未来を語っていないと。しかし結局、マニフェストは何も変わらなかったですね。一部民主党のマニフェストが2、3点追加されましたけれども。政策体系として国民に何を説明して未来をどう描くかということでは全く変わらなかった。党首の発言を見ていても、1カ月前と同じことをただ繰り返していますね。しかも、テレビを見ていると他の番組でも同じことしか言っていないので。ひょっとしたら、政策を有権者の疑問や関心に合わせて進化させて国民に答えるという感覚が、日本の政党にはないのかなと思いました。
各党間の議論は停滞したままで、政策としては同じことが繰り返し発言されています。やりとりを見ていても、言葉のレトリックだけで、本質的なことに関しては何も明らかにしていない。これでは、歴史的な政権選択、未来を問うような選挙としては迫力不足というか、無責任です。田中さんがおっしゃったように、メディア報道でも民主党大勝みたいな話になっていますから。「この選挙は何なんだろう」と、戸惑っている人も多いのではないかと思います。
田中: そうですね。本質的な問題については答えを出しきれず、マニフェストの内容と違うような発言もちらほら出ている。工藤さんが当初からおっしゃっている「未来を選択する」ための政策あるいはビジョンについては何か進化されたようなものは発見されましたか。
政治が説明すべき4つの課題とは
工藤: ないですね。私はひょっとしたら日本の既存の政党は未来を語らないのではなく、語れないのではないかと思いました。
それほどバラマキのような支出計画と、その財源に、話が集中している。新聞を見ていても「将来ビジョン」とか「目指すべき社会のあり方」が説明されていないとされていますが。では日本の政治が何を国民に説明すべきなのか、メディアは指摘しきれていません。
私は評価を行う立場から見ると、最低4つのことがマニフェストに書かれないといけないと思っています。
ひとつは、小泉改革の総括をきちんとしないといけない。改革路線を継承しなくてもいいわけですが、継承しないとすれば、日本の経済構造を変えるためにどういうプランを出していくのかを語る必要がある。継続するのであれば、格差拡大などの歪みが出てきているわけですから、それらにどう対応するのかということに加えて、政府として国民に保障すべき最低限のサービスをどれだけ行うのかということを語る義務があります。
2つ目は社会保障の問題です。少子高齢化の中で急増する社会保障の財源をどうするのか、制度設計をどうするのか。民主党も、最低保障年金を制度化すると言っていますが、新制度になるのは20年先の話なので。ではその間は今の制度をどうするのかを説明する必要があります。今の年金制度は結局、若い世代の未来に負担を先送りして、世代間格差を拡大し続けているわけです。財政が抱えている、国債の累増問題も同じです。今の課題解決を避けるがために、つまり負担の問題を国民に説明しないために、将来世代に負担をどんどん先送りしている。こういう問題をどう考えるかが、2つ目ですね。
3つ目はアジア、特に中国の台頭を含めて、アメリカの経済危機から世界が大きく変わっている中で、日本は国際社会でどういう役割を果たしていくのかということです。今年来年、日本はGDPで見ても世界第3位に落ちていくと思います。マラソンのレースでも同じですが、上位争いは常に映像で流れるけれども、落ちていくと日本がそこから外れてしまう、そういう時代になってきます。では日本は国際社会で何を目指していくのかと。これら3つはどうあっても説明するべきでした。
それから、4つ目に大事なのは、国民に対するメッセージのことです。アメリカの大統領選挙を見ていて感じたのは、オバマ大統領のメッセージ力の強さでした。それが日本の政党にあるのかというと、全くないですね。いろんなサービスを提供するという話はあっても、日本の将来に向けて何を国民にしてほしいのかという呼びかけがない。しかし、オバマ大統領は語ったわけです。アメリカは未曾有の経済危機の中で間違いなく将来が見えない。しかも過度な競争社会の中で格差が発生し、社会の土台になるつながりも分断されてしまった。その中でもオバマ大統領は、「みんなで一緒にこの危機を乗り切って新しい社会を建設しよう」そして「私たちならそれができる」と呼びかけたわけです。
これは間違いなく民主主義の復権のメッセージでした。国民と一緒に時代を変えるという呼びかけには、ショックを受けるくらい感動した人もいっぱいいたと思います。
今回の日本の選挙を見て、日本も同じように未来が全く描けないという状況の中で、政治は何を私たちに呼びかけているのかと。それが全くないですよね。私たちも、そういう呼びかけが選挙戦の中でどんどん出てくるかなと思って期待していましたが、議題として出ているのはそういう話ではなくて「財源は大丈夫か」とか、官僚の話とかムダの話とか、サービスの競争とか、そういうことばかりなので、こんなことで日本の将来は大丈夫なのかなと。率直に言って、私は心配な気持ちなのです。
田中: 4つの課題というお話がありました。「大きな政府」「小さな政府」というのはもう時代遅れだという批判もありますけれども、政府というのはどこまで公共ゾーンを担って―シビル・ミニマムと言っていますが―そしてそれ以外のところの公共ゾーンを誰がどういうふうに担っていくのかと。それは非常に保守的なものなのか、あるいは個人の責任と自由に任せる社会像なのか。それは今のマニフェストからはとらえきれないし、ましてや党首討論を聞いていても、そのあたりが全然出ていないですよね。
このまま選挙が終わってしまっていいのか
工藤: 私たちはこれまで5回、評価を行ってきましたが、民主党のマニフェストを見てみると、これまでの岡田代表や菅代表時代のマニフェストではまさにそういうことが書かれていました。目指すべき社会像、それから理念、ビジョンがあった。自民党も「美しい国」など、わかりにくさはありましたが、小泉マニフェスト以来、ビジョンから政策体系まで、描ききろうという意欲があった。しかし今回の選挙を見ると、政策立案のための時間が十分にあったにもかかわらず、マニフェストとしては非常にお粗末なものが出てきました。単なる支出計画のようなものを競っているような状況ですから。そうではなくて、政治が今の日本の何を解決したいのか。目指すべき社会に向けて、現在の課題を分析してその解決策として出すのがマニフェストのはずです。たとえば子育ての対策であれば、現物のサービス給付あるいはお金の直接支払いも含めて、どういう目標で、子育てを応援する社会をつくっていくのかとか、具体的なビジョンなり政策体系が示されていない。それが語られずにひとつひとつの支出計画で、「うちの党は子育て手当がこうだ」とかいう話になってしまっている。
本来マニフェストというのはそういうものではなくて、政策の目的や全体像、体系を示すことが重要です。オバマ大統領はアメリカをいつまでにどう変えていくのかを国民に具体的に示し、さらに一緒に危機を乗り越えていこうと呼びかけた。そういう問いかけが、日本では全くない。このまま本当に選挙が終わってしまっていいのだろうかという感じがありますね。
田中: 支出計画という言い方をされましたけれども、政府が何でもサービスを提供してくれる社会なのか、私たちが自分のことは自分でやっていかないといけない社会になるのか、そのあたりが、個別の政策を見ていても、どっちなんだろうと。見えてこないですよね。
工藤: 今の田中さんのおっしゃったことで言うなら、日本の政治はぜひそういう説明をしてほしいですね。全ての政党の公約を見ると、選挙という事情もあるのですが、政治が何でもしてあげるという話になりがちです。
でも社会保障の機能強化に向けて政府が責任をもつという社会もあるわけです。ただその場合は、負担の議論を政治は避けてはいけない。自分でやれというのであれば、では政府の役割は何か。政府は最低限何を行うのかと。どちらも説明不足です。これでは、国民は自分たちの将来について安心できないし、日本の政治がどういう進路を描こうとしているかわからないわけです。
私は政権交代に反対というわけではありません。国民は本格的な変化を求めています。しかし、政権交代はあくまでも手段であって、政権交代の結果、どういう社会に変えていくのかが大事です。そのための合意の形成こそ、選挙の中で行われるべきなのです。政治の約束が有権者との間で問われる。そういう緊張感のある政治に変えていかなければならない。今回の選挙がその第一歩だとするならば、日本の政治を本当に変えていくためには、有権者自身が、日本の未来を自分たちで考えるという覚悟を固めないと本当の政治の変化は始まらない、と思います。そのためにも、いい加減な約束を見抜けるような眼力が、有権者側にも求められている。
今回の選挙は「変化」への第一歩
田中: 変化とおっしゃいましたが、「チェンジ」という言葉は、日本でも特に政治家の間で流行っている言葉だと思いますけれども、目指すべき将来像があっての変化ですから、まだそこまでには至っていないということですよね。
工藤: そうです。言論NPOは今年初め、麻生政権の100日評価を行った際に、有識者を対象にアンケートを実施しました。その結果を最近思い出したのですが、「今の日本の政治状況をどう考えているか」という質問に対して、最も多かったのは「既存政党の限界がはっきりし、新しい政治に向かう過渡期にある」という回答で、半数以上ありました。
それから「政権交代によって日本の政治を一度壊さないといけない」という回答も半数近くありました。つまり、今の2つの政党の中で、「片方がだめだからもう片方」という二大政党が実現しているというような判断はほとんどありません。私は、この有識者の声が今の日本の政治状況を見事に説明していると思います。今回の選挙で政権が変わってもそれは始まりに過ぎないのであって、これから日本の政治がどう変わっていくかということが問われる局面になっていると思います。
そのときに一番重要なのは、私は今年の正月に「日本の根本的な変化が必要だ」と言いましたが、そうした変化、つまり「チェンジ」を行うのは有権者だということです。有権者なり市民が、自ら未来を選択して政治を判断するというふうに頭を切り替えないといけない。政治が提供するものをただ選ぶというだけでは、政治は変わらない。
日本の未来が問われているときに、政党がサービスだけを競っている。これでは、政治家は「有権者はサービスにしか関心がない」と考えているとしか思えない。
つまりサービスしか票にならない。しかしサービスには必ず負担があります。それを明らかにしないで、「今回の選挙では負担は言わなくていい、将来世代が考えればいい」というのでは、有権者がバカにされていると言っていいと思います。
有権者も、そうした扱いでいいのかどうかを考える必要があります。自分たちで自分たちの未来や国の未来を判断できるような力をつけないといけないし、そういう気迫が日本の政治を強くしていくのだと私は思っています。
田中: そうすると、「サービスはおねだりをするけれども負担はしたくない」というのではまさに55年体制から変わっていないということですから、それは政治家も発想が変わっていないし、有権者も下手をするとそこに引っ張られてしまうということですね。
問われているのは日本の民主主義
工藤: 私が気になっているのは、日本の政党は民主主義の弱いところを微妙に突いてきていることです。それを日本のメディア報道があおってしまうという構造もある。民主主義の弱さというのは基本的に、選挙が人気投票になってしまう可能性があるということです。でも政権選択の歴史的な局面で、人気投票の域から出られない政治でいいのか、ということを考えないとならない。
人気を得るためには、負担よりもサービスのほうがいい。だから負担の問題を隠してしまうのです。それから、誰か敵をつくり、それをあおることで人気を得ようとする。日本の官僚主義というのは、確かに目に余るものがありますが、官僚だけを批判すれば何かが変わるわけでもない。既得権益を改善するなら、政官財、全てのしくみが問われることになります。政党のあり方、業界と族議員との関係、政治とカネの問題、官僚の天下りの問題、全てが日本の政治の中では、まだ構造化している部分が残っているのです。
でもそういうことを抜本的に変えるために政党が競おうとしているわけではない。ただ、官僚の天下りを問題にしているだけです。
2005年の選挙のときも小泉劇場というものがあり、刺客を送ったりしていました。あのときと同じような選挙のパターンになっているところが今もある。
つまり民主主義の弱さが突かれているわけです。でも、そういうところで決まる民主主義は非常に薄っぺらです。もっと強い民主主義をつくらないといけない。政策をきちんと見て判断して、有権者が日本の政治を変えていく。それがマニフェスト政治の眼目だったわけです。
今回の選挙は、日本の未来にとっての第一歩にすべきです。そのためにも、この選挙を、日本の民主主義をもっと強いものにしていく契機にしなくてはならない。選挙まであと一週間。日本の政党には日本の将来の課題から逃げないで説明してほしい、のですが、本当に問われているのは私たち有権者自身の方だと、私は思っています。
私たちはこの国の未来から逃げられるわけではない。そうであるなら、有権者が日本の政治をもっと良いものにしていかないといけないわけです。日本の政治を本当に変えるには、そうした覚悟が必要だと思います。これからまたこの一週間で政治の議論は進化していくかもしれませんが、この間の選挙戦を見て痛感したのは、そういうことです。
田中: 有権者自身も力をつけないといけないということですね。
工藤: 有権者がこれからの未来を決めるのです。だから私たちはこの時代から逃げてはいけないと痛感しています。このような状況では、どこの政党に投票すべきか、内心悩んでいる人も多いと思います。しかし、この一票から始めるしか方法はないのだと、私は考えています。
田中: 今日はありがとうございました。
(文章は、動画の内容を一部編集したものです。)
2009年8月21日
「未来選択」サイトについて
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マニフェスト評価専門サイト「未来選択」について 聞き手:田中弥生氏 (大学評価・学位授与機構准教授) |
マニフェスト評価専門サイト「未来選択」について
田中: 言論NPOでは来る選挙を前に「未来選択」というマニフェスト評価専門サイトをオープンさせました。私も拝見させていただきましたが、今回の評価だけではなくて、小泉政権のマニフェスト評価と実績評価、そして安倍・福田・麻生政権に至るまでの評価が政策別に閲覧できるというものでした。多くの有権者が、今回の選挙ではマニフェストを参考にして投票したいと言っていますが、このサイトをどのように活用すればいいでしょうか。
工藤: マニフェストを評価するには、2つの視点からマニフェストを読み込む必要があります。
ひとつはマニフェストが約束としての体裁を整えているのか、ということです。これを私たちはマニフェストの「形式要件」と呼んでいます。
ここでよく話題になるのは数値目標です。実現すべき目標がスローガンのようで具体的で明確でないと、約束としてそれが実現したか、判断できません。だから、明確な目標は約束にとっては必要な条件となります。
ただ、ここで気をつけるべきなのは、数値目標だけでは、国民との約束としては十分ではなく、むしろばら撒きリストに変わってしまう「落とし穴」があるということです。
私が今回の選挙で、これはまずいな、と思ったのは、その政策の目的が明らかにされないまま、様々なサービスのメニューやサービスの目標だけが競われた結果、マニフェストが国民との約束というよりも、単なる支出リストに変わってしまったことです。
支出には当然、その財源が必要ですから、選挙戦ではその財源がどうかということについて、激しいやりとりがありました。しかし本来は、何のための政策なのか、つまり目的を明らかにして、そのうえでその目標や政策手段がどうなるのかということを議論すべきなのです。
マニフェストがなぜばら撒きのリストに変わるのか。ここで明らかになったのは、マニフェストには数値目標だけではなく、政策としての体系性が必要だということです。では約束の体系性と何なのでしょうか。
言論NPOでは5年前に評価を開始してから、約束としての形式的な要件を満たすものとして、5つの評価項目に沿って、点数を分野別に公開しています。今回の「未来選択」サイトにも、それがしっかりと書かれていますので、そのチェックからしてみてはいかがでしょうか。
私たちが評価項目として採用しているのは、まず①なぜその政策が必要なのかという目的や理念が説明されているのか、ということ。そして、その目的を実現するための②目標とそれを実現するまでの③期限や工程、さらにそれを実現するための④政策手段や⑤財源が書かれているのか、の5項目です。それらの政策の体系がそろって初めて、マニフェストが約束として十分なものとして判断できるという構成なのです。
田中: 具体的に説明してもらえますか。
工藤: たとえば民主党は、高速道路の無料化や揮発油税の暫定税率の廃止を掲げました。
高速道路の料金が下げる、暫定税率をなくすという約束は具体的だし、その約束が実現できたかという結果は測定可能なものです。その点では目標は明確だと言えます。
しかし、この2つの政策の目的は何なのでしょうか。料金などの引き下げは車の利用者にとっては朗報ですが、車社会に優しい政策は環境にはマイナスになります。
また高速道路が料金収入で、過去の債務を負担している、ということを考えると、料金を下げた分は、租税でその穴を工面する、ということです。
でも環境上ではマイナスになること、さらに負担は納税者に肩代わりされるのに、それをマニフェストで触れないばかりか、それでも無料化などを行なう理由を説明できてはいません。ただ、無料化すること自体が目的なのです。また、暫定税率をなくすといっても、必要な道路はつくると言っています。
自民党のマニフェストも同じようなものです。料金を1000円にするということで無料ではありませんが、その根拠と財源の説明はありません。
マニフェストでは明確な目標が書かれてはいますが、政策の目的や財源が体系的に説明されないために、単なるサービスリストになってしまう。これを、約束に基づいたマニフェストと呼んでいいのか、という問題があるのです。
ここまではマニフェストの約束としての体裁に関する形式的な評価を説明しましたが、私たちは実は、こうした形式的な要件だけでマニフェストの評価を行っているのではありません。
より重要なのは中身を吟味する、つまり、政策としての妥当性を判断することです。つまり、マニフェストを体裁ではなく、実質的に評価するということになります。
ここにもいくつかの評価基準があります。「未来選択」では各政策分野の評価が、評価項目に沿って、説明されています。
その中のひとつに関して簡単に説明しますと、マニフェストに書かれる政策は、日本が抱えるそれぞれの分野の課題に対する解決策を提起していないと、約束にはならないということです。そのためにはまず、現状や課題をどう認識するのかを明らかにする必要があります。それが間違ってしまうと、課題解決の処方箋以下が、全て間違ってしまうということがあり得るからです。
マニフェストを評価する以上、評価する側が、その課題をどう認識しているのかを明らかにしたうえで、その政策の妥当性を判断する必要があります。
この妥当性も基準を明らかにした上で評価をしています。例えば、政策目標と手段の整合性や、目標自体がその課題解決としてふさわしいのか、などかなり専門的な視点がそこでは必要になります 。
その点で言えば、「未来選択」はまず政策を評価するにあたっての「視点」を明らかにし、そのうえで評価の結果を公開しています。
つまり、言論NPOの評価は、政策の背景がよくわかるようになっているのです。背景を理解したうえで、皆さんも一緒に評価を考えてみよう、という構成になっているわけです。
田中: ただ、政策の背景を分析するためには、その分野に関する専門的な知識がかなり必要になると思いますが。
工藤: 言論NPOは約30分野の政策評価をやっていますが、各分野に日本を代表する専門家、学者などが評価委員として参加しています。委員のコメントもこのサイトでは同時に公開しています。同時に、私たちは政策を政党とか、霞が関の実際に政策をつくっている人たちとも議論をしています。討論会や座談会の様子も公開しています。つまり評価結果だけではなくて、そのプロセスもわかるようになっていますから、より深く政策の中身を理解できると思います。
田中: 専門性や信頼性が高い、のみならず、ある意味でいろんな方々の参加によるサイトになっていると言うことができますね。そういう意味では、サイトをご覧になった方々の中にも、何らかのかたちで参加したいと考える方も出てくるのではないかと思いますが。
工藤: 私たちは今後のオープンなフォーラムを何度かやっていきたいと考えております。マニフェスト評価というのは選挙の前にやるだけではなくて、選挙が終わった後も、その政策が実行できているかということをきちんと監視していくことが必要なんです。だから私たちは毎年、年間を通じて、このマニフェストに関するフォーラムや勉強会など様々な企画をつくっていきますので、ぜひご参加いただきたいと。それだけではなくて、私たちはこの評価結果を、メールマガジンなどを通して配信していきます。その中で皆さんの意見をいただいたり、疑問に対しては可能な限りこの評価サイトの中で答えていきたいと思っています。双方向でできるしくみを整えていきたいと思っていますので、活用していただければと思います。
田中: まさに、有権者のエージェントたりうるところだと思います。頑張ってください。ありがとうございました。
(文章は、動画の内容を一部編集したものです。)
2009年8月13日
党首討論を傍聴して ―党首は本気で未来を説明してほしい
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党首討論を傍聴して 聞き手:田中弥生氏 (大学評価・学位授与機構准教授) |
2009年8月11日
両党ともマニフェストを作り直すべき
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マニフェスト検証大会で工藤は何を言いたかったのか-1- (全5分7秒) 聞き手:田中弥生氏 (大学評価・学位授与機構准教授) |
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マニフェスト検証大会で工藤は何を言いたかったのか-2- (全8分9秒) 聞き手:田中弥生氏 (大学評価・学位授与機構准教授) |
2009年7月 3日
「自民党×民主党 政策公開討論会」2日目 を終えて
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「自民党×民主党 政策公開討論会」 |
7月2日、都内ホテルにて「自民党×民主党 政策公開討論会」の第2日目が行われました。前半は自民党から町村信孝氏(日本経済再生戦略会議会長)、民主党から増子輝彦(ネクスト経済産業大臣)氏をお招きし、「経済政策」をテーマに議論が交わされました。
討論会終了直後の、工藤のインタビュー模様です。
2009年7月 2日
「自民党×民主党 政策公開討論会」1日目 を終えて
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「自民党×民主党 政策公開討論会」 聞き手:田中弥生氏 (大学評価・学位授与機構准教授) |
7月1日14時半より、言論NPOが主催する「自民党×民主党 政策公開討論会」の第1日目議論がスタートしました。この日は「将来ビジョンと政権担当能力」をテーマに、両党の政策責任者3名と、言論NPO側の司会者、コメンテーター計8名が議論を行いました。
討論会終了直後の、工藤のインタビュー模様です。
(会場設営撤去作業の騒音が入っております。お聞き苦しい点をお詫び申し上げます。)
2009年5月19日
マニフェスト評価作業進行中
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マニフェスト評価作業 進行状況について
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ウェブサイトでは「マニフェスト評価進行中」とありますが、今はどのような状況ですか。
今は麻生政権の経済対策に対して、霞が関に出かけてヒアリングをしたり、評価に協力していただいている評価委員の人たちと議論をしたりと、ひとつひとつ分析を行っているところです。私たちはまもなく選挙があると思っていますので、その前に、麻生政権のこれまでの実績評価を行い、皆さんに公表したいと思っています。それが終わったら、いよいよ選挙時のマニフェスト評価作業に入らないとなりません。
評価活動で苦労しているのはどんなところですか。
選挙が行われないまま福田・麻生という2つの政権が一年ごとに誕生しているわけで、政治が国民に何を約束したかが明確にならないまま、政治が継続しています。約束がはっきりしないと、その約束がどのくらい実現し、守られたかどうか、評価そのものが難しくなってしまいます。今の衆議院議員は05年の小泉政権の郵政選挙で当選した人ですが、その時と比べると、政策の方向性がかなり変わってしまった、ということもあります。その政策転換の妥当性についても、ひとつひとつ見ていかなければなりません。
選挙がないままに政治が何年も継続し、その間に政権が変わっても選挙が行われない。本来、こうした局面では約束を軸とした政治は機能しないのですが、それでも今の政治が何を国民に説明して、政策を実行しているのかを、丁寧に追って行く必要があります。
学生インターンの皆さんにも協力してもらいながら、臨戦態勢で作業を進めているところです。
今後の活動予定は。
評価結果だけではなく、私たちの評価のプロセスも皆さんに見ていただき、たくさんの人に参加してもらいたいと思っています。今後はアンケートやフォーラムなども実施していきたいと考えています。それから、評価専用のウェブサイトの立ち上げに向けた準備も大詰めです。ウェブサイトだけではなく書籍でも、私たちの活動を皆さんにお知らせしていきたいと思いますので、ぜひ期待していただきたいと思います。
2008年8月22日
「第4回 東京‐北京フォーラム」の準備状況について
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「第4回 東京‐北京フォーラム」の準備状況について 聞き手: |
「第4回 東京‐北京フォーラム」まで残り一ヶ月を切りましたが、準備の進行状況はいかがですか?
急ピッチで進めているところです。進行中の日中世論調査の分析に関しては、結果を9月8日に記者発表する予定です。今回の調査結果で明らかなのは、日本側の中国に対する認識があまり良くないこと。その原因も含め僕たちが責任を持って分析しています。非常に面白い内容ですので、ご期待頂きたいと思います。
もうひとつの大きな準備状況としては、日中のパネリストがしっかりと固まっていないという問題がありますが、中国側からは約50名の有識者が参加するという話がもう来ており、確定作業も大詰めの段階です。この2・3日で中国側のリストが完成するでしょう。日本側は今、約70名のパネリストが候補に挙がっていて、絞り込みの段階です。
今回僕が重視する試みの一つが「メディア対話」です。日中間の課題としてひとつ大きいのが、両国の報道のあり方です。オリンピック、食の安全など、中国関連のイシューがたくさんありましたが、それらに対する報道の在り方に関して色々疑問があって。これを世論調査の結果をふまえ、「メディア対話」という分科会できちんと議論しようと思っているのですね。このメディア対話では、インターネット会議方式を採り、色んな人たちが参加する仕組みを取り入れて、オープンな形で議論を展開するつもりです。
その他にも、今回はふたつの新しいテーマの下で議論を行います。ひとつ目は食料の対話。この前の食品の安全の問題、また世界的な食料の需給問題、これらの非常に大きな問題を、日中が本格的に議論するのはこのフォーラムが初めてです。ふたつ目は地方の対話。僕たちは国レベルの議論を民間の対話として行っている―つまり、お互いの国にとっての課題を乗り越えるため、日中関係を中心に色々な議論を作っている訳ですが、地方間の対話というのもあっていいじゃないかと思っていて、これを今回初めて設けます。中国からは市長が2名、日本からは知事が4名参加を表明していますし、かなり質の高い議論が期待できます。
また、僕たちが中国側に新たに提案したことがあります。現在、「オリンピック後の中国」がひとつのテーマとして世界の注目を浴びています。自国の経済なり政治を今後どう運営していくのか。ちょうど今年は「改革・解放」政策の30周年です。そこで中国の経済の歩みを―過去と現在、そして未来に向けて―中国が政府、党としてどう考えているか、これをきちんと説明してほしいと中国側に依頼したのです。しっかり説明のできる人を派遣するという話ですので、僕たちはその人との議論を中心に据えて講演会方式のフォーラムを行います。ここでの話をベースに、マクロ経済の議論が徹底的に行われます。
他にも環境問題、安全保障など、とにかく盛りだくさんのテーマの下で議論を準備しています。かなり大変ですが、オリンピックの直後に日中間でここまで大規模な民間対話が動き出すというのは、実は驚くべき話です。僕たちは日本だけではなく、世界が注目するレベルの議論を今作ろうとしているのです。
こうした議論を広く皆さんに伝えていくために、「第4回 東京‐北京フォーラム」の公式ホームページを立ち上げました。会議参加者の募集も公式ホームページ上で行っています。全体会議に分科会、いずれも席に限りがあります。全体会議に関しては色々な人たちを招待しようと思っていますので、言論NPOのホームページを見て「この議論を聞きたい!」と思った方はぜひ申し込んで頂きたい。また、実はもうひとつ、議論への参加方法があります。現在、メディア対話における世論調査をベースにした議論に関して、来場せずとも自宅で、僕たちの会議を見て議論に参加する仕組みを構築中です。さっきインターネット会議方式という形でご紹介しましたが、日中合わせて2000人の方を、登録者として募集しようという試みです。自宅、または職場で議論を聞きたい・議論に参加したいという人たちは、ぜひご登録ください。
2008年7月31日
第4回 東京‐北京フォーラムまであと47日を切りました
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第4回 東京‐北京フォーラムまであと47日を切りました! 聞き手: |
本日、「第4回 東京-北京フォーラム」の実行委員会が開催されましたが、いかがでしたか。
中国では熱い北京オリンピックの季節が始まりますが、その直後に中国から大訪日団が日本に来ます。フォーラムまであと47日を切り、記者会見も終え、言論NPOにとっての熱い季節もこれからが本番だなという感じです。
昨日は最後の実行委員会と記者会見が行われましたが、実行委員会にはオブザーバーを併せて45人ほど来ていました。日本の各界を代表する日本の有識者が、手弁当で参加し、この日中の民間対話という歴史的事業に参加していただいているわけです。改めて「東京-北京フォーラム」は多くの人に支えられているんだなと思いました。
やはり思い出すのは、05年の反日デモにより、政府間関係が悪かったときに、日中間のほとんどの民間の交流事業が停滞してしまいました。その時、この状況を打開するため、本気の対話をしようという動きにつながったわけです。
僕たちのこのフォーラムは、友好という儀礼的な対話ではなく、本当に日中間の課題について議論をするんです。本気で議論し合うので、その議論が日本や日中間、ひいてはアジアの未来に関して、非常に重要な論点を議論しているので、どんどん輪が大きくなっています。
今日は中国側のパネリストがまだ確定していないので公表できなかったのですが、中国側の打ち合わせでは、閣僚級を含めた50人位の中国人が、オリンピックの直後に日本に来ることを検討していると聞きました。
このフォーラムに問われているのは、知的な交流のレベルをもっと上げることだと思っています。日中間は歴史的にも特別な関係にありますが、それを世界的な視野からも見詰め直し、お互いがその課題に関して真剣に対話することも必要です。
今回のフォーラムでは、経済、環境、食料、地方、安全保障について徹底的に議論しますが、そうした視点からも質の高い議論を行っていきたいと思っています。
また今回のフォーラムでは、いろいろな工夫をして議論がより広く公開できるようなことを考えています。例えば、当日会場に来られない両国の人たちにも、インターネットを通じて議論に参加できる仕組みを初めて導入します。日中の両国民の意識を探るために世論調査を今回も行っていますが、この世論調査を軸とした日中の相互理解の議論に、より多くの人たちに参加してもらいたいからです。
この仕組みは7月14日の民主党とのマニフェストフォーラムで、一度実験してみたのですが、まだまだ改善しなければいけないと思っています。いずれ議論の参加方法を皆さんに呼びかけますが、ぜひ申し込んでいただければと思っています。
私は日中間の民間対話が、本気の議論を通じて、日中間だけではなくて、世界的で大きな視点から日中関係を議論できるような、そういう段階に進まなければいけない時期に来ている気がします。グローバリズムの中、世界経済も非常に厳しい状況で、この前のサブプライムローンの話や食料不足、資源問題も含めて、世界的な課題が非常に大きくなっていまして、そういうことも日中でどう考えていけばいいかという議論もできるかもしれないし、日中そのものの課題もあるだろうし、さっきの国民間の感情の問題とかね、そういうことに関して真っ向から僕は議論していこうと思っています。
手伝ってくれるボランティアの人がまだまだ不足しておりますので、これから募集もしますので、ぜひこの民間の対話、本気の議論をバックアップしたいという人は、来ていただければと思っております。
(文章は、動画の内容を一部編集したものです。)
2008年7月29日
東京に戻ってきました
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四川省からやってきたパンダを見てきました。 |
東京に帰ってこられて数日経ちましたが、体調等いかがですか
僕は日本に帰ってきてすごく疲れました。訪中で疲れたのではなくて、東京に帰ってきたら北京より暑くて。日射病になった感じで、眩暈はするし、本当に疲れました。確かに、中国は暑いんだけど、こんなに日差しは強くなかったですね。朝とか夜はそれなりに対応できたけど、東京の暑さは半端じゃないですね。中国にはこうした強い日差しがないから、どっちが正常なのかわからないけど。とりあえず東京の暑さは半端ではないですね。皆さん体調管理には気をつけましょう。
さて、今月20日から「第4回東京-北京フォーラム」に向けて訪中されましたが、3日間どのように過ごされましたか。また、今回の訪中の具体的な成果についてお話いただけますか。
オリンピック直前の北京は整然としていて、交通量は少なかったです。というのも、ちょうど僕たちが行った日まで交通制限(8月17日~20日の4日間)をしていたんですね。オリンピックを控え環境問題を含め全てに取り組んでいるのが分かりました。それに、晴天ではないものの、太陽とお月様が綺麗に見えましたしね。また、街にはいたるところにボランティアの人たちがいました。北京はオリンピックの準備一色ですが、僕は直後に行われる、「東京-北京フォーラム」もそこまで迫ってきたなと改めて実感しました。
今回のフォーラムで一番心配していることは、日本側で考えている議論に見合った人たちが、中国側のパネリストとして参加できるかどうかということでした。中国の要人には渡航制限がかかっています。でも、かなりハイクラスの訪日団を中国側は検討していたことが分かり、ひとまず胸をなでおろしました。その結果は、来週30日の記者会見で、皆様にはご説明することになりますが、例年にないぐらいの大訪日団になると思います。今回のフォーラムは、オリンピックが終わった直後に開催され、今後の中国の経済運営や食料、環境問題など、世界が注目する様々な課題があります。そうした課題での真剣な対話が始まるんだという、手ごたえを感じて帰ってきました。
このフォーラムは05年の反日デモという最も深刻な時に、日中間での様々な課題を真剣に議論するため、立ち上がりました。昨年までの3回を通じて、ある程度定着しつつあると思っています。それをさらに次の段階に進め、発展させるためいくつかのことを考えています。
まず、もっと両国の国民の人たちに当日参加をしてもらったり、Webを通じて一人でも多くの人に見てもらえるような仕組みをつくりたいと思います。また、抽象的なテーマではなく、現実的なテーマや身近なテーマについて経験を出し合い議論したいとも思っています。世論調査もすでに集計が始まっていますが、こうした両国民間の相互認識に関しては、会場外にいる方も議論に参加できないかと考えているところです。
北京に滞在中に議論に行ったのですが、その中で日中の知的な交流はもっとレベルを上げないといけない、という意見がありました。その意味で僕たちの「東京-北京フォーラム」にかなり期待している人が多いこともわかりました。
この民間対話は日中のトラック1・5としてもその役割を果たさなくてはならないと、思いました。
それから、今回の訪中では時間があったので、四川省からやってきたパンダを見に行き、対面してきました。本当に5分間、僕はパンダとにらめっこしたのですが、何か目がとても印象的でした。
聞き手:学生インターン 高田玲子
2008年7月20日
今日から中国に行ってきます!
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今日から中国に行ってきます! |
第4回の「東京‐北京フォーラム」が9月に行われますが、言論NPOは今、急ピッチでその準備に追われています。
今月30日に実行委員会を開いて、フォーラムの概要を最終決定し、記者会見でも発表しようと思っていますが、その前に決めなければならないことがまだたくさんあるんですね。中国はオリンピックの直前で、この前の地震のことなどもあって、日本と中国のパネラーに関する最終的な打ち合わせがまだ進んでないんですね。それを僕は明日から北京に行って、それらを協議をしてきちんと固めようと思っています。
この前、中国からパネラーの一次案がリストとして届きましたが、それを見ると省庁の関係者や政治家、ジャーナリストなどが集まり、総勢50名ほどの大訪日団になる可能性があります。それを迎えるために、日本側も議論づくりにしっかり取り組まなければなりません。
今回の訪中は3日間という短い期間なんですが、その中でカウンターとなる中国側のチャイナデイリーや新聞弁公室などと、できる限り打ち合わせをしてくるつもりです。今回の訪中で成果があれば、フォーラムそのものが成功するということはまず間違いないので、何としてでも頑張ってきます!
北京は今ものすごく暑いんだそうで、本当の話かはわかりませんが、最高気温が連日40度くらいになるらしいです。僕は今週民主党と議論したばっかりということもあって、かなりバテている状態なんですが…でも何としてでも頑張ってきます。短パンか何かで行こうと思います(笑)
帰国したら、今回の訪中の成果を皆さんに報告します。30日に行う記者会見で、いよいよこのフォーラムが動き出します。今年もよろしくお願いします。
2008年7月16日
言論NPO 対 民主党 『第1回 マニフェストフォーラム』 を終えて
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マニフェストフォーラムを終えて(1) 聞き手: |
今日(7/14)、民主党の議員と言論NPOのマニフェスト評価委員を招いて第1回マニフェストフォーラムを開催しましたが、いかがでしたか。
まず、言論NPOの評価委員の四人(生源寺眞一氏、齊藤誠氏、土居丈朗氏、西沢和彦氏)が出たのですが、やはり良い評価をしようとしていていい質問をしていました。しかも、それに対して民主党の次の内閣の大臣となる議員の人も、とても誠実に答えていた。話は一応かみ合ったし、内容は別にしてもきちんと説明しようとしていたので、僕としてはこうした民間側と政治との政策論をめぐった対話は非常に大切だと思いました。それがすごく印象的で、是非次につなげたいし、自民党ともやりたい。今日は農業、財政、社会保障、年金がテーマでしたけど、外交や安全保障もやりたいと思っています。その意味で、今日はこれからの始まりというか、きっかけの日になったと思います。
今回は、政治家と評価委員の対決とあわせて、初めての試みとしてネット会議システムを使って、ウェブ上で一般の方にご参加いただきましたが、手応えはいかがでしたか。
僕も司会をしながらウェブ上での動きは見ていました。告知の問題もあって参加者は少なかったんですが、チャット方式や、(実験的に投入した)アンケートもきちんと答えている。また会場での政治家の話を聞きながら、それに対する質問にも答えていて、しかもそれが結構いいところを突いているんですね。やはり、政治家の政策をきちんと見ようと思っている人が今回参加してくれたのだと思います。その点でも良かったと思います。
これをもっと広げていって、いろんな人たちが参加していけるようにしたいと思いました。
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マニフェストフォーラムを終えて(2) 聞き手: |
では、今日のフォーラムの議論の中身についてはいかがでしたか。
やはり、今回のテーマである年金・社会保障・農業・財政というテーマは、僕たちが実施した有識者アンケートの中で、「政治が取り組むべき政策課題は何か」という問いに対する答えのうちの上位4位でした。つまり、政治に対するこれらの分野の課題解決への期待が強いと。それに対して民主党の皆さんもそれなりにさまざまな政策を検討しているのですが、ひとつ気になったのは、党としてのガバナンスがどうなっているのかということです。仮にも今回の参加者は次の内閣の大臣であり、政調会を通じて政策形成をしているのかと思ったのですが、しかし今日の民主党の参加者らの政策は、党の政策として集約されていないような印象を持ちました。つまり民主党の場合、党内で政策をまとめ上げることの大変さがわかってしまった。けれど、有権者から見れば政党なわけですから、政党は有権者に対してきちんとしたひとつの政策を提示し、実現していくという形で有権者との議論が始まるのであって、そこに関して、民主党だけではなく自民党もかもしれませんが、党の政策プロセスはどのようになっているのだろうかと疑問を持ちました。
それから、経済政策に関しては、やはり弱いなと。今回の言論NPOの評価委員は日本の経済学者の中でも第一人者がそろっており、対談を聞いていると経済政策的な掘り下げが少し弱いと感じました。特に成長政策については、政治が出来ることとしては数値を約束するというより成長のための基盤を作ることなのですが、民主党議員の発言に、そうした視点は見られませんでした。今非常に深刻化している財政再建、赤字の問題についてそれをどうやって解決していくか、納得できる明確なビジョンは提示されていなかったですね。これらに関して、今日のフォーラムの模様は皆さんに公開しますので、是非皆さん自身で判断してほしいと思います。
また、もちろんマーケットが機能しない社会的なゾーンがあるというのはわかるのですが、なんでも所得再分配のような議論になってしまうとよくない。評価委員の生源寺氏も言っていましたが、例えば農業の話にしても、農家の人達だけでなく消費者も農業問題に関心があるわけでね。それに対しても民主党はきちんと語らなければいけないんですが、やはり農村の特定の基盤に対する発言しかない。しかしその一方で、農業の未来を描いているわけでもない。こうした状況では、民主党は政権政党としての政策の掘り下げや展開が少し弱いのではないかという気はしましたね。
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マニフェストフォーラムを終えて(3) 聞き手: |
あと、僕は会場でのアンケートやウェブでのアンケートも見ていたのですが、今回の民主党の政策説明に関して納得できない人が意外に多い。しかし、なぜ皆がそう思ったかというと、ある面で言えば民主党議員の皆さんが私たちの質問に誠実に答えていたからなんですね。政治家という人たちは、よく発言をごまかします。しかし、今回出席してくれた民主党の方々は、有権者に政策をきちんと説明したいという意思がかなり強かった。そのこと自体が僕はすごくうれしかったんですね。アンケートで納得できないと答えた人たちも、おそらく怒って納得できないというよりは、ちゃんと説明してくれたんだけど、まだ納得できないという感じでしたので、こうしたフォーラム作りを継続して行っていきたいなと思いました。
このフォーラムでの議論もふまえ、僕たちは評価作業をこれから本格化させたいと思っています。
(文章は、動画の内容を一部編集したものです。)
2008年6月16日
工藤のアンケート分析 ―「日本の政治は信頼できるか」緊急アンケート
6/6~6/14の8日間にかけて緊急実施した 日本の政治に関する緊急アンケートについて、 工藤がアンケート結果を分析します。 アンケートの結果はこちらからご覧いただけます。 聞き手: |
今回言論NPOで実施した「日本の政治に関する緊急アンケート」の結果について、
工藤さんはどうお考えですか。
はい。@niftyと連動した新しい議論作りである「ミニ・ポピュラス」を指導するにあたって、私たちは緊急のアンケートを実施しました。学者や経済界の人々、メディアの人々など200名から回答をいただいたのですが、予想通りというか、ここまでひどいのかと思いました。ほとんどの人たちが、日本の政治は非常にまずいと思っているんですね。日本の政治が、いま日本が抱えている課題の解決に向けて全く取り組んでいない、先送りしているという回答が9割もありました。それだけでなく、人気取り、選挙のみを意識したポピュリズムの傾向が出てきていると。政治が有権者に対して、負担と受益の問題を語っていないという事実が結果に出ているんですね。
私が特に気になったのは、エコノミスト誌などの海外のメディアが、日本の「政治の失敗」が、日本の将来を非常に見えにくくしているといって、“JAPAIN”という言葉を作って特集をしていたことです。そこで、今回のアンケートで、「日本はこのまま世界から孤立してしまうのか」ということを聞いてみました。意見は分かれました。40%の有識者は、日本はこのままでは孤立すると思っている。一方で40%の人はまだ日本は可能性があると思っている。つまり、日本の政治状況が非常に厳しい中で、日本の将来に対しても皆さんが真剣に悩み始めている。これは非常に重要なことだと思います。私が思うのは、やはりどんなに厳しくても、日本の将来に向けて課題解決をしていくんだ、日本の将来に挑んでいくんだという意思がないとこの国はだめだと思うのですが、こうして海外メディアが日本批判をしているときに、「なにくそっ」という声が全くありませんでした。そういう状況は非常に残念だし、その結果がアンケートでもしっかり表れていました。
政権交代についても聞いてみたのですが、政権交代への期待はあるものの、民主党に対してはその空気は大きく動いていない。単なる二大政党でどっちがいいかではなくて、多くの有権者や有識者は政策を見ようとしているからだと思います。日本の将来に向けての激しい政策競争を期待しているのに、そのような競争が行われていないというのが、日本の政治にたいする認識を作っていると思います。
このアンケート結果は、私たちがこれから議論形成をしていく上で非常に示唆的でした。この結果をもとに、いま@niftyと連携して進めている「ミニ・ポピュラス」の中で、“誰が日本の政治を変えるのか”ということをテーマに議論していきたいと思います。
詳しい内容は、ぜひ私たち言論NPOのサイトでご覧ください。
ありがとうございました。
(文章は、動画の内容を一部編集したものです。)
@niftyとの連動企画、「ミニ・ポピュラス」が始動しました!
◆前半:どんな企画? 聞き手: |
「ミニ・ポピュラス」はこちらから
今日6/16から@niftyと連動した新しい企画が始まるということですが、どんな企画なのでしょうか。
「ミニ・ポピュラス」という名前の企画なのですが、これは市民が主体となる議論の場をインターネットで作ろうという企画です。言論NPOは今まで政策評価など様々なことをインターネットの場で行ってきましたが、それだけでなく、やはり参加型でいろんな人たちが参加や対話を行うところまで、言論NPOが責任を持って始めたいと思ったんですね。
僕たちはこの実験を、政策評価や政策提案まで広げていきたい。やはりいろいろな人たちが議論をして、議論の結果、何かを生み出していきたい。そのための真剣な議論の舞台を、今作ろうと思っています。
第一回目のテーマは、「誰がこの国の政治を変えるのか」ということですが、なぜこのテーマを選んだのですか。
年明けから考えていたのですが、やはり日本の政治の閉塞感が問題だと思います。外国人の友人とも話しているのですが、このままでは日本は世界から本当に取り残されてしまうと、そういうことを本気で思っている。やはり、このままの日本の政治でいいのかと思ったんですね。政治というのは、もともと私たちがきちんとそれに参加して、それに責任を持たなければいけないのですが、今の状況の政治は国会を見てもわかるように、選挙のための政治になってしまっている。本来なら、二大政党制が行われて政権交代が起こるというひとつの大きな転機、発展の部分にきたにもかかわらず、政治が昔のような形に戻ってしまった。この状況は、やはり直さなくてはならない。そこで、結局この状況を“誰が”直せばいいのかということを皆に考えてほしいと、そう思ったんです。
今回は、誰が日本の政治を変えるんだというテーマで、言論NPOでこれまで政策評価に参加していただいた3名に、まず口火を切ってもらおうと思っています。明石(康)さん(前国連事務次長)と、イェスパー・コールさん(前メリルリンチ日本証券株式会社 ・チーフエコノミスト)、斎藤誠さん(一橋大学大学院経済学研究科教授)、この3人が、いまの日本の政治をどう考えていけばいいかということを問題提起します。そして、それに向けて皆さんで議論をします。もちろん、私もその議論のコーディネートをずっとしていきます。必ず、この議論を日本の政治が変わるところまで持っていきたいと思っています。
政治は僕たちが作るものです。そして日本の未来も、僕たちが作るもの。こういう真面目な議論の舞台には…ちょっと参加しにくいなっていう人もいるかもしれませんが…皆さんと一緒に考えていきたいので、是非、私たちと一緒に参加して、一緒に議論を作りましょう。
ありがとうございました。
(文章は、動画の内容を一部編集したものです。)
2008年6月 9日
@niftyとの連動企画が始まります!
| ◆ @niftyとの連動企画が始まります!
新たな議論作りを展開します。 聞き手: |
現在はきちんとした議論が最も不足している状況です。言論NPOはまさに日本の健全な議論作りのために生まれたNPOであり、議論がないときちんとした民主主義ができないと思ってきたのですが、今はあまりにもひどい。私たちも色々なマニフェストを評価して、政治をチェックして有権者に判断材料を提供しようと思っていたのですが、政治のほうに有権者との約束を軸に政治を動かそうという気持ちがあまりないということがはっきり見え始め、まずいと思いました。これは市民側が怒らなければいけない局面に来ていると。
私たちは怒るために議論をしているのではありませんが、今の社会にいることを自覚し、議論を開始することによって政治なり日本の将来なりにプレッシャーをかけないと、私たちはいつも課題解決から逃げて将来に伸ばしていくような政治と付き合わなければならなくなります。今必要なのは勇気であって、今ある課題を解決していくという気持ちを持ってそれに取り組む人たちが必要です。
そのためにも私たちは議論がしたいので、議論をどういう風に行えばいいかということになりますが、言論NPOのウェブサイトは議論といってもかなりハイクラスの人が発言しているだけでした。その発言を皆さんに見せるというのも一つだったのですが、それだけではダメです。言論NPOは議論をこれまで通りに提案しますが、それに対して色々な人たちが参加し議論を作っていくというプロセスに言論NPOが参加し責任を持とうと思い始めました。
そうしたところ、@niftyの人から「一緒にやってみよう」というがありましたので、私たちは現在、言論NPOの議論作りと@niftyのインターネットの力をドッキングさせて、日本の議論作りに本格的に取り組むということになったわけです。
一番議論したいのは受益と負担の問題です。日本で改革は何回も行われてきましたが、いつも重要なことを曖昧にしてきたんです。どんなサービスにも、そのサービスを受ける側の負担が伴いますが、「負担」という問題から政治はいつも逃げてきたんですね。埋蔵金など色々なことがあったかもしれないが、自分たちの挑戦については自己責任が問われるだろうし、サービスを求めるのであればそれに対して負担を考えなければいけないだろう。そういう局面が皆分かっているだろうに、政治はそれについてきちんとした議論を有権者に問いかけようとしていない。
この状況が非常にまずいと思っていますので、最終的に私は受益と負担をベースとした政策の議論により多くの人に参加して欲しいと考えています。しかし政策論議に入るその前に、まず政治を考えてみたいと思ったわけです。
私たちの非営利組織にも、海外の、外国人のメンバーも色々いて、「日本はもう殆ど世界から相手にされていない。」「孤立していると言うよりも取り残されてしまった」という人が多いのですね。「日本の中では色々議論していることがあるが、世界に問題がある時に誰がそれを決定できるのか。決定できるような政治家なりリーダーが、日本にいるのか」と言われるわけですね。まさに仰るとおりで、私たちが内向きの話をたくさんしている間に、本当はもっと解決しなければいけないことをどんどん先送りしてしまったために、自分たちのことで精一杯になってしまっているんです。
この状況の政治はあまりにもまずいと思っています。もう手遅れだと言う人も確かにいますが、私たちは今でも遅くないと思っているので、まず「政治を自分たちのものに取り戻す」というところから議論を開始したい。そのためにはまず今の政治の状況について皆に語って貰おうと思います。
そのために私は三人の有力な発言者を用意しますので、その人の提案について皆さんから議論をどんどん寄せてもらいたい。そして私は議論を絶えずチェックして、その議論に合わせて次々に言論NPOの持っている有力な発言者を投入します。双方向の議論をどんどんヒートアップさせていきたいと思っていますね。ただそれだけではなくて、私たちは適宜皆さんにアンケートをとったり、実際のフォーラムをやって直接皆さんと議論したりすることを考えています。そういうことをすることによって、まず政治にみんなが参加して、それから次に政策論争に早く入って欲しい。
政策も、私たちは評価をやっているので、その評価の素案を皆さんに公開します。皆さんには評価に対する色々言って貰い、その中で評価を完成させたいと思っています。つまり市民が参加することによって政治を評価する、将来に対する議論作りに参加する、そういう大きなムーヴメントをこの実験の中で作ってみたいと思っています。
一緒にやってみましょう。
2008年5月20日
第6回非営利組織評価研究会 を終えて
| ◆ 第6回非営利組織評価研究会 を終えて
( 5分31秒 ) |
2008年5月15日
新刊「中国人の日本人観 日本人の中国人観」のご紹介
過去3回実施した日中共同世論調査から浮かび上がった
両国民の相手国への理解や認識を、この本で明らかにしました。
ぜひご一読ください。
| ◆ 「中国人の日本人観 日本人の中国人観」 この本のみどころ ( 5分33秒 ) |
2007年12月28日
2007年の総括・後編 <"日本の政治と市民社会"編>
2008年の日本はどうあるべきか、言論NPOはどう展開していくべきか、
代表工藤が今年一年を総括します。
| ◆ 2007年の総括・後編 "日本の政治と市民社会"編 ( 7分56秒 ) ◆ 2008年の可能性は? ( 2分42秒 ) |
2007年の総括・前編 <"言論NPOの事業"編>
2007年は、日本の政治にとって、国民にとって、そして言論NPOにとってどんな年だったのか。
言論NPO代表工藤が語ります。
| ◆ 2007年の総括・前編 "言論NPOの事業"編 ( 6分27秒 ) ◆ 知事との対話について ( 3分57秒 ) |
2007年12月 3日
言論NPOの近況 / 「改革」は終わったのか
北京東京フォーラムを終え、現在言論NPOが取り組んでいる新たな議論形成について、代表工藤が語ります。
| 「改革」は終わったのか ― 「壊す改革」から「組み立てる改革」へ ( 9分4秒 ) |
2007年9月 1日
「第3回 北京-東京フォーラム」を終えて
| 「2007年 第3回 北京-東京フォーラム」を終えて
( 4分22秒 ) |
2007年8月19日
記者会見を終え、北京からご報告します
| 「2007年 日中共同世論調査」 記者会見 を終えて ( 5分38秒 ) |
2007年8月 9日
2007年参議院選挙を総括する by 工藤泰志
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言論NPO代表工藤泰志が2007年参議院選挙を振り返って総括します。
| 前半:「参議院選挙を振り返って」 後半:「今後はどうなるのか」 (全 8分30秒) |
2007年6月10日
参院選を前にして
参院選告示を7月5日に控えて、言論NPO工藤からのメッセージ。各党の評価作業とそして、選挙後の展望を語ります。
2007年6月 3日
10人の知事に会ってきて
山形、新潟、福岡、佐賀・・・。言論NPOの代表工藤が、10人の知事に会ってきました。
元三重県知事の北川さんとの違いについて、辛らつな意見も。
2007年5月14日
言論ブックレット 「美しい国」とは何か?
安倍首相が提唱する、美しい国という言葉について、各界の識者が語る、言論ブックレッ ト第5弾。
2007年5月 8日
踊り場にきたマニフェスト
マニフェストが解禁された初めての統一地方選。そこで見られたマニフェストは、単なるスローガンに成り下がったものが散見された。マニフェストを本来の意味に戻すために何が必要なのか?言論NPO代表の工藤に肉薄します。
2007年5月 2日
春の統一地方選を振り返って
マニフェストのチラシ配布が解禁になったのに、マニフェスト選挙にならなかった?その理由を言論NPO代表の工藤が語ります。
2007年4月16日
言論ブックレット 美しい国とはなにか
近日発売となる言論ブックレット「美しい国とはなにか」について言論NPOの代表工藤が語ります。
2007年4月 9日
知事との対話
現在、全国の知事と対話するために、日本中を駆け回っている、工藤。その裏話と、統一地方選の行方。最後のほうには、東京都知事選の石原さんについてもポロリと。
- 前編 -
- 後編 -
2007年3月14日
竹中平蔵氏との対話の感想
竹中平蔵元大臣との対話の感想を、言論NPOの工藤が語ります。
2007年3月 8日
言論ブログ新刊本「安倍政権の100日評価 」について その3
本の後半にある質問「小泉総理は「自民党をぶっ壊す」と宣言して自民党総裁に就任しました。あなたは、安倍政権の100日を見て、どんなことをめざす政権か分かりましたか?」という質問に言論NPOの工藤が答えます。
2007年3月 6日
言論ブログ新刊本「安倍政権の100日評価 」について その2
本の後半にある2つの質問のうち、まずは「 安倍政権は誕生後100日を迎えます。現在まで の安倍政権は、あなたが発足時に抱いていた 期待と比べてどうでしたか?」という問いに、言 論NPO代表の工藤が答えます。
2007年3月 3日
言論ブログ新刊本「安倍政権の100日評価 」について
言論NPO代表工藤が、「安倍政権の100日評 価」の企画趣旨について語ります。
2007年2月14日
言論NPOブログリニューアルについて
より一層の読者参加型を目指した、サイト作り。そこにこめた思いをとうとうと語ります。
2007年2月10日
そのまんま東知事、マニフェスト、そして統一地方選の展望
言論NPO代表工藤が、宮崎知事選とマニフェスト、そして統一地方選の展望について語ります。
2007年2月 5日
2007年、今年の抱負
やせる?というのは、おいといて、言論NPO代表工藤の2007年の目標について語ります。
2006年12月24日
ブックレット紹介 その3 メディアの責任
日中問題におけるメディアの責任に肉迫します。
認定特定非営利活動法人 言論NPO
2006年12月21日
ブックレット紹介 その2 国と地方
国と地方の関係の議論に一石を投じる。すでに品薄状態の一冊です。
認定特定非営利活動法人 言論NPO
売り上げランキング: 156786
2006年12月20日
ブックレット紹介 その1 日中対話
2006年の8月の東京フォーラムの安倍晋三、中川秀直、王毅、趙啓正らのスピーチを公開。
認定特定非営利活動法人 言論NPO
売り上げランキング: 172026
2006年12月17日
ブックレットの出版について
言論ブログブックレット『国と地方』『日中対話』『メディアの責任』が完成しました。その出版についての工藤の思いです。
2006年11月19日
福島県前知事逮捕など、地方の問題について
地方についての問題点、特に多選問題について語ります
2006年11月12日
日米安全保障条約と日米同盟
現在混乱のある日米安全保障条約と日米同盟の違いについて解説
2006年11月 1日
北朝鮮の核実験について
まず起きた時にどう思ったか、現状認識も交えて。
2006年10月12日
最近の興味 特に地方についての心配
最近思うこと。に工藤懸案の地方について。
安倍政権発足について
安倍政権が発足して、工藤の感想などをお聞きしました。工藤の安倍政権の評価は、以外にも・・・。
2006年9月13日
自民党総裁選について
自民党総裁選。すでに決まっているような盛り上がりに欠けた部分もありますが、総裁選、そしてその後について、工藤からお聞きしてきました。
2006年9月11日
日中フォーラムの感想と今後の抱負
日中フォーラムを終えて、1ヶ月。忌憚のない感想を工藤からお聞きしてきました。
2006年8月 4日
8月3日 レセプション後の工藤
レセプション後の少々興奮気味の工藤。充実感が伝わってきます。
2006年8月 3日
8月2日 夕食会後の工藤
夕食後の工藤の様子です。合言葉は、ほんのちょっとの勇気!
2006年7月30日
日中フォーラム直前
言論NPO代表の工藤が、いよいよ直前に迫った、8月2日から4日まで開催される「日中フォーラム」について語ります。(6:26)(聞き手:青山直美)
2006年7月28日
言論NPO自身の自己評価
言論NPO代表の工藤が、言論NPOによる自己評価を発表した経緯を語ります。(09:17)(聞き手:青山直美)
2006年7月 6日
日中フォーラム記者会見を終えて
言論NPOの代表工藤が、日中フォーラム共同記者会見とちょっぴりワールドカップの話題など。(6:33)(聞き手:青山直美)
2006年6月28日
メディア評価ブログについて
言論NPOの代表工藤が、メディア評価ブログについて語ります。(9:54)(聞き手:青山直美)
再生にはQuick Time Player が必要です。
こちらでダウンロード(無償)してください。
2006年6月 2日
国と地方について
言論NPOの代表工藤が、国と地方について語ります。(6:35)(聞き手:青山直美)
再生にはQuick Time Player が必要です。
こちらでダウンロード(無償)してください。
2006年5月 2日
メディア評価ブログについての思い
言論NPOの代表工藤が、現在準備中のメディア評価ブログについて語ります。(聞き手:青山直美)
メディア評価ブログについて(5分51秒)
再生にはQuick Time Player が必要です。
こちらでダウンロード(無償)してください。
2006年4月24日
言論ブログについて
言論NPOの代表工藤が、言論ブログについて語ります。(聞き手:青山直美)
言論ブログについて(3分56秒)
再生にはQuick Time Player が必要です。
こちらでダウンロード(無償)してください。
2006年3月27日
中国から帰国して その3
言論NPOの代表工藤が、最近の日本の政局に対するフラストレーションを語ります。(聞き手:青山直美)
中国から帰国して その3(7分05秒)
中国から帰国して その2
言論NPOの代表工藤が、中国で感じたフォーラムへのますますの意義、北京であった方々の素顔などを語ります。アジアとしての日本が強く意識された内容となっています。。(聞き手:青山直美)
中国から帰国して その2(6分28秒)
2006年3月21日
中国から帰国して その1
言論NPOの代表工藤が、8月に行われる北京ー東京フォーラムの準備のために北京に行って参りました。準備の進捗具合や、意義についてかたります。(聞き手:青山直美)
中国から帰国して その1(3分10秒)
2006年3月14日
マニフェストブログについて その4
言論NPOの代表工藤が、マニフェストについての有権者の心構えについて語ります。有権者はもっと参加しなければ。当事者意識が弱すぎると、かなり刺激的な言葉が、エネルギッシュに語られます。(聞き手:青山直美)
マニフェストブログについて その3(3分05秒)
2006年3月 7日
マニフェストブログについて その3
言論NPOの代表工藤がますます白熱。特に地方のマニフェストについて熱く語ります。(聞き手:青山直美)
マニフェストブログについて その3(6分12秒)
再生にはQuick Time Player が必要です。
こちらでダウンロード(無償)してください。
2006年3月 6日
マニフェストブログについて その2
言論NPOの代表工藤が、ローカルマニフェストと、中国への取り組みについて語ります。(聞き手:青山直美)
マニフェストブログについて その2(5分34秒)
2006年2月28日
マニフェストブログについて その1
言論NPOの代表工藤が、選挙のときにしか注目されないマニフェストを、常に意識して政治を監視することの重要性について語ります。(聞き手:青山直美)
マニフェストブログについて その1(4分25秒)
2006年2月14日
今後のブログ構想について その2
言論NPOの代表工藤が、今後オープンする2つのブログのうち、マニフェストブログについて語ります。
2006年2月 6日
今後のブログ構想について その1 【工藤通信 video podcast】VOL.05
言論NPOの代表工藤が、今後オープンする2つのブログのうち、言論ブログについて語ります。(3分21秒 5.84M)
2006年1月24日
2006年の政局 その2 【工藤通信 video podcast】VOL.04
前回に続き、言論NPOの代表工藤が、2006年の政局の展望について語ります。(1分56秒 3.35M)
2006年1月18日
2006年の政局 その1 【工藤通信 video podcast】VOL.03
言論NPOの代表工藤が、2006年の政局の展望について語ります。(3分11秒 5.41M)
2006年1月 7日
2006年のご挨拶 その2 【工藤通信 video podcast】VOL.02
前回に続き、言論NPOの代表工藤が、2006年の抱負について語ります。(2分51秒 4.86M)
2005年12月31日
2006年のご挨拶 その1 【工藤通信 video podcast】VOL.01
言論NPOの代表工藤が、2006年の抱負について語ります。(2分56秒 4.98M)


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![[言論ブログ・ブックレット]メディアの責任](http://ec2.images-amazon.com/images/P/4903743039.01._AA240_SCLZZZZZZZ_V34421131_.jpg)
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![[言論ブログ・ブックレット] 日中対話](http://ec2.images-amazon.com/images/P/4903743012.01._AA240_SCLZZZZZZZ_V34421160_.jpg)









